収納グッズをメインに紹介するのではなく、メーカーにスポットを当てて紹介する「収納グッズメーカー列伝」。第4回目は「TOWER(タワー)」シリーズなどヒット作を数え上げるとキリがない山崎実業を紹介したいと思います。
アイロン台や傘立てが主力商品だった山崎実業
山崎実業の設立は1971年ながら、創業は大正初期となっています。”60年を超える歴史のあるインテリア雑貨の専門メーカー”ということで、もともとどういう商いをしていたのか興味があったんですけど、残念ながら詳しい情報を見つけることはできませんでした。本社は奈良県生駒郡安堵町ということで収納マンのオフィスから遠くなく、一度取材を試みましたが丁重にお断りされてしまいました(苦笑)
TOWERシリーズなどがヒットする以前の主力商品はアイロン台や傘立て。もちろん現在も主力商品ですけど、TOWERシリーズなどがキッチンなどを中心に展開されていることを考えると、ちょっと毛色が違う感じもします。
初期のヒット作はレジ袋スタンド「プレート」
近年、ヒット作を連発している山崎実業ですが、その最初はレジ袋スタンド「PLATE(プレート)」だったのではないかと思います。大手カタログ通販で見かけるようになって、「おおっ!これは!」と思った記憶があります。
その後、キャップハンガーの「RINGS(リングス)」、スリッパラックの「LINE(ライン)」
などがやはりカタログ通販で見られるようになりました。ここからは怒涛の勢いでヒット作を連発。カタログ通販だけでなく、ホームセンターでも山崎実業の商品を見かける機会が増えました。アクタスにもたくさん並んでいるところを見ると、デザイン的に高く評価されていることが分かります。
オシャレなのに安くて実用的!
山崎実業の商品が素晴らしいのは、一言で言うと「オシャレなのに安くて実用的」と三拍子揃っていることです。レジ袋スタンド「プレート」の発売からかれこれ10年近く経つと思いますが、未だにオシャレな収納グッズは価格が高くて当たり前です。しかし、山崎実業の場合はオシャレなのに拍子抜けするぐらい手頃な価格のものばかりなのです。
しかも、基本的にスチール製のものがほとんどです。一方で、家庭用品と言えば多くがプラスチック製。力の抜けるようなデザインばかりで、耐久性もあまりありません。その点、山崎実業のスチール製の収納グッズは丈夫なだけでなく、シンプルな構造を実現することができ、実用的でオシャレなのです。
これだけオシャレで素晴らしい商品が、大阪と奈良を隔てる生駒山の麓で作られていることは、私にとってものすごく不思議です。奈良県って言ったら、家具屋不遇の地と呼ばれるほどインテリア業界とはまったく無縁の地域ですよ。
最近のインテリア業界は、いかにマーケティングの力で商品を良く見せて売るかという風潮があります。しかし山崎実業はまったく逆を行っていると思うのです。無用なメディアへの露出は控え、ことさら商品を良く見せることに力を入れるよりも、ただひたすら良いものを作ろうと努力する。そういう姿勢を貫いているんじゃないかと思います。
山崎実業というだけあって、虚業に走らず、実業を大事にしているんでしょうね。口で言うのは簡単ですけど、なかなか真似できないものです。
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