世の中は景気が良くなっていると聞きますが、今年のインテリア業界は何度となく暗い話題が飛び出しました。春にはスタイルプロポーザが何の前触れもなく全店閉店、9月にはシャルドネ(デコール)が事業停止(のちに破産)、11月には白井産業が民事再生するなど。
今回の話もおそらくインテリア業界にとっては明るい話題とは言えないでしょう。「タイムレスコンフォート」や「212キッチンストア」を運営する「アスプルンド」が、アパレルメーカー最大手の「ワールド」の傘下となったのです。
アスプルンドがワールド傘下に
出典:PR TIMES
アスプルンドと言われても多くの人にとっては馴染みがないでしょう。しかし、「212キッチンストア」(上写真)や「タイムレスコンフォート」は知っているという人は少なくないはずです。
現在、212キッチンストアは全国に81店舗、タイムレスコンフォートは同じく20店舗あります。そのほか、アスプルンドは家具および雑貨の輸入、コントラクト、OEMなどもおこなっており、年商は約137億円(2016年10月期実績)に上ります。
業態が似ているところで言うと、ケユカ(58店舗)を運営する河淳の年商が約405億円(2016年12月期実績)ですから、アスプルンドはその約1/3。家具小売業で言うと、ファニチャードーム(安井家具)や家具の大正堂を上回る規模です。
その規模の会社がポンと買収されたわけですから、まったくもって驚きです。今回は決してバッドニュースとして取り扱われていません。しかし、2014年に伊藤忠と丸紅との資本業務提携を解消して、東京海上キャピタルの資本参加を得たうえで店舗の整理を進めたことや、今回、ワールドから社長を送り込まれたところを見ると、ポジティブなニュースとは言えないでしょう。
アパレル業界のインテリア市場進出が加速!?
アパレルメーカー最大手のワールドが異業種のアスプルンドを買収してどうするんだと思われるかもしれません。しかし、ワールドの傘下では既に「ワンズテラス」や「イッツデモ」といったインテリア雑貨店を運営しており、そこでシナジー効果が得られるということでしょう。
アパレル業界では既に「ジャーナルスタンダード」などを運営するベイクルーズが「アクメ・ファニチャー」および「ジャーナルスタンダード・ファニチャー」、アーバンリサーチが「アーバンリサーチ・ドアーズ」を展開するなど、インテリア販売への進出を進めています。それ以前にも、ディーゼル、ローラアシュレイ、ザラなども、家具や雑貨を扱っていますよね。
アパレルではショップ運営のノウハウが蓄積されていますし、明確な世界観を以って消費者にアピールすることができます。消費者としてもお気に入りのアパレルブランドの世界観と同じインテリアが手に入るというのはメリットでしょう。
一方で、ニトリがアパレルに進出するというウワサもありますけど、今のところ実現はしていない模様です。インテリア業界はこのままアパレル業界にやられっぱなしなのでしょうか。
個人的には、アパレルが扱う家具は見た目は良いけれども価格の割りに品質は良いとは言えないので、この流れはあまり好ましく感じません。しかし、消費者ニーズが変化しているのは明らかで、家具業界もこの流れを真摯に受け入れるべきタイミングと言えるのではないでしょうか。
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