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さて先日、フリマアプリを運営するメルカリが「昨年の大掃除で処分されたモノの上位3カテゴリーの機会損失額が一人あたり約5.8万円と推定される」と発表しまして、私はこれに対して疑問の声を上げました。
【関連】メルカリ調査の「年末処分品上位3種の推定機会損失額=5.8万円/人」は盛りすぎ
ところが今度はリサイクルショップ大手のトレジャー・ファクトリーが、メルカリと同じような調査結果を公表したのです。「大掃除に関する調査結果」というもので、”大掃除で処分する品物の総額は日本全国で約1兆6千億円に上る”と言うのです。
ともあれ、トレジャー・ファクトリー(以下、トレファク)の調査結果を順番に見ていきましょう。
半数以上が年末に大掃除を実施する
出典:PR TIMES(以下同)
こちらでも何度か年末大掃除についてのトピックは取り上げていますけど、”12月13日は大掃除の日”だなんて知りませんでしたー。
それはさておき、20代~50代の男女500人を対象とした今回の調査では、年末の大掃除の実施意向について、「徹底的に掃除予定」(13.8%)、「いつもよりは掃除する」(39.8%)と回答しました。合わせて53.6%の人が大掃除をすると言って差し支えない結果で、これは他社の調査とも概ね一致します。
約6割が不要品をそのまま捨てる
次に、不要品の処分方法について年代別にまとめたのが上表です。全体では約6割がそのまま捨てるという結果となりました。それでも若い世代ほどそのまま捨てずに様々な方法でリユースするという選択肢が多いことが見て取れます。
以下、全世代で見ると、リサイクルショップに売りに行く、フリマアプリで売る、家族・友人・知人に譲る、ネットオークションで売るという順に多いことが分かります。これも概ね以前のメルカリの調査結果に近い印象ですね。
大掃除で処分される品物の総額は約1兆6千億円!?
トレファクの調査によると、大掃除に際して処分するモノの数量は平均28点となりました。これは男女であまり大きな差は見られません。また、年代別でみると、若い人ほど処分するモノの数量が多いことが分かりました。
次に、右上の表は処分品のジャンルを1人あたりの平均数量の多いものから順番に並べたものです。これはまあ、なんとなく納得できる感じですね。
さて、問題はここからです。私には理解不能なので、プレスリリースの原文を引用したいと思います。
今回の調査対象である日本人の20代~50代の総人口に、今回の調査結果を元に算出した一人あたりの買取金額について乗じると、合計で約1兆6千億円もの総額に上ることが判明しました。前述の調査で不要品をそのまま「捨てる」と選んだ方が59%だったため、約9,600億円分の価値がある品物がそのまま処分されていることが分かります。
ここでは”一人あたりの買取金額”というのが重要な位置を占めていると思われますが、今回の調査結果にはこの前にも後にも買取金額については一切触れられていません。
そもそも今回の調査対象となった人はどんな属性で、そもそもどのような調査手法だったのでしょうか?”20代~50代の男女500人”としか書かれておらず、もし今回の調査がトレファクで買取りをしてもらった人のみならば、この数字はかなりメチャグチャなものと言えます。
一人あたりの買取金額は約25,730円!?
今年11月1日時点での20~50代の総人口は6,218万人ですので、それと”一人あたりの買取金額”を乗じて”合計で約1兆6千億円”となったということは、”一人あたりの買取金額”は約25,730円だったということになります。
これって、おおよそ一般の人が大掃除で出た不要品をリサイクルショップで売って得られる金額と言えるんでしょうか?先ほど、処分品のジャンル別の平均数量の一覧を示しましたが、その1位から9位まですべてを足すと28.8点となり、その前に示した「大掃除に際して処分するモノの数量は平均28点」という数字とほぼ一致するんですね。
これの合計額をすべて足せば確かに2万5千円くらいにはなりそうですけど、果たして大掃除でこんなにたくさん売れそうなモノを処分するものでしょうか?トレファクは引越しに際しての買取りも実施しているので、それを含めての数字かもしれません。しかし、仮にもしそうであれば、その結果を大掃除の処分品と絡めて20~50代の日本人全員に当てはめて言うのは無理があると思います。
約1兆6千億円はリサイクルB2C市場規模とほぼ同じ
今回のトレファクの調査では”大掃除で処分する品物の総額は日本全国で約1兆6千億円に上る”としています。この数字は非常に膨大ですが、日本の名目家計最終消費支出が年間300兆円弱であることを考えると微々たる金額で、本当にそうなのかもしれないと考えるに足る信憑性を感じます。
しかし一方で、リサイクルB2C市場規模が約1.6兆円というデータがあります(出典:リサイクル通信)。かたや買取金額、かたや販売金額ということで、単純比較はできません。ただ、リサイクル通信ではB2C市場が横ばいとなる一方でフリマアプリC2C市場が伸びていると指摘されていることから、大掃除で出た不要品をリサイクルショップに引き取ってもらうという前提およびその総額がリサイクルB2C市場規模とほぼ同じになると主張するのは、やはり無理があると感じます。
さらに付け加えるならば、これはメルカリの調査でも指摘したことですが、普通に考えるとリサイクルショップ等で売らなかったモノの大半はゴミ同然と考えられます。トレファクがゴミ同然のモノでも買い取ってくれるなら話は別ですけど、そんなことはあり得ないでしょう。
不要品をリサイクルショップで買い取ってもらうというのは、フリマアプリなどで処分するよりも手軽であることに間違いありません。また、貴重な資源を安易にゴミにするよりも他の人に使ってもらうというのは良いことだとも思います。
しかしながら、不要品をリサイクルショップに持ち込んでも空振りに終わったり、安く買い叩かれるというのもまた事実です。今回の調査は、「そうだ!リサイクルショップに行こう!」と思うよりはリサイクルショップに対する不信を増長する結果となったように思います。
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