最近なにかと話題のAR(拡張現実)。家具業界でもIKEAやシマホなどが採用しています。
大型家具は買ってはみたものの実際に置いてみたらイメージと違ったということがあります。しかし、そんなときも返品は難しいので我慢して使い続けるよりほかありません。その点、ARを使ってカタログに掲載されているソファーが目の前に飛び出してくれば、サイズ感やカラーコーディネートを確認することができます。
そんなわけで、ARを活用すれば安心して大型家具を買えるわけですが、まだまだ普及しているという実感はありません。その理由はまだ一部商品に限られているということもあるでしょうけど、それよりもあまり使い物にならないということのほうが大きいように思います。
そんなところに、また挑戦者が現れました。ベガコーポレーションが運営するLOWYA(ロウヤ)の「ハイビジョンAR」です。
ロウヤ・ハイビジョンAR

出典:LOWYA
このたびロウヤが提供を開始したハイビジョンARは、同業他社のARとはちょっと違います。
まず、「ハイビジョン」と銘打つだけあって非常に高解像度です。これまでの家具ARはCG(コピューターグラフィックス)っぽいと言うか、実物とは別物という感じが強かったですが、ハイビジョンARは実物と見分けがつかなくなるほど高精細なのです。
また、ハイビジョンARはアプリをダウンロードする必要がなく、iOS版のサファリ(アップル提供のインターネットブラウザ)さえあれば見ることができるのです。IKEAのようにカタログアプリをダウンロードすると容量がデカいですし、シマホのアプリをダウンロードするほどシマホに行くことがないという人もいるでしょう。その点、ロウヤはわざわざアプリをダウンロードする必要がないというのは手間がなくて良いです。
ただし、iPhoneまたはiPadがないと見ることができません。androidではダメなんです。そこがちょっとネックになる人がいるかもしれませんね。
ハイビジョンARを使ってみた

※ロウヤ・ハイビジョンAR・スクリーンショット(以下同)
ハイビジョンARはロウヤ本店の商品の一部、約600アイテムが対象です。逆に言うと、楽天市場店などの支店では対応していない模様です。
早速、iPhone&サファリでロウヤ本店にアクセスして試してみましょう。
商品カテゴリから選ぶ
たまたま気に入った家具がハイビジョンAR対応なら良いですが、今回は対象商品の中から商品を選んでみたいと思います。
ハイビジョンARのページに商品カテゴリの一覧が表示されているので、その中から選んでいきます。
商品詳細の「ARで見る」をタップ
まずはテレビ台をひとつ選び、商品詳細のところの「ARで見る」をタップします。
突然、テレビ台がポツンと登場
すると、画面が切り替わってテレビ台がポツンと登場します。
木目がCGくさい
画面を指で触ると、テレビ台をズームしたり回転させることができます。
テレビ台の大きさに対して木目が粗すぎてちょっとCGっぽくはありますが、リアルなところもあります。
背面もシッカリ見れる
背面のコードリールやコード孔まで見ることができます。こういう部分は店頭でもなかなか見れないことがほとんどなので、すごく便利だと思います。
一方で、パーティクルボードむき出しの部分がCGくさいです。
底面まで見れる
底面の金具の形状までしっかり見ることができます。これも店頭ではまず見れないところではないでしょうか。
でも本当に底面まで化粧してるものですかね?ちょっと再現性が怪しいところもあります。
ARで突然テレビ台が投影される
ここまで見てきたのは商品単体をマルチアングルで見る「オブジェクトモード」でしたが、ここからは「ARモード」を見てみましょう。画面上の「AR」タブをオンにすると、目の前にいきなりテレビ台が投影されました。
この仕組みがよく分からなくて、ARモードをオンにするとすぐに家具が飛び出すこともあれば、iPhoneを空中でしばらく動かさないと投影されないときもあります。しかも、思いもよらないところに突然出てきて、背中側にあったりすることもあります(苦笑)
配置した感じは他社ARと変わらない感じ
それでも、ピンチ&ドラッグで任意の場所にだいたいのサイズ感で配置することはできます。
ただ、この機能に関しては、良くも悪くも他社のARと変わらないという感じですね。
ハンガーラック登場
次はハンガーラックを試してみます。
ネジまでシッカリ見える
これもCGっぽさが抜けきれませんが、ネジまでシッカリ見えるし、クロスブレースの厚みが薄くなっている部分までシッカリ確認できるというのはスゴイです。
最後にソファ
最後にもう一つ、ソファを試してみましょう。
金巾までリアル!
ソファの底面なんてまず店頭では見ませんが、ハイビジョンARなら丸見えです。金巾(かなきん)のヨレッとした感じもリアルに伝わってきます。
張地もリアル!
張地もものすごくリアルに見えます。まるで写真と見紛うほどです。
総じて木目はCGっぽいんですけど、布地はかなりリアルですね。
というわけで、ロウヤのハイビジョンARを試してみたわけですが、さすがハイビジョンというだけあってものすごく精巧です。背面や底面など、普通では見れない部分もシッカリと見れるというのはすごく便利だと思います。
アマゾンで扱われている靴でも同様にマルチアングルでクルクル回して見ることができる商品がありますが、仕組み的には同じような感じなんだと思います。ただ、ロウヤの場合は靴よりもはるかに大きな家具を扱っているわけですから、こちらのほうがデータ処理が大変です。
しかも、高級家具でこれをやるなら費用対効果も合わせやすそうですが、ロウヤは安物ばっかりですからね。ニトリは安物の家具をルーム展開することで成功したなんて言われますが、ロウヤもそういう意味では業界の常識を打ち破ったと言えるのかもしれません。
ロウヤを運営するベガコーポレーションは直近の第三四半期決算が不調でした。売上は微増だったものの、インテリア特化型モール「ライグ」などの新規事業に対する先行投資がかさんでいるようです。
今回スタートしたハイビジョンARも投資負担が大きいと思いますが、消費者としては非常にありがたい機能だと思うので、なんとか軌道に乗せて欲しいものですね。
関連記事




コメント