未だに底が見えないIDC大塚家具。昨秋の在庫一掃セールでは前年度を上回る売上となったものの、直近6月までは既存店ベースで1~2割減をコンスタントに叩き出す状況となっています。店舗数も1年前の19店舗から現在は13店舗まで減っており、非常に厳しい状況です。
しかしながら、悪いニュースばかりでもありません。ECでの売上高は前年比108.1%と好調。2018年12月期決算のEC事業売上は3億9600万円まで伸長しており、今期もかなりの成長を期待しているようです。あわよくばECで年商の2%くらいを賄える可能性があります。
また、直営店は減少の一途、地方百貨店との提携も一段落してしまった感がありますが、ヤマダ電機との業務提携が加速しています。
インテリアリフォームYAMADA前橋店
2019年2月のヤマダ電機との業務提携の基本合意以来、大塚家具は着実に提携を進めてきました。LABI品川大井町、家電住まいるYAMADA幕張店に社員を出向して家具販売のノウハウを提供。その後はさらに出向する社員を増やし、ソファの卸も手掛けています。
そして、2019年7月19日に両社の初コラボ店舗として「インテリアリフォームYAMADA前橋店」をリニューアルオープンすることに。店舗面積3,200平米のうち家具インテリア品群が約2,000平米も占めるという立派なインテリアショップです。
低価格帯と高価格帯が共存する売場
従来からヤマダ電機が推進している家電とインテリアの複合業態「家電住まいるYAMADA」では、ニトリと競合する価格帯の商品ラインナップとなっています。そこに大塚家具の販売員が出向したところで何をするのやらと思っておりましたが、インテリアリフォームYAMADA前橋店では低価格帯のヤマダと高価格帯の大塚家具の両商品ラインナップが併存する売場となっている模様です。
オープニングチラシを見ると、たとえばヤマダのベッドマットレスは1万円台から、大塚家具は5万円台からとなっています。ソファならヤマダは1万円以下から、大塚家具は5万円台からという具合です。価格帯がまったく被っていません。まるでニトリと島忠ホームズあたりが同居しているような商品ラインナップです。
ちょっと奇妙な戦略のようにも見えますが、ヤマダからすれば大塚家具の販売員が高価格帯に誘導してくれる可能性があり、売上アップが狙えます。また、ニトリにガチで対抗したところで勝てるはずもなかったのが、ヤマダならピンからキリまで見ることができるということで差別化要因とすることができます。
大塚家具としても、チャンスさえあれば自信のある商品を自らの販売力で売ることができると踏んでいるのでしょう。店舗数の減少に伴う社員の再配置も効率的におこなえますし、その点では昨今の人手不足でヤマダとしても願ったり叶ったりだと思います。
ヤマダ電器と大塚家具の提携というのは当初はちょっと違和感があり、販売ノウハウの提供や商品の供給というのはちょっと奇妙なスキームだと感じました。しかしながら、前橋店のリニューアルで「これならいけるんじゃないか」という感じになってきたように思います。
インテリアリフォームYAMADA前橋店では家電は扱っていないものの、家電と家具はもともと相性が良いと言われています。それを実現した成功例がないところが説得力に欠けるのですが、今後、ヤマダ電器と大塚家具が実現してくれるのではないでしょうか。
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