ダイヤモンドオンラインに連載中の「タスカジ最強家政婦seaさんの人生が楽しくなる整理収納術」は、記事を読むたびに唸らされます。私の経験から言っても納得するところが多く、それでいて表現の仕方が実に巧みなのです。
今週は子供のオモチャの収納がテーマだったのですが、「子供の都合」という表現は「大人の都合」ばかり注意が行きがちな親を上手にたしなめていますよね。

今回もとても分かりやすい内容なので、皆様にも是非読んでいただきたく思います。一方で、今回は私の考えとはちょっと違うと感じるところがあったので、それについて述べたいと思います。
子供のオモチャより先ず大人のモノの収納
今回の記事では、「おもちゃが家の中のほかの生活動線を邪魔してしまう」ことが問題のひとつだと指摘されています。また、その解決方法として、家事をする動線と干渉しないように子供が遊ぶエリアを明確にすることを提案しています。
これは確かにその通りなのですが、記事でも述べられているように、子供は「ママ、パパ、見て~!」とオモチャを持ってやって来ます。また、大人の目の届く範囲で遊ぶエリアを決めても、得てして子供は状況に応じて敢えて大人の目の届かないところで遊ぶものです。
これは例えるならば、わが国の自衛隊は私有地に入れないのに侵略してきた他国の軍隊は私有地でもどこでも自由に侵入してくるのと同じで、怪獣(=子供)の遊ぶエリアを決めてもほとんど無駄なのです。特にリビングダイニングという家族が集まり、様々な動線が交錯する場所では、家事に影響がない「子供が遊ぶエリア」を設定するというのは困難でしょう。
ですから、子供はどだい制御不可能なものという前提に立って、まず大人のモノをしっかりと片づけなければなりません。きちんと収納されていて家事もスムーズにこなせており、かつ子供は必ずしもコントロールできないものだと割り切っていれば、その時点で子供のオモチャが散らかることに不満を持つことは基本的にないはずです。
子供のルールは常に変わる
次に、「子ども自身に片づける習慣が身に付いていない」ことが問題で、幼稚園や保育園でやっているようにルールを決めて実行させることが必要だと述べられています。
しかしこれは、前提条件がちょっと違うように思います。幼稚園などではカバンなどの自分の所有物は他の子に触られるとイヤだという防衛本能がはたらきます。また、オモチャは園の所有物であり、他の子と使用権を共有しています。だからルールを守るという必然性があるのです。
一方で、家の中では子供は王様です。王様自身がルールであり、オモチャは家来が片づければ良いし、それでオモチャが紛失すれば家来に逆ギレしても良いわけです。だからルールは子供の気分次第で変わるし、そこまで極端ではなくとも遊ぶオモチャが変われば収納するルールも当然変わります(もしそれが間違っていると思ったら、正しい主従関係を子供に叩き込まなくてはなりません)。
なので、記事でも”つい細かく収納するような仕組みを与えてしまいがち”なのでザックリ分けましょうと述べられているわけですが、乳幼児が遊ぶような大型遊具は別として、基本的には「場所を1ヶ所に決めてそこに置きさえすれば良い」くらいのルールでも問題ないと思います。
子供も大人も同じで一つの対処法では無理
最後の3つ目の問題として、オモチャの分別作業を進めようとしても子供に抵抗されて進まないということが挙げられています。また、これに対する処方箋として、子供にお気に入りのオモチャ箱を選ばせるなどして、子供が楽しく片づけられる空間にしてあげることを推奨しています。
ですが、”この方法なら、うまくいくことが多いでしょう。”と書かれていることからも分かる通り、これは必ずしもうまくいくわけではありません。なぜなら、大人と同じで子供も人ぞれぞれ違うからです。むしろ私の印象では、そんな手には乗るものかという子供のほうが多いくらいです。
子供が「全部いる!捨てちゃダメ!」と猛烈に抵抗するのは、大人の思惑を見透かしているからにほかなりません。子供は大人が下心を持っていることを知っているのです。ですから、下心を持たないようにするか、それが無理ならまず警戒感を解いてやる必要があります。
人によってその方法が異なるのは大人も子供も一緒です。何をされたら嫌がるか、逆に何をすれば喜ぶか、普段の子供の行動や考え方から予想して行動するようにしましょう。見当がつかない場合は「収納なび」で調べてみてください。
子供のオモチャ収納に悩む人の多くは大きな勘違いをしています。それは、子供は大人の言うことを聞くものだという考えです。
しかし、子供は親の言う通りにはしません。大人のする通りにします。「子供は親の鏡」なんて言いますけど、まず「他人の振り見て我が振り直せ」の格言を素直に実行するようにしましょう。
もっとも、親が片づけのできる人でも子供が片づけてくれないという場合もあります。その場合は、子供だから簡単に言うことをきかせられると思わずに、旦那や嫁を説得するのと同等に難しいことだと覚悟して取り組んでください。そのうえで、今回の記事の内容を参照していただくと、より効果的だと思います。
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