フリマアプリで圧倒的No.1の「メルカリ」が、全国のフリマアプリ利用者500名と非利用者500名の計1,000名を対象に「フリマアプリ利用者と非利用者の消費行動」に関する意識調査をおこないました。
その結果は現代の消費者行動を知るうえで非常に貴重と言える一方、個人的にはメルカリに忖度したのではないかと思わずにいられない微妙なものでした。
新品へのこだわりが低下!?
出典:メルカリ(以下同)
調査結果を順番に見ていきましょう。まず、商品を購入する際に重視していることについて問うたところ、上表のようになりました。
まず、「価格」、「品質・機能」、「信頼性(販売者・販売店)」が上位3位を占めました。多くの人が重視するところなので、この結果には納得できることでしょう。
しかし、メルカリの解釈は少し異なります。上位3位の結果には一切言及することなく、4位に僅差となった5位の「新品であること」を取り上げて”「新品であることが重要」と回答した人は3割以下”と述べているのです。さらに、”新品であることを重要視している人は少数”とまで言ってのけています。これらの数字を見る限り、いくらなんでも”少数”は言い過ぎでしょう。
“新品離れ”が進んでいる!?
それ以上に奇妙なのが、”若者の間で中古品に抵抗がない人が増え、“新品離れ”が進んでいる”と述べている点です。上の結果を見る限り、確かに若い世代ほど中古品に対する抵抗感が少ないことは言えると思います。しかし、過去のデータと比較することなく””新品離れ”が進んでいる”と述べるのは、統計学上、おかしな指摘と言えるでしょう。
若い世代が年を重ねて世代交代が進めばその傾向が顕著になる可能性はもちろんありますが、現代が変化に富んだ時代であることを考えると、中古品に代わる選択肢が登場することも否定できません。
フリマアプリ利用者は中古品の購入機会が多い
次に、中古品の購入機会について問うたところ、フリマアプリ非利用者に比べて同利用者は中古品を購入する機会が増えたと答える人がかなり多いという結果となりました。これは利用者自身が「良い」と考えてリピートに繋がったと考えられます。
ただ、これはフリマアプリに限らず何にでも言えることではないかと思います。たとえば私はアマゾンや楽天市場のヘビーユーザーですが、もちろん最初からそうだったわけではありません。逆に、使ったことがないサービスや商品に抵抗感を示す人がいることは当然だと言えるでしょう。
中古品を買う最大の理由はワクワク感
次に、中古品を購入する機会が増えた理由について問うたところ、上表の結果となりました。「掘り出し物を探すワクワク感があるから」、「中古品の質が上がったから」などという意見が上位を占めていることが分かります。
個人的には中古品にはあまり興味を持てないのですが、「中古品」を「中国製品」に置き換えると納得できるところがあります。アマゾンでは得体のしれない中国製品が多数販売されており、最初は抵抗を示したものの、買ってみれば意外と問題なかったからです。
つまり、これも抵抗感さえ払拭できれば中古品に限らず、どんなモノに対しても言えるのではないかと思います。決して中古品を中国製品と同列視するという意味で申し上げているわけではありません(苦笑)
モノを大切に扱うようになったって素敵!
私は今回のメルカリによる調査結果をすべて否定的に見ているわけではありません。フリマアプリ利用者に対して様々な経験を問うたところ、「売るときのことを考えて大切に使うようになった」という回答が上位に挙がっています。これは非常に良いことではないでしょうか。
収納上手になるためには、まずモノを大切にするということがもっとも重要です。これは靴のかかとを踏む癖がある人でも通帳や印鑑はちゃんと場所を決めて収納していることを見ても明らかです。モノはひとつひとつ丁寧に扱えば自然と片づくものなのです。
また、フリマアプリが登場する以前は、買ってすぐに失敗したと感じても手放す方法が限られていました。しかし、フリマアプリを利用すれば、サイズが合わなかった洋服などもタンスの肥やしにするリスクを減らすことができます。
フリマアプリを使って期待した価格で売り逃げるのは難しいものの、選択肢が与えられているだけでもありがたいことだと思います。
フリマアプリ利用者は非所有傾向あり?
ともあれ、ここもちょっと首を傾げるところです。消費に対する意識についてフリマアプリ利用者と同非利用者に問うた結果が上表なのですが、これについてメルカリは以下のように述べています。
フリマアプリ利用者は非利用者より「一時的に必要なものはレンタルなどで済ませたい」、「ストーリーや理念などがある企業の商品を持ちたい」、「人とは違うモノを持つ・体験をすることを重視する」 傾向にあり、自らが共感できるブランドで、人とは違うモノを所有したり体験したいと思っているが、一時的なモノは所有するのではなく利用するだけでいいと考えている傾向にあることがわかりました。
この解釈は分からないでもありません。「一時的に必要なものはレンタルなどで済ませたい」、「ストーリーや理念などがある企業の商品を持ちたい」、「人とは違うモノを持つ・体験をすることを重視する」という3項目は利用者と非利用者で10%前後違いが見られるからです。
しかし、5位以下はほとんど10%前後の違いが見られますし、10%が大きな違いだと言うのであれば1~4位の結果のほうが重要だと言うこともできます。
すなわち、この点に関する解釈についても、ちょっと無理矢理な感じがしますね(苦笑)
冒頭でも述べた通り、この調査結果自体は現代の消費者の考え方や行動を知るうえで有意義だと思います。しかし、自社に有利にはたらくように都合良く解釈してしまっては、せっかくの貴重な調査結果が台無しです。馬鹿な消費者なら騙せるでしょうけど、こんな下手な小細工をすれば逆にイメージの悪化を招くのではないでしょうか。
地域密着型フリマアプリの「メルカリ・アッテ」は頓挫しちゃったようですが、上場が期待されているメルカリですから、今後も信頼を裏切らないように頑張ってもらいたいものですね。
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