
出典:IDC大塚家具(以下同)
昨年の史上最大の「親子喧嘩」騒動以来、何かと話題に上がることの多いIDC大塚家具。「かぐや姫」こと大塚久美子氏が社長に復帰後の「お詫びセール」では一時的に売上が好調だったものの、今年の5月以降は前年度比で大きくマイナスとなっています。
そんなIDC大塚家具がいま力を入れている施策のひとつが新業態の「アウトレット&リユース」店です。使用済みの家具の買い取りに力を入れるとともに、今年の10月に横浜と大阪に新業態の売場を設けています。
リユース家具の理想と現実
ソファーやダイニングセットなどの脚物家具から食器棚などの箱物家具に至るまで、家具の処分というのは難しいものです。捨てるにしても、運び出すだけでも大変です。また、まだまだ使えそうとは思っても、普段の生活で使用した家具はどうしても使用感が出てしまいます。
良質な家具であれば、職人の手で再生することによってリユースすることは可能です。しかしながら、引取りの際の運搬コスト、再生にあたっての補修費用の実費や技術料、販売に至るまでの倉庫代などを考えると、普通はどう考えたってペイしません。正直、私の感覚で言うと、程度の良い20万円の国産ダイニング5点セットをタダ同然で引き取っても、中古家具として販売することでビジネスとして成り立たせることは、至難の業だと思います。
それだけ、家具は運搬コストと倉庫代がとても負担になるのです。ちなみに、IKEAの家具は運搬コストを掛けず、組立家具で倉庫代を圧縮できることから、ビジネスとして成り立っていると言えます。
IDC大塚家具の中古家具販売の本気度見たり!?
まあそんなわけで私は基本的にIDC大塚家具のリユース事業は難しいだろうと考えていたのですが、これはひょっとしたらひょっとするのかもしれないと思いました。「アウトレット&リユース横浜」で2016年11月22日~24日の3日間限定で開催されるという「夢のアウトレット大バーゲン」の、プレスリリースに掲載されていたリユース家具が本当に安いと感じたからです。
上写真のダイニングセットは「伸長式ダイニング5点セット、税込86,400円」と記されているのですが、これはマルニ木工の「地中海」だと思うんですね。新品の定価は税込約49万円だと思います。中古品と新品の比較ではありますが、約82%引きという計算になります。
こういう背が布張りになった椅子は、張替修理を依頼するだけでも1脚あたり2~3万円は掛かります。椅子1脚が定価で税込6万円くらいですから、その半額です。つまり、このダイニング5点セットを税込86,400円で売ったって、利益なんて出ないことは明らかです。
もちろん、「広告の品」なわけですから、利益なんて度外視しているのは当たり前の話かもしれません。しかし、そこまでやるほどの本気度があることは間違いないことは分かります。
ちなみに、リユースのほうはそんな感じなわけですが、アウトレットのほうは基本的には昔とあまり変わらない感じがします。たとえば「伸長式ダイニング5点セット、通常販売価格¥124,200→¥59,800」というのは確かに安いですけど、そもそも定価がウソです(苦笑)通常売価79,800~89,800円のものを5セット限りで59,800円にしているに過ぎません。利益こそ出ませんが、配送コストはぎりぎりカバーできそうな価格です。
IDC大塚家具のアウトレットは、基本的に展示品処分と思われるものが多く、それほど安くは感じられません。メーカー放出品の真のアウトレット品でも出ない限りは、本当のお得感を感じるのは難しいんじゃないでしょうか。
一方のリユースのほうは場合によっては掘り出し物が見つかるかもしれないですね。もっとも、前述のマルニ木工の「地中海・伸長式ダイニング5点セット」などは即完売となると思いますが。
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