最近は、2階にリビングダイニング、1階に各部屋がある間取りの一戸建ても、珍しくなくなりました。生活の中心であるリビングダイニングが2階にあると、「各部屋に行くために2階に上がるのが面倒」ということがなくなるほか、特に都市部ではリビングダイニングの採光が良いというメリットがあります。
間取りにはこのように何かしらのメリットや目的があることが一般的です。翻って、今回の「収納間取り診断」で取り上げる和歌山市の3LDKのテラスハウスはどうでしょうか。なぜ1階にリビングダイニングキッチン、2階に風呂や洗面所となっているのでしょう。
テラスハウス(3LDK/和歌山県和歌山市)
- 家賃=10万円、管理費・共益費=無料
- 敷金=1ヶ月、礼金=2ヶ月
- 間取り=3LDK、専有面積=96.99平米
- 築年月日=2016年03月、建物構造=木造
物件詳細はコチラ(画像あり)
こちらの間取りは、1階にLDKとトイレ、2階に浴室と洗面脱衣所と洋室3室となっています。一般的に、キッチンと浴室と洗面脱衣所は同じフロアにあることが多いので、こういう間取りは非常に珍しいです。いったい、どういうメリットが存在するのでしょうか。
浴室と各部屋が同じフロアであれば、入浴の際に下着やパジャマを用意するのが楽です。また、浴室からの眺望が良いのかもしれません。起きてからまず顔を洗ったり、朝風呂を楽しむには最高かもしれません。
1階も含めた間取り全体で考えると、階段の位置に注目すれば、玄関からリビングまではパブリックゾーン、キッチンから奥はプライベートゾーンであるとも考えられます。お風呂から上がったらお客さんが来ていた…なんてときにも困らない間取りだと思います。
「洗濯動線」が考えられていない間取り
このようにメリットもいくつかありますが、個人的には極めて男性目線というか、家事を無視した間取りだなーと思いました。洗濯をするときの動線を考えた場合、各々が洗濯機に洗濯物を放り込むのは簡単です。しかし、この間取りは2階にベランダがなく、1階のリビングダイニングに面した庭に洗濯物を干すことになります。
階段を上り下りする必要がありますし、家具を置いた場合にその間をすり抜けて洗濯物を干しに行ったり取り込みに行くのは大変です。決して風呂と洗面脱衣所を2階に持ってきたこと自体が悪いのではなく、どうしてベランダを設けなかったのかが不思議なのです。
2階にベランダを設けるだけで格段に暮らしやすくなる
というわけで、収納マンが手直しをしてみました。玄関の上にベランダが来ることで外観が不細工だったり、仕様にやや難しい問題があるかもしれませんが、そもそも斜めになった玄関がおかしいと思うので、逆にそこをいじれば何の問題もないでしょう。
2階にベランダを設ける場合、ベランダに面した部屋を寝室とするのが妥当です。洗濯物を干したり取り入れる度に、子供部屋を通過されるのは子供にとってイヤじゃないですか。この間取りは浴室が北側、元の間取りの洋室②と③が南側なので、こちら側を寝室を設けるのが適切と言えます。
で、夫婦の寝室には、女性は180cm、男性は90~120cm程度のクローゼットの幅が必要になります。なおかつ大きなベッドを置こうと思ったら、もうこの間取り以外には考えられないのですね。家族全員で3畳のウォークインクローゼットを共有することで収納量を十分確保し、家具のレイアウトもしやすくなり、畳んだ洗濯物を片づけるのも楽になります。おまけに建築コストも下がって、良いこと尽くめです。
この物件を建てたのはどこかと調べてみたら、和歌山市内の不動産コンサル会社ということでした。万事メリットばかりという工務店やハウスメーカーも存在しないとは言え、やっぱり不動産屋と工務店とハウスメーカーは同じように見えて、根本的に異なると私は思います。
- 不動産屋→家は資産
- 工務店→家は技術
- ハウスメーカー→家は暮らしの場
いずれも間違いとは言えませんが、個人的にはやっぱり家は暮らしの場だと思います。ハウスメーカーがすべて暮らしやすさを考えているとは言えないものの、家はやはりビジョンを共有できる会社のものを選ばなければいけません。
【関連記事】
コメント