フリマアプリを運営するメルカリが、全国の20~69歳の男女1,000名を対象にインターネットで「大掃除と断捨離」に関する意識調査を実施しました。その結果、「昨年の大掃除で処分されたモノの上位3カテゴリーの機会損失額が一人あたり約5.8万円と推定される」と発表したのですが、どうもこれが私には鵜呑みにできないのです。
そのことを説明する前に、調査結果を順番に見ていきましょう。
昨年の大掃除で処分されたモノ上位3位は洋服・靴・本
出典:PR TIMES(以下同)
今回のメルカリの調査によると、昨年の大掃除で不要品として処分したモノの上位は上表の通りとなりました。1位は洋服、2位は靴、3位は本となっており、バッグ、CD・DVDがそれに続きます。
これについては、「はいそうですか」という感じです。
年末処分品上位3種の推定機会損失額は5.8万円/人
問題はここからです。”昨年の大掃除で処分されたモノ上位3つを、当該カテゴリーにおけるメルカリでの平均単価から推計したところ、その機会損出額は一人当たり58,250円という結果”となったそうなんですけど、いくつか疑問があります。
推定機会損出額が実際よりも過剰では?
まず、「機会損出額」を弾き出すには「平均単価」とその「数」が分かる必要があります。しかし、いずれについてもここでは示されていません。メルカリは平均単価をあまり表に出したくないようで、過去の発表を見ても全カテゴリーひっくるめて3,000円程度という数字しか出ていません。また、処分した洋服の枚数などは調査によりメルカリのほうでは分かっているのでしょう。
そこは理解したうえで敢えて言うならば、売買成立による平均単価と昨年末に処分したモノの価値はまったく違うはずなのです。もちろん、メルカリでの平均単価を超えるようなものを昨年末に処分してしまっていた可能性はあるでしょう。しかし、実際に捨てた洋服などは平均単価を下回る、もしくは売買が成立しないようなものが大半を占めると考えるほうが自然ではないでしょうか。そう考えると、この推定機会損出額は実際よりも過剰に算出されたと言えます。
本の推定機会損出額を見る限り過剰では?
洋服や靴は定価がピンキリですが、本は1,500円以下のものが大半です。もちろん、プレミアがつく写真集などのほうがフリマアプリでは活発に売買される可能性が高いとは言え、普通はそういうものは簡単に年末に捨てることはないはずです。
今回のメルカリの発表では、本の推定機会損出額は16,503円となっています。仮に平均単価が1,000円とすると16冊、同じく500円とすると32冊です。定価が500円以下のコミックや雑誌が多く含まれていることを考慮すれば、平均200円として82冊程度と考えたほうが妥当かもしれません。そのように考えると、捨てた本の推定機会損出額も過剰に見積もりすぎではないかと思います。
男女で同様に見積もれないのでは?
メルカリでは、洋服と靴は「レディース」または「メンズ」カテゴリーに含まれており、レディースはメルカリの全取引のうち26%を占める一方、メンズは8%に過ぎないことが過去に明らかになっています。このことから、男女が同じように洋服などを出品しても男性は女性の1/3以下の確率でしか売買を成立させられないと推定することも可能です。
もちろん、女性は男性の3倍以上も洋服などを持っていると推定することもできますし、単にレディースとメンズの市場規模が異なるだけで確率は問題ではないと言うこともできます。また、推定機会損出額はあくまで男女の平均であるため、女性はそれよりも高く、男性はそれよりも安いと見れば良いだけかもしれません。しかしそれならば、少なくとも男性は鵜呑みにしないほうが良い数字と言えるでしょう。
以上のように、私は今回のメルカリの発表は鵜呑みにできないと思いました。年末のくそ忙しい時期にせっせと不要品を出品し、売れたら売れたで発送する手間のことも考えると、仮に5.8万円をゲットできてもあまりうれしくないようにも思いました。
とは言え、メルカリへ不要品を出品すること自体を否定するつもりはまったくありません。不要品でも他の人に使ってもらうことができれば資源の有効利用に繋がります。おまけに、おこづかいを手にすることもできます。単純に手放すことが難しかったモノでもメルカリを使うことで気軽に手放すこともできるかもしれません。
そういうメリットがたくさんありますので、不要品の処分にメルカリを活用すること自体は肯定的に捉えています。ただ、今回の発表が胡散臭かったというだけです(苦笑)
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