前回から始めました「収納間取り診断」。今回は収納マンが以前に住んでいた神奈川県大和市で物件を探してみました。前回は積水ハウスの「シャーメゾン」だったわけですが、今回はあろうことかダイワハウスの「D-room」を引き当ててしまいました。
やめておけば良いのに敢えて地雷を踏みにいってしまう自分の性格がつくづくイヤになります(苦笑)別に企業に頼らない生き方を目指しているわけではないんですけど、結果的にそういう風に自分で持って行ってしまっている感じがしますね。
それはさておき。前回は積水ハウスのシャーメゾンを褒めまくりましたが、ピンと来なかった方も多いと思います。ですが今後取り上げる間取りと比較すると、その良さが徐々に浮き彫りになってくると思います。
一応、先にお断りしておきますが、決してダイワハウスだから悪いということは一切ありません。積水ハウスだけが飛び抜けているだけで、あとはどれも同じようなもんです(ただし大手に関して言えば)。今回の物件に関しても、この家賃でこの仕様でしたら全然悪くないと思います。わたくし収納マンは決してウソは申し上げません(キッパリ)。
D-room(3LDK/神奈川県大和市)
- 家賃=8.7万円、管理費・共益費=0.45万円
- 敷金=無料、礼金=無料
- 間取り=3LDK、専有面積=70.72平米
- 築年月日=2016年03月、建物構造=軽量鉄骨造
物件詳細はコチラ(画像あり)
最寄駅から歩いて20分ほどというのはやや厳しいものの、今年建ったばかりの物件で管理費込みの家賃が9万円ちょっと、しかも敷金礼金ともに無料だなんて破格の条件ではないでしょうか。まさかバブル絶頂期に建てた物件のように基礎がないんじゃないかと思うくらいに安いです。もちろん大手のダイワハウスに限ってそんなことはないと思いますが。
それはともかく、この家賃にもかかわらず設備は豪華ですねー。システムキッチンは引出式ですし、浴室なんて分譲マンション並みの豪華さで、追い炊き機能も付いています。TVドアホンに温水洗浄便座も付いてますし、LDKの間仕切り戸もオシャレな感じで、見た目は立派ですねー。今どきの賃貸経営は本当に大変だとつくづく思います。
なんちゃってウォークインクローゼットあります
さて、注目の収納ですが、実にやっちゃってますねー。洋室③の上側に「なんちゃってウォークインクローゼット」というか「ステップインクローゼット」があります。日本人のウォークインクローゼット信仰はすさまじいと改めて思わされますねー。
ケチつけてるだけと思われても困るので、私だったらこうするというプランも示しておきたいと思います。
まずAプランはコスト優先です。折れ戸2枚分のコストが削減できるうえに、洋服を掛ける場合は幅約90cm×2本分だったパイプハンガースペースを4本分に増やせます。それよりも洋服を掛けた下のスペースにチェストを置いて使いやすいのがメリットです。
Bプランはコストが上がってしまいますが、トイレ側の収納スペースにはトイレットペーパーなどのストックを置き、その横はオープンスペースにして花瓶などを飾ります。ここに扉を設けないのは、ちょっとした弾みで階段から転げ落ちないようにするためです。洋室③側はいわゆる普通のクローゼットにします。このほうがステップインクローゼットよりも使いやすいうえに、洋室③が広くなります。それでも実質的な収納スペースはまったく減っていません。これぞ収納マン・マジック!(笑)
廊下のスペースが無駄!なのに動線が良いわけでもない
あとは廊下ですね。前回のシャーウッドの物件は廊下が1畳分ほどしかありませんでしたが、この物件は倍ほどあります。その割りにはLDKから洋室①にかけてのところで動線が絡まりやすくなっています。また、LDKから洋室③に行く動線を確保すると、家具のレイアウトがなかなか難しそうです。
そもそも10.1畳でLDKと言うのは無理があります。この間取りですと、システムキッチンの向かい側にカウンター式の食器棚を置き、その向こう側にダイニングセットを置くと、あとはテレビボードを置くのも難しい感じです。
洋室③をリビングとして使うという方法も考えられますが、それならなぜ洋室③にウォークインインクローゼットもどきを作っちゃったのかという疑問が湧きます。逆に寝室にすることを考えると、間仕切り戸がスケスケで落ち着きません。考えれば考えるほど、住む人のことを考えていない間取りですね(苦笑)
玄関近くの物入は折れ戸の向きが逆
最後は些細なことですが、玄関近くの物入は折れ戸を畳むのが逆向きですね。この場所は2階から降りてきてわざわざモノを収めるところではありません。外から入ってきたときに手が届きやすいようにすべきです。ですから物入を開けたときに、玄関とは反対側に折れ戸が畳まれるようにしないといけません。
また、この場所は奥行が深くて使いにくそうですね。下駄箱に収まりきらない靴を入れるには奥行が深すぎます。レジャー用品などを収めるには都合が良いかもしれませんが、棚板などはついているのでしょうか。ダイワハウスの場合、不用意に巨大な空洞を作ることが多いので、棚も何もないんじゃないかと思ってしまうんですが。見えないところのコストを削るのは得意技です。
それにしても、ダイワハウスは近藤典子先生とコラボしているはずなのに、賃貸ではそのノウハウが活かされていないんですかね。先生がこの間取りをご覧になったら発狂するんじゃないかと思います。
ともあれ、今回の間取りは残念なところが多かったわけですが、こういう間取りのほうがむしろ普通です。これ以上のものを求めるとなると、なかなかニーズにマッチした物件は見つかりません。この物件でこの家賃ならむしろ良いほうだと私は思います。
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