上のパース図は私がお邪魔するお宅でよく見る光景です。以前に住んでいた家から持ってきた食器棚、その横に3段カラーボックスなど。ダイニングテーブルの上は半分ほどモノが占領し、キッチンとダイニングの間のカウンターには小物がずらっと並んでいるという状態です。
使っているのは腰から上の天板の上だけ
パッと見るとそれなりの収納スペースがあるにもかかわらず、ダイニングテーブルの上などが片づかないのは、腰から上の天板の上だけしか使っていないからと言えます。
片づける場所はあるはずなのです。食器棚や3段カラーボックスに収めれば良いのですから。しかしそこには使っていないモノが詰め込まれていて、テーブルの上などのモノを収めようがないのです。
またそもそもこれらの収納家具は、そこにふさわしいと考えて用意したものでないことが大半です。捨てるのがもったいないからと言って以前に住んでいた家から持ってきた食器棚には、キッチンに収まり切らなかったモノが入っています。なんとかして片づけないといけないと思ってとりあえず買ってきた3段カラーボックスには、とりあえずそのあたりにあったモノを収めたままになっています。すべては「もったいない精神」が悪く作用した結果なのです。
使いやすい収納家具を選べば自然と片づく
部屋が片づかない場合、元々使っていた収納家具や壊れかけの収納家具、3段カラーボックスのような安物家具が原因となっていることは実に多いです。もしくは使い勝手ではなく見た目だけで選んだ家具が原因であることもあります。
実際に以前、こんなことがありました。以前に住んでいた家から持ってきた収納家具と見た目だけで選んだ収納家具に占領されたリビングダイニングのお宅で、どうしてもダイニングテーブルの上が片づかないということだったので、私はオープンラックを置くことを提案しました。しかしその方はオープンラックだと中身が見えるのでイヤだと頑なに拒否し続けました。それどころか逆に、デスクがあれば片づくはず、扉付きの本棚を置けば良いなどと言って、自分で買ってきて置いてしまいました。しかし片づくどころか、逆にどんどん散らかっていってしまったのです。
結局、自分の考えのままでは片づかないと観念したのか、私の提案を受け入れる気になったのか、オープンラックを置くことになりました。そうするとものの見事に、ダイニングテーブルの上が片づくようになったのです。
「使える」と「使いやすい」は同じようで全然違う
収納家具は見た目で選んではいけません。見た目が良い収納家具は必ず使いにくいのです。買うときは「ちょっと扉を開けるだけ」と思っていても、そのちょっとのことが片づけにくくさせてしまうのです。
元々使っていた食器棚も、扉を外せばオープンラックと同じようなものと考えてしまいがちです。しかし実際のところは、使い勝手の面で全然違うのです。
「使える」と「使いやすい」は同じようで全然違います。主婦(主夫)はプロなのですから、毎日使う道具にはこだわらなければなりません。使いにくいものを無理矢理使い続けてはいけないのです。
「もったいない」と考えていては、牛乳パックすら捨てることができません。牛乳パックと違って収納家具を処分することは心理的な壁が大きいとは思います。しかし、自分や家族にとって使いやすい形をしっかりイメージして、最適な収納家具を最適な場所に置かなければ、簡単なはずの片づけがとても難しいことになってしまうのです。
「片づけられないのは自分がだらしないから」などと見当違いのことを思ってはいけません。もちろん収納家具を自分の思うようなイメージのものに買い替えれば片づくと思ってもいけません。どこにどんな収納家具があれば使いやすいかをしっかりシミュレーションすることが大切なのです。
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