「新生活準備調査2016」(リクルートブライダル総研調べ)によると、新婚カップルが新生活の準備に際してインテリア・家具の購入に掛けた費用および購入率がともに昨年よりも減少したそうです。これはインテリア業界にとって厳しい現実であるものの、今後のライフスタイルの変化を見越して、新生活のスタートに際しては準備するものを必要最小限にとどめようとする、堅実な新婚カップル像が見て取れます。
新生活準備費用のうちインテリア関連が7%強の大幅減
新婚カップルが新生活の準備に費やした金額の総額は72.3万円となり、昨年の調査から4.2万円(約5.5%)減少しました。その中で、インテリア・家具の購入に掛かった費用は40.0万円で、昨年の調査から3.2万円(約7.4%)も大幅に減少。他方で、家電製品の購入に掛かった費用は37.4万円で、昨年の調査から0.7万円(約1.9%)の増加となりました。
問題はなんで購入金額が下がっているのかというところですが、考えられるのは単価の減少もしくは購入点数の減少です。しかし、次の調査から購入点数が減っているものと考えられます。
インテリア関連すべての品群で購入率が減少
インテリア・家具のアイテム別購入率において、昨年の調査との差が大きい上位5位は順番に、「ダイニング家具」(-10.6ポイント)、「たんす」(-7.8ポイント)、「来客用の布団」(-7.7ポイント)、「ソファ」(-5.7ポイント)、「カーテン類」(-4.9ポイント)となりました。そのほか、食器棚、ベッド、AVボード、ドレッサーに至るまで、すべての品群で購入率が減少しています。
インテリア業界関係者にとってはゾッとする結果でしょうけど、個人的には納得してしまいました。カーテンはともかく、どれも別に買わなくても良いかなーと思います。そう考える理由は、次のところにあるようです。
結婚1年以内に子供が欲しい新婚さんが年々増加
一人目の子供が欲しい時期は、「結婚1年以内」が41.0%で、年々増加する傾向になっています。「2~3年以内」にと考える人に比べるとまだ少ないものの、後者は減少する一方で前者は増え続けています。
また、インテリア・家具の購入アイテム数の平均は、結婚1年以内に子供が欲しい人が5.5点、結婚1年より先に子どもが欲しい人が6.4点となっています。このことから、早く子供が欲しいと考える人ほど家具の購入を控える傾向があると言えそうです。
これは非常に賢明な選択だと思いますし、何事にも無駄を嫌う傾向が強いイマドキの若者らしいと思います。子供が生まれれば夫婦のライフスタイルが変わるのは当然のことで、先に二人の生活のことだけ考えて家具を揃えてしまうとリスクを背負い込むことになってしまいます。子供がつかまり立ちを始めたときにダイニングチェアの下敷きになったり、ベッドやソファから転落するリスクを考えると、それらの家具を買い控えるのは当然でしょう。
イマドキの新婚さんはまことにシッカリしていると感心します。だから学習机も必要性を強く感じるまでは買わないんだろうなーと思いますね。
インテリア関連品を1店舗でまとめ買いするカップルが増加
インテリア・家具を購入する際に利用した店舗数は、「1店舗」が10.9%で、2011年調査以降増加傾向となっています。一方で、もっとも多いのは「3店舗」の29.9%で、「2~3店舗」で買い揃えるカップルも2011年度対比で増加傾向と言えます。インテリア・家具の購入率の減少とともに、4店舗以上で買い揃える人が減り、1~3店舗で買い揃える人が増えたと言うほうが正確と言えます。
また、インテリア・家具を購入する際に1店舗で購入する人は、「共働き」の人が70.5%、「どちらか一方が働いている」人が29.5%となりました。共働きだとどうしても選ぶのに時間が掛けられませんし、家の中で過ごす時間も少なくなりますので、家具に対する興味が低いと言えそうです。
「新婚さんは家具を買わない」という部分だけ切り出してみればインテリア業界のお先は真っ暗です。ただ、昔のように婚礼家具を一通り揃えるという時代のほうが異常だったとも言えます。
普通に考えれば、必要な家具を適切なタイミングで買い足していくほうが合理的です。結婚当初は賃貸住宅でも、何年か経てば家を買ってその家に合った家具を買うほうが無駄がありません。また、お金にゆとりができたタイミングで本当に満足のいく家具を買ったほうが良いというものです。
インテリア業界は、そういうイマドキの若者の消費行動をよく理解して戦略を練らなければなりません。逆に、消費者は旧い体質のインテリア業界のことなどお構いなしに、必要なものだけを最適なタイミングで、しっかり吟味して購入すれば良いと思います。
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