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レンタルより現実的!?「グリニッチ」が家具購入5年後に半値で買い取るサービスを開始

ここ最近、家具のレンタルサービスがにわかに注目を集めています。モノを持たないミニマリスト的な暮らし方への憧れが影響してニーズを掘り起こしていると思われますが、今のところ私は難しいと考えています。

家具のレンタルはビジネスとしては成り立つと思うんです。現状、1脚あたり1,000円で買えるチェアを月額1,000円で最低半年以上の利用を条件に貸し出したりしていますからね。往復の送料を考慮しても十分に儲かります。しかしながら、消費者もそんなに馬鹿ではありません。そんな不誠実な商売は長続きしないでしょう。

その点、これはいけるかもと思いました。東京は代官山と鳥取県米子市に店舗を置く「グリニッチ」が12月15日から始めた、家具の購入から5年後でも販売価格の最大50%で買い取るというサービスです。

 

良い家具は欲しいけどいつまで使う?

グリニッチの北欧ビンテージ家具

出典:PR TIMES(以下同)

良い家具を買う際の悩み

家具というのは直接肌に触れることが多い生活用品ですから、どうしても傷みます。また、かさが高いため配送コストが高くつきます。そのため、基本的にレンタルという仕組みはあまり適しません。

しかしながら、もっと気軽に家具を利用したいというニーズが高いのも事実です。死ぬまで使えるような良い家具を身の回りに置きたいけれども、ライフスタイルに変化が起きたときのことを考えるとそれは難しいと感じる人もいることでしょう。これから結婚や出産、引越しが想定される方はなおさらです。

でも前述の通り、レンタルというのは難しい。そこで、グリニッチは買取りを保証するというサービスを始めたわけです。



グリニッチの家具買取りサービス

「Re;greeniche」サービスの流れ

グリニッチの家具買取りサービス「Re;greeniche」の概要は以下の通りです。

  • 購入後5~9年後は販売価格の最大50%で買い取り
  • 同10年後は最大40%で買い取り

また、買取りにあたってはいくつかの条件があります。

  • 2018年12月14日以降にグリニッチで購入した北欧ビンテージ家具商品に限る
  • 適切な使用方法に基づいて使用された商品に限る
  • ユーズド家具としての販売が困難なものを除く
  • ファブリック・レザー・ラタン等の消耗品は、その素材価格、工賃を除いた買取査定となる
  • 鳥取県米子市の工房までの運賃はお客様負担
  • 社会情勢の著しい変化により買取できない場合あり

 

アリだけど難しさもあるサービス

対象は北欧ビンテージ家具のみ

「Re;greeniche」は良いサービスだとは思うのですが、いくつかの点で難しさを感じさせるところがあります。まず、グリニッチではリペアした北欧ビンテージ家具と新造の家具を扱っているのですが、買取りしてもらえるのは前者のみとなります。つまり、言い方は良くないかもしれませんが、中古品を買ってまたそれを買い取ってもらうというかたちですね。

しかも、グリニッチの北欧ビンテージ家具はアームチェアで4万円台から40万円台となかなか高価です(2018/12/15現在)。基本的に一点物なのでこれを高いとか安いとか言うのは難しいですけど、あまり一般的な価格帯でないことは確かです。

表面材等の消耗部品および工賃は差し引いて買取り

また、たとえばソファは5年も経てば張地やウレタンが傷みます。そのため、ビンテージのソファを買い取ってもらう場合はそれらの部材や工賃を差し引いて買取りとなるようです。つまり、実際の買取価格は50%を下回ることになります。

商品写真を見る限り、そんなに高価な張地やウレタンは使っていなさそうですが、アームチェアでも2~3万円差し引かれることも少なくはないのではないでしょうか。

工房までの運賃負担が結構大きい

買い取ってもらう場合は鳥取県米子市の工房まで送る必要があり、工房の近くに住んでいない場合は運賃の負担が結構大きくなります。たとえば代官山店の近くでアームチェアを買った場合、ヤマトホームコンビニエンスを使ってCランク(三辺合計250cm以下)として工房まで送ると送料は税込9,342円となります。3人掛けソファならその倍以上です。

仮に税別45,000円のアームチェアを9年使って半値で買い取ってもらえるとして22,500円。そこから送料(9,342円)を引いて13,158円。張地やウレタンを交換するとなると、おそらくマイナスです(苦笑)

 

とは言え、これが実際に消費者としてメリットを感じられるか否かは使い方次第のところが大きいと思います。基本的には消費者のことを考えた良心的なサービスです。グリニッチの鳥取県米子市の工房の近所に住んでいて、自分で持ち込めるようなら、送料の負担の問題はありません。また、テーブルや収納家具など、目減りしないものであれば材料代や工賃を請求されることもないでしょう。

冒頭で申し上げた通り、家具はやっぱり物流コストが大きいのが難しいところです。理想を言えば、地元の家具店が良い家具だと言って売るなら何年後かに買い取ってリペアして再販してくれれば良いのです。しかしながら、リペアするよりも大量生産された家具を売るほうがメーカーにとっても消費者にとっても合理的なんですよねー。

グリニッチのソファの製作風景の動画も拝見しましたが、驚くほど手作業なのですね。これで手作りだから高品質と言えれば良いのでしょうけど、私の考えはまったく逆で、国産大手メーカーなら同じものでももっと安く、もっと高品質で作れると思います。

今回の家具の買取りサービスはあくまでビンテージ家具だけが対象なので新造の家具は関係ないのですけど、やっぱり合理的なことを考えてしまうと色々と不都合な真実があると痛感します。

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コメント

  1. 木ネジ真鍮 より:

    こうゆう考え方の人がいるから、職人が減り職人の地位が下がり日本の家具業界がダメになったんだと感じました。今後家具の事を語って欲しくない。

    • 収納マン より:

      木ネジ真鍮さま

      はじめまして。

      「こうゆう考え方の人」っていうのはつまり私のことですよね?
      どのあたりがお気に召さなかったのでしょう?

      そのあたりが明らかにならないと議論になりませんが、私の考え方と、家具職人が減るとともに地位が下がっていることはまったく関係ないと思います。

      家具職人が減っているのは、市場がピーク時に比べて半分になっているからです。
      また、海外に生産が移管しているためです。
      それは私がこの業界に片脚を突っ込んでしまった時期よりも前の話です。

      家具職人の地位が下がっているというのもどうでしょう?
      時代が進むとともに相対的にそう捉えることは可能かもしれませんが、昔から職人の地位は低いままですよ。
      もし木ネジ真鍮さんが家具業界の人だとしたら、そうは思いませんか?