片づけるというと、まず捨てなきゃならないと思っていませんか?しかし、私の経験から言えばそんなことはありません。片づけるにあたって捨てるということはほとんど重要ではないのです。
ではなぜ、片づけるためにはまず捨てなければならないという誤解が蔓延しているのでしょうか。これはおそらく、収納のプロではなく物書きの方が「私がやって成功した方法」をもっともらしく書いた本のほうが、マスコミ受けが良いからだろうと思います。つまり、マスコミを通じて誤解が蔓延していると言えます。
現場をたくさん知っている収納のプロほど、捨てることは重要でないことを知っています。しかしながら、そのことについて書いたものはそれほど多くありません。その点、先日も紹介した片づけコンサルタントのseaさんの記事は貴重な存在と言えるでしょう。

「捨てなきゃ」というのは思い込み
おうちにお邪魔して、「お宅は、決して物は多くありませんよ」とお伝えすると、大変驚かれます。これは安心させるためのリップサービスではありません。実際のところ、訪問する10軒のうち8軒ほどの物の総量は、ごく一般的な範囲に収まっています。
上記はseaさんの記事の1ページ目の一節ですが、これは私も強く同意するところです。片づけなければならないと思っている人の多くが、モノが多い、だから捨てねばならないという強迫観念を持っています。だからそこを私が否定しても、リップサービスだと勘違いされてしまうのです。
もちろん、逆に言えば10軒中2軒くらいは本当にモノが多いです。しかし、それはあくまでレアケースですし、そこまでモノが多い場合はたいてい本か洋服が多すぎです。なんでもかんでもモノが多いというのは、ゴミ屋敷でない限りあり得ません。
ですから、収納のプロに言わせれば、モノが多いとか捨てなければならないというのはほとんどの場合、その人の思い込みです。そういった強迫観念では他人を動かせても自分自身は動かせません。まずそのことを思い込みであると気付くことが大切です。
使用頻度を意識するだけでかなり片づく
多くの家では、使う頻度にかかわらず同じ密度で物を収納しています。ですから、たったこれだけのことで、あっという間に収納スペースにゆとりが生まれます。
片づけ本を読んでいても「使用頻度」に触れているものは少ないです。その点でも、seaさんの記事は大変すばらしいと私は思います。
この記事でも書かれている通り、使用頻度を意識して1軍のモノをまず使いやすい場所に収納し、残りのモノを余ったスペースに収納すれば、使いやすさはアップし、なおかつたくさん収納できるのです。それでも収まりきらなかったモノは、捨てなければと思うまでもなく、自然と手放すことができます。
片づけ方の基本手順
- 特定の収納場所からモノを一品残らず全部出す
- 使用頻度の高いモノを出し入れしやすい場所に収納する
- 余ったスペースに2軍のモノを収納する
- それでも収まりきらなかったモノは手放す
改めて片づけの手順の基本パターンを示すと上のような流れになります。もちろん、種類別に分けたり、家族別に分けたり、ほかにも色々と分類方法を検討したほうが良い場合もあります。
また、収まりきらなかったモノが手放せない場合は、ダンボール箱に詰めて別の場所に死蔵しておいても構いません。ですが、私が今までにお手伝いしたクライアントにはそんな人はいませんでした。最初は「捨てられない」と言っていたのに、こちらが躊躇するほどどんどんモノを手放していくのです。
私が思うに、捨てることから始める片づけは最悪です。モノは生活を豊かにするためにあります。しかし、捨てることを最初に考える人はモノを悪者のように思っています。
つまりこの状態は、物事の状態を一面的に捉えてしまっていると言えます。この状態の人からは、家族に対する愚痴も多いです。家族に対する感謝の言葉がなく、片づけてくれないとか、モノを捨てないとか、そういう不満の声ばかりが次々と出てきます。
ちょっと話が横に逸れてしまいましたが、片づけるにあたって捨てることはまったくと言って良いほど重要ではありません。自分オリジナルの成功法を説いた物書きではなく、数々の経験を積んだ収納のプロの言うことを信用していただければと思います。
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