以前に『トヨタの片づけ』という本を読みました。
改めて言うまでもなく、トヨタ生産方式というのはビジネスの世界では高く評価されている考え方で、自動車メーカーだけでなく多くの業界でそのノウハウが活かされています。
ですから、「トヨタの片づけ」と言われたら、収納のプロとしては見過ごすわけにはいきません。しかし、実際に読んでみたところ、ただトヨタマンの逸話がだらだらと紹介されるだけで、「片づけ本」としてはまったくお粗末な内容でした。
この本に限らず、男性社会の日本では、ビジネスの世界のほうが高度で、家庭でおこなわれているようなことはそれに比べるとレベルが低いと思われがちです。しかし、実際はそれとはまったく逆であると感じることが私は多いです。
考えてみれば当然のことです。長らく日本ではワンオペで家事や育児がおこなわれてきました。ある意味で究極まで合理化されていたわけですから、ワンオペ家事のほうが非常に高度な(かつリスキーな)運営方法であると言えるのです。
無論、共働きが当たり前となりつつある現状、ワンオペ家事が良いというわけではありません。企業30年説というのがありますが、家庭は企業よりも長く持続的に運営していく必要があります。お母さん一人に任せるのではなく、家族で家事をシェアすることで持続可能な運営を心掛けていく必要があるのです。
とは言え、家事をシェアするというのは、決して簡単なことではありません。そこで、家事を楽しみながら家族にシェアしてもらう方法が求められるわけです。
トヨタ式家事アプリ「KAJISUKI」
※App Storeスクリーンショット
今回紹介するiOSアプリ「KAJISUKI」は、まさしく家族に楽しんで家事を分担してもらうのに役立つツールです。”「トヨタ式見える化」を毎日の家事に応用したアプリ”と宣伝されています。
ただ、結論から言うと、これは決してトヨタ式などと呼べるようなものではありません。私が先の本のタイトルに引っ掛かったように、売り文句に過ぎないと思います。
ともあれ、「KAJISUKI」の使い方から順番に見ていきましょう。
「KAJISUKI」の使い方
ログイン
「KAJISUKI」を利用開始するには、アプリをインストールし、ログインする必要があります。フェイスブックまたはツイッターのアカウントで、もしくはメールアドレスを登録してログインします。
今日の家事を登録
ログインが済んだら、「今日の家事」を登録します。私は夕食を作って皿洗いもしたので、その2つをチェックします。
家族の登録
家族で家事をシェアするためには、まず家族を登録しなければなりません。家族それぞれのiOS端末(iPhone/iPad)から同じように登録するか、誰かのアプリ上で登録します。
我が家では私しかiPhoneを使っていないので、私のほうですべて登録しました。android版も早期にリリースして欲しいところですね。
バグが発生!
続いて、家族それぞれの「今日の家事」を登録しようとしたところ、バグが発生しました。登録したはずの妻が表示されず、家族それぞれのアイコンも被ってしまっています。
家族それぞれの今日の家事を登録
しかし、アプリを再起動すると問題は解消されました。気を取り直して、妻の「今日の家事」を登録します。
家事が見える化!
私と妻の「今日の家事」を登録することで、家事のシェア率を「見える化」することができました。
カレンダーでも見える化!
家事シェア率だけでなく、カレンダーでも家族の家事を「見える化」することができます。
SNS機能で家事の喜怒哀楽をシェア
「KAJISUKI」は家事を見える化するだけではありません。SNS機能が備わっており、家事の喜怒哀楽をユーザー同士でシェアすることができます。
ただ現状、まったく知らないユーザーが表示されるので、逆に気持ちが悪いです(苦笑)家事の苦労や喜びをシェアするなら、普通にフェイスブックを使えば十分ではないでしょうか。
まだまだ開発途上のアプリ
一通り「KAJISUKI」を使ってみて、正直、「え?これだけ?」と愕然としました。冒頭の『トヨタの片づけ』と同じく、完全にトヨタに釣られてしまった感じで、まったく中身がありません。
これなら、以前に紹介した家事分担アプリ「Yieto(イエト)」のほうが全然良くできています。イエトのほうが家事が細かく分類されていて、それに比べると「KAJISUKI」は家事に対する認識が甘すぎると感じます。

現状では「見える化」というにはあまりにも貧相で、楽しんで家事を登録する気にはなりません。このままでは二度とアプリを開くことはないと言えるほどにヒドイ出来栄えです。
とは言え、「トヨタ式」は決して釣りではないでしょう。今回のリリースはあくまで開発版、これから本格的に「カイゼン」していくに違いありません。今後に期待したいところですね!
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