今回の「収納間取り診断」は山口県山口市からお送りします。
最近は賃貸住宅でもウォークインクローゼットが付いていることが珍しくなくなりました。いやむしろ、賃貸なのにウォークインクローゼットがある、収納が多いというネガティブイメージを覆す戦略が功を奏しているのでしょうか。
もっとも、実態としては「なんちゃってウォークインクローゼット」ばかりでお粗末な限りです。今回も例外に漏れず「なんちゃって~」なわけですが、それが2つもあるというのはなかなか珍しいですね。
では早速、間取り図を見てまいりましょう。
一戸建て賃貸(3LDK/山口県山口市)
- 家賃=7.7万円、管理費・共益費=0.1万円
- 敷金=3ヶ月、礼金=1ヶ月
- 間取り=3LDK、専有面積=84.06平米
- 築年月日=2007年02月、建物構造=軽量鉄骨造
物件詳細はコチラ(画像あり)
こちらの間取りは1階の玄関横と2階の洋室①の隣にウォークインクローゼットがあるのが大きな特徴です。しかし、玄関横のウォークインクローゼットは入って右側にパイプハンガーがあるだけでむしろ通路のほうが広い状態。これだったら廊下に面して普通のクローゼットを設けたほうが良いですね。
2階のウォークインクローゼットも入って左側にパイプハンガーがあるだけ。ただしこちらは右側に広いスペースがあるので、タンス置き場として使ったり、メタルラックなどを置いて布団を収納することもできます。ですから2階のほうに関してはこれでこれでありかなーとは思うんですけど、ちょっと中途半端な感は否めません。
あと、この間取りで気になったのは玄関です。玄関あがってからLDKのドアまでが近すぎでしょ!トイレに至る廊下までのスペースもLDKの広さに含まれていると見られ、ちょっと詐欺まがいだなーと感じるところが散見されます。
玄関横のWCLをシューズクローゼットに
この間取りを改善するとしたら、玄関横のウォークインクローゼットを玄関からも出入りできるようにしてシューズクローゼットとして使ったほうが便利だと思います。パイプハンガーを造り付ける必要はまったくないですね。もちろん、コート類を掛けるのに便利な場所ですし、洗面所に置ききれないタオルや下着などを置いても良いと思いますが、そもそも玄関自体が狭いですからシューズクローゼットとしても使えるようにしたほうがメリットが大きいと思います。
それとLDKの廊下のようなスペースは、ここは潔く廊下として区切ってしまったほうが良いでしょう。何しろ玄関の上り框が狭すぎますし、廊下を広くしてLDKのドアを外開きにしたほうが家具のレイアウトもしやすいはずです。空調管理もしやすいですね。
ウォークインクローゼットは1ヶ所にまとめてこそ華
2階のほうはまこれはこれでも良いのですが、収納はやはり1ヶ所にまとめたほうがベターです。各部屋に洋服を配達するのは大変ですし、洋室②のように半間の押入れのようなクローゼットなんてあっても中途半端で使いにくいだけですから。クローゼットの扉があるとその前には家具が置けないため、家具レイアウトも限定されてしまいます。各部屋に収納があることはハッキリ言ってナンセンスなのです。
そんなわけで、洋室①の上側のウォークインクローゼットを拡張し、洋室②と③からは物入をなくしました。ウォークインクローゼットは廊下からもアプローチできるようにしてあるので、洋室②と③から距離が遠いということはありません。ウォークインクローゼット内部は縦2列にパイプハンガーを設けると一番効率が良いですね。
この物件自体は築年数が9年で、それほど新しいとは言えません。しかしながら未だに「なんちゃってウォークインクローゼット」が量産され続けていますし、各部屋にクローゼットという悪習も変わることがありません。
収納は多ければ多いほど良いのではなく、むしろ数が少ないほうがベターです。だからこそ皆さん、3LDKの間取りの1室を納戸状態にしてしまうわけじゃないですか。それは決して悪いことではなくて、そのほうが使いやすいことを本能的に分かっているのです。
各部屋に収納を設けるより、使い方を限定されていない広いウォークインクローゼット=納戸があったほうが使いやすいということは既に多くの人によって証明されているのです。だからと言って、中2階や屋根裏のような、生活空間と完全に切り離された場所ではダメですよ。生活空間と同じフロアにある大きな収納でないと、それは死蔵スペースになってしまいます。
【関連記事】
コメント