「LIVING&DESIGN2016」(場所:大阪南港ATCホール/会期:10月12日~14日)に行ってきました。”住まいと暮らしのリノベーション”をテーマに2009年からスタートした住空間の国際見本市で、基本的にその道のプロを対象としたイベントです。住宅、設備、家具、照明、ファブリック、雑貨関連の、メーカー、デザイナーなどが多数出展しています。
収納マンがこのイベントを見に行くのは数年ぶり。インテリアの勉強にはなりますが、基本的にメーカーや販売店などのバイヤー向けという感じであるため、私にはちょっと場違いな感じがするのです。
ただ今回はひとつどうしても見ていおきたいモノがあって久しぶりに足を運ぶことにしました。そのついでに会場を見て回って見つけたのが、トーマのウォールシェルフ「ZIGRACK(ジグラック)」です。
トーマ「ZIGRACK(ジグラック)」
前回もオスマックの「壁に付けられるすのこ」と「すのこに掛けられる家具」を紹介しましたが、この手のチョイ置きラックは今やたくさん市場に出回っています。いくら私がこの手の商品が好きと言っても、ちょっとやそっとでは反応しません。
こちらの「ZIGRACK(ジグラック)」も、最初はただジグザグな形をしたチョイ置きラックだと思いました。しかし、そうではなかったのです。ジグラックの特徴を簡単に言うと、見た目が美しく、軽くて、取り付けが簡単なのです。
表面に継ぎ目がほとんどなく軽い
ジグラックは合板でできていますが、角の部分に継ぎ目が見られません。普通、合板でこういうものを作るとどうしても表面に出てしまう継ぎ目がないのです。そのため見た目が美しく、角から表面が剥がれる心配も少ないと言えます。
しかも、手に取ってみるととても軽いのです。前回のオスマックのウォールラックも桐でできていて軽いのですが、それよりも軽く感じられるのです。
秘密は室内ドアで培った「Vカット工法」
見た目の美しさと軽さを実現できている秘密は、トーマ独自の「Vカット工法」にありました。オレフィン樹脂シート貼りのMDF合板にV字の切れ込みを入れ、そこで山折りにしているのですね。
表面のオレフィン樹脂シートを残して切れ込みを入れるので、表面は繋がったままで継ぎ目がありません。また、この構造であれば普通はファルカタ(洋桐)のランバーコア(ベタ芯)にすることが一般的ですが、Vカット工法を使えばフラッシュ(中空)構造でも作れてしまうというわけです。それで軽くできるんですね。
こちらがVカットしたオレフィン樹脂シート貼りのMDF合板です。以前に紹介した伸晃(ベルカ)の「キューブボックス」と同じ仕組みというわけですね。
ジグラックは既にアマゾンでも販売されています。国産ということもあってやや高めの値段ではありますが、賃貸グレードの建具同等の質感ですので、見た目は値段相応に良いと思います。また、石膏ボード壁への取り付けの際の小釘の本数が多くはないので、設置は比較的簡単だと思います。
先ほど少し触れましたが、トーマはVカット工法を用いた室内ドア製造をメインとしています。室内ドアが軽くて美しいのはトーマのおかげなんですね。室内ドアくらい大きければ一般的なフラッシュ構造でも大きな差は出ませんが、トーマのVカット工法を使えば継ぎ目を少なくしてより美しく仕上げることができるわけです。
今後、日本では少子化が進んで、住宅着工件数が頭打ちになることが予想されますから、室内ドアの出荷も伸び悩むことでしょう。かと言って収納用品の市場の展望が明るいわけでもないと思いますが、このトーマのVカット工法が収納用品の世界の新しいドアを開けてくれるような気がしました。
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