今ではちょっと考えられないことですが、私が収納のプロとして独立した当時はクライアント宅にスチールラック(アングル棚)を頻繁に導入していました。いわゆるメタルラック系はまだまだ高価、もしくは品質にバラつきがあった一方、スチールラックは安価で実績もあったからです。実際、居間で様々なモノを収納するにも普通に使われていました。
しかしコレの組立てが本当に大変で、ずしりと重い大量のボルトとナットとワッシャーが入った箱を開け、せっせと電動ドライバーを使って組み立てていかなければならないのです。のちに価格が手頃になったメタルラックに取って代わられたのは当然の結果でした。
とは言え、スチールラックのメーカーもただ指をくわえて眺めていたわけではありません。着実にどんどん進化していきました。
家庭用の収納用品をメインに扱う私には馴染みがなかったのですが、先日の「LIVING&DESIGN2018」で見る機会に恵まれたのでご紹介したいと思います。
太陽製作所・リノバック

出典:東大阪ブランド推進機構
スチールラックの老舗メーカーである東大阪市の太陽製作所の「リノバック」は床面のガイドレール上を移動させることができる組立式移動棚です。狭い部屋でも効率良くたくさん収納することができるというものですね。
しかし、以前にこちらでルミナスラックのスライドレールユニットを紹介しているので、その仕組み自体には目新しさはありません。私が注目したのはむしろボルトレス構造です。
太陽製作所・ボルトレスラック
太陽製作所のリノバックはまだ一般販売されていないようですが、「ボルトレスラック」は既に何年も前から販売されています。ボルトレスラックはその名の通りボルトを使わない構造で、昔のスチールラックのように大量のボルトで固定する必要がないのです。
ボルトレスラックはメタルラック同様にゴムハンマーで叩いてハメ込んで組み立てます。また、キャスターやアジャスターといったオプションパーツもいくつか用意されています。価格帯もほとんど変わらない感じです。
一方でメタルラックと異なるのは、棚板が基本的にフラット、棚板1枚あたり耐荷重は最大で500kgといったメリットがある一方、柱が穴ボコだらけで、棚板ピッチが50mm刻みと広いといたデメリットもあります。
なお、天地板のみボルトが必要で、価格を少し抑えたセミボルトレスラックというものもあります。
いわゆるメタルラックの多くは中国や台湾で作られていますが、太陽製作所のボルトレスラックは東大阪市で作られた国産品であることもメリットの一つと言えるでしょう。それでいて価格がほとんど変わらないのですから、コスパはメタルラック以上とも言えます。
また、太陽製作所のボルトレスラックはメタルラック以上に左右方向に連結して使いやすくできています。柱1本分のスペースとコストを抑えることができるのは極めて合理的です。
一方で、家庭用ではメタルラックでもオーバースペックなのに、ここまで頑丈な棚はあまり必要ありません。オプションパーツが少ないという点でも物足りなさを感じることもあるでしょう。見た目もちょっと家の中で使うには武骨すぎます。あと、少なからず錆びる可能性はあるでしょう。
以上のデメリットとメリットを踏まえたうえで、物置や納戸部屋で使うには非常に適していると思います。もちろん業務用としては最適でしょう。個人的には、機会があれば一度使ってみたいですね。
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