神奈川県住宅供給公社のニュースリリースによると、公社が展開する介護付有料老人ホーム「ヴィンテージ・ヴィラ」における家具のリユースに関わる協定をIDC大塚家具との間で締結したそうです。
神奈川県住宅供給公社が展開するヴィンテージ・ヴィラは、お年寄りが元気なうちに入居する自立型施設で、神奈川県内に5施設818戸。IDC大塚家具はヴィンテージ・ヴィラに入居するお年寄りに対して、家具のリユース提案をおこなうとしています。
このニュースリリースだけではいまいちピンと来ないのですが、家具業界紙の「ホームリビング」ではもう少し詳しく書かれています。
具体的には、大塚家具が家具の買い取り、下取りはもちろん、家具のサイズを小さくするなどのリサイズ、古くなった家具の清掃・補修に応じ、生活者はそれを次の住まいであるヴィンテージ・ヴィラに持ち込み、使用し続けることができるようになる。
(引用:ホームリビング)
IDC大塚家具のリユース事業、素晴らしすぎる!
あくまで報道されていることをそのまま鵜呑みにすれば、IDC大塚家具のリユース事業は素晴らしすぎると思いました。家具って、どんなに安物であっても思いがこもってしまうんですよね。だからなかなか手放せないし、あとどれだけ生きるかと考えたら新調する気にもなりません。
そこにIDC大塚家具が登場して、新居への引越しに際して不要な家具は買い取ってくれ、使う家具は再生して新居で使えるようにしてくれるというのです。家族が多かったときのダイニングテーブルはコンパクトにし、先代から引き継いだ桐タンスはローボードに作り替えたりするのでしょうか。そんな風に考えると、私も老後はそんな風にしてもらいたいと思いました。
しかし現実的なところを考えると…
しかし、ここで私の中のネガティブ大王が囁くのです。「おいおい、そんなに都合の良い話があると本気で思うのか?」と。確かにその通りかもしれません。
私が家具メーカーに勤めていたとき、神奈川県を中心に多くのお宅に家具の配送やクレーム対応で回りましたが、買い取りに値するような家具を見ることは極めてまれであったと思います。収納のプロとして独立してから訪問した関西のお宅でも同様です。
家具のリフォームをするにしたって、それなりに立派なものでないと耐久性の面で心配がありますし、費用を掛けてまでリフォームするくらいなら新品を買ったほうが合理的ということのほうが多いのではないかと思います。
そう考えると、IDC大塚家具は体裁良く、公社が抱える顧客にアプローチする手段を得ただけではないかと見ることもできます。
とは言え、私としてはやっぱりIDC大塚家具が今回取り組むことは肯定的に捉えたいと思います。だって、家具のリフォームをやってくれるところって、なかなかないわけじゃないですか。しかも、老人ホームへの入居に際して思い出が詰まった家具をリフォームするというのはプライスレスだと思うんですよね。お金も家具も冥土には持って行けませんが、思い出ならいくらでも持って行けると思います。
それにしてもIDC大塚家具はどこを目指しているんでしょう?家具の修理屋さんになるつもりはないでしょうし、家具の修理で儲かるとも思えません。私としてはただただIDC大塚家具のリユース事業がうまく軌道に乗ることを祈るばかりです。
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