人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである
私が『嫌われる勇気』を読んでいてもっとも膝を打ったのは上の一節です(第二夜 すべての悩みは対人関係)。
片づけと言うとどうしても目の前のモノに注目したり、「収納スペースが少ない」とか「家の間取りが悪い」などハードの問題にすり替えられがちですが、突き詰めて考えていくと片づけの悩みは人間関係の悩みなのです。
人間の悩み>片づけの悩み
まず、アドラー心理学が正しいという前提で説明したいと思います。片づけの悩みは人間の悩みの一部です。ですから図式で表すと「人間の悩み>片づけの悩み」ということになります。
一方で、アドラー心理学では「人間の悩み=対人関係の悩み」とされています。そして前述の通り「人間の悩み>片づけの悩み」なのですから、「片づけの悩みは、すべて対人関係の悩みである」と解釈しても間違いないと言えます。
対人関係=仕事+交友+愛のタスク
次に、前述の「対人関係」について考えてみましょう。『嫌われる勇気』では以下のように説明されています(第二夜 直面する「人生のタスク」をどう乗り越えるか)。
アドラーはこれらの過程で生まれる対人関係を「仕事のタスク」「交友のタスク」「愛のタスク」の3つに分け、まとめて「人生のタスク」と呼びました。
私はこれで対人関係は、「仕事」・「友人(=非血縁者)」・「家族(=血縁者)」の関係と理解しました。付き合いの深さはともかくとして、身の周りの人間はすべてこのいずれかに属すると思います。
さて、身の周りのモノを見てください。これら3つの関係に属しないモノはあるでしょうか。おそらく存在しないと思います。
「いや、このゲーム機は自分一人で楽しむためのもので、オンラインゲームもしない。」という意見もあろうかと思います。しかし、『嫌われる勇気』で説明されている通り、”「宇宙のなかにただひとりで生きることができれば」という前提が成立しえない”状況では対人関係は消してしまうことができませんから、関係性は浅かろうとやはり対人関係の中にあると言えます。
より具体的にこの場合を解釈すると、ゲーム機は他者の手を介した物体と見ることができますし、なぜゲームをするのかという視点で考えると対人関係のストレスを解決するためとも考えられます。もしくは社会生活では劣等コンプレックスを感じているけれどもゲームの世界では優越感に浸ることができるということもあろうかと思います。
このようにいかようにも解釈できるわけですが、単なるこじつけのように感じられるかもしれません。もしくは拡大解釈と映ることもあろうかと思います。しかし、前述のように突き詰めて考えていけばやはり「片づけの悩みは、すべて対人関係の悩み」だと私は思うのです。
片づかない原因は「人」の要素が一番大きい
私は片づかない原因は次の3つであると考えています。
- 人…性格、習慣、職業など
- モノ…種類、性質、量など
- 場所…収納スペース、家など
いつも申し上げていることなので改めて説明するまでもありませんが、これら3つの要素が重なり合った結果、「片づかない」という結果が生じると言えます。
そして、これら3つの中でもっとも大きな要素は「人」です。「モノ」も「場所」もつまるところはその人が選んだと言えるからです。
「いや、いま住んでいる家は生家だから私が選んだわけではない」という意見もあるかもしれません。確かにその家を選んだのはご両親なりご先祖でしょう。しかし、「家を出る」という選択肢を取らなかっただけと解釈することもできますから、やはりその人の問題なのです。
目的論に立っているアドラー心理学を語るうえで原因論を持ち出すことは乱暴ではありますが(苦笑)、アドラー心理学で見ても私の片づけの理論というか経験則から見ても、「人」の要素が非常に強いわけです。
しかしながら私は「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」とまで言うのはいささか解釈の範囲が広すぎると感じます。間違いなく真理ではあるものの、およそ一般人には受け入れがたい事実でしょう。
ですから私は少なくとも片づけという限られた範囲の悩みについては、周りの人間だけではなく自分自身も含めて解釈したいと思います。冒頭で申し上げました通り、「片づけの悩みは、すべて対人関係の悩みである」ことは揺るぎない事実ですし、「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」ことも同様に事実ですが、そこまで哲学的に考える必要はないと考えるためです。
なお、アドラー心理学がそうであるように、片づけにおいても自分自身や周りの人を責める必要はありません。片づかない原因は「人」の要素が大きいと伝えると、どうしても自分や家族が悪いのだと思われがちですが、それはまったくの誤解です。
大事なのは、まず自分を知るということ。そして、自分の性格に劣等コンプレックスを抱かず、冷静に客観的に捉えて、”ただ前を向いて歩いていけばいいのです”。
【続編】「あの人」の期待を満たすために「片づけ」や「家事」を頑張らないで!
【関連記事】
コメント