一般的に、風呂や洗面脱衣所、トイレ、キッチンといった水周りは、間取りの端に寄っていることが多いです。ただ、水周りに窓を設けない限り、水周りを間取りの端に寄せることには合理的な理由はありません。
もちろん、集合住宅の場合は隣戸の水周りと近い位置にすることで配管をコンパクトにまとめることができるというメリットはあります。けれども逆に言うとそれくらいのことで、必ずしも間取りの端に水周りを持ってくる必要はないのです。
様々な間取りを「収納間取り診断」を通じて、また実際に数々の間取りを実際に見てきた私としては、その点が不思議に思えて仕方ありませんでした。しかし今回取り上げる物件の間取りは、風呂が家の真ん中にあるのです。
賃貸集合住宅(3LDK/兵庫県神戸市)
- 家賃=9.5万円、管理費・共益費=0.2万円
- 敷金=8万円、礼金=15万円
- 間取り=3LDK、専有面積=79.96平米
- 築年月日=2012年07月、建物構造=軽量鉄骨造
物件詳細はコチラ(画像あり)
この物件は玄関が1階にあり、玄関からすぐに2階に上がる階段がある間取りです。もともとの間取り図のその部分が理解不能だったうえに、間取りの診断をするのにはあまり関係がないので、こちらでは省略しています。
それはさておきこちらの間取り、前述したように、風呂、洗面脱衣所、トイレが、間取りの端に寄っておりません。非常に珍しい間取りだと思います。
ただ、珍しい間取りではありますが、良い間取りかというとこれが微妙で(苦笑)キッチンから洗面脱衣所へ近くて家事動線は短いんですけど、トイレから洗面所に行こうとするとグルッと回り込む必要があります。これでは風呂が家の真ん中にあるメリットが見出せません。
普通に端に風呂があったほうが良いかも
家の真ん中に風呂があったほうが良いと考えられる間取りは実際にあります。ただ、この物件に関しては、風呂を真ん中に持ってくるメリットを見出すことはできませんでした。そこで風呂を間取りの端に寄せて、もっと住みやすくなるように手直しをしてみました。
全体の間取りを考えると、やはりここは階段横に浴室と洗面脱衣所を持ってくるのが妥当と考えられます。トイレもそのすぐ近くが便利ですね。各部屋から等距離にあり、玄関から帰ってきたときも近くて合理的です。また、洗面脱衣所の位置自体はほぼ変わっていませんので、家事動線には影響ありません。
ついでにクローゼットもウォークインに集約
私にしては珍しく廊下を長くしてしまいましたし、浴室も洗面脱衣所も広くしてしまったので、実質的にすべての部屋が狭くなってしまっています。ただ、これはまったく問題ないと考えています。
たとえば洋室②。もともとクローゼットと物入れがあり、その前には家具が置けない状態でした。これをウォークインクローゼットに集約することで、家具レイアウトが容易になっています。部屋の広さが広いほど家具が置きやすいと勘違いされがちですけど、家具の置きやすさは部屋の広さとほとんど関係ないのです。そのことは実際にベッドやデスクの配置をイメージすればすぐに分かるはずです。
ちなみに洋室①と②は子供2人と夫婦の4人家族の場合、子供部屋にすることが一般的と思われます。これらの収納をウォークインクローゼットに集約することにより、洋服の片づけが容易になるはずです。
LDKから洋室③を完全に切り離し
一方、同様の家族構成で考えると、洋室③は夫婦の寝室になるかと思います。ここでも元の間取りは問題がありました。もともとはLDKと洋室③が引き違い戸で間仕切られていたわけですが、こんなところを間仕切られてしまうとテレビボードもソファも置けません。
LDKと洋室③の間に壁を隔てないことで、洋室③をリビングとして拡張できるようにという考えがあったのかもしれません。ですがそういう使い方を想定すれば、LDKは実質的にダイニングキッチンとして使うことになり、一般的には広すぎて持て余してしまいます。様々な使い方が想定されますが、一般的にはここは完全に壁で仕切ってしまって、洋室③は廊下から出入りできるようにすべきなのです。
そうすると洋室③は夫婦の寝室として使うにはクローゼットが足りません。私としてはワードローブを適当な場所に置けば良いと思うのですが、地震に敏感な神戸という土地柄を考えると、LDK側の壁面にクローゼットを設けたほうが良いかもしれません。
今回取り上げた間取りでは、残念ながら風呂が真ん中にあるというメリットは見出せませんでした。しかしながら、メリットが見出せるのであれば、風呂が間取りの中心にあってもまったく問題ないと私は思います。
水周りに窓を設けない限りは、水周りが間取りの真ん中にあっても全然問題ないと考えると、間取りの設計の自由度は高くなりますよね。
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