野村不動産アーバンネットが運営するサイト「ノムコムwith Kids」の「子育てと住まいに関するアンケート結果発表」の「子育てを考慮して住まい選びをする際、重視する住環境」についての調査結果が興味深いものでした。
※この記事は2015年7月31日時点の情報に基づいています
約半数が「収納が多い」ことを重視
子育てを考慮して住まい選びをしたいと考える人は子供を持つ家庭全体の85%。さらに、子育てを考慮して住まい選びをする際に重視する住環境は、1位の「日当たり・風通しがよい」に続き、「収納が多い」が2位となりました。また「収納が多い」ことを重視した人は全体の約半数(未就学児のいる家庭47.9%、小学生のいる家庭53.2%)となりました。
子供が小学生になるとモノが増えスペースも必要になる
この調査結果が興味深い点は2つあります。まずひとつは、「収納が多い」ことを重視する人が「未就学児のいる家庭」では47.9%だったのに対し、「小学生のいる家庭」では53.2%であったことです。これはつまり、子供が小学生になるとモノが増えて収納スペースに不満を感じ始めることが多いことを示していると考えられます。
もうひとつ、「リビングダイニングが広い」ことを重視する家庭が、「未就学児のいる家庭」では39.9%、「小学生のいる家庭」では46.8%であったことです。それぞれ、重視するポイントの4位と3位ですが、「リビングダイニングが広い」ことを重視する家庭は「小学生のいる家庭」のほうが6.9%も高いのです。これはつまり、最近はリビングダイニングで学習する機会が増えているために勉強道具などをリビングダイニングに置く必要に迫られることや、友達が遊びに来る機会が増えて現在のリビングダイニングの広さでは手狭に感じることが背景にあると考えられます。未就学児との違いでは、家庭訪問があるということも影響しているかもしれません。
小学生はもっとも収納が難しい半面で手が回らない時期
既にお子さんが中学生以上に成長した親御さんは通ってきた道ですので分かると思いますが、小学生の間はもっとも収納が難しい半面で手が回らない時期と言えます。
未就学児はほとんど親の管理下にあり、乳児期を除いてはそれほどモノも多くありません。また、中学生以上になると子供部屋にこもることが多くなり、子供のモノが散らかっていようがいまいがそれほど気にならなくなります。しかし小学生の間は幼児期に比べると格段にモノが増えます。オモチャや衣類はそれまでと同等か若干減ることが多いですが、学校や塾で使うモノはもちろん、習い物やスポーツ、レジャー用品が増えます。また、モノが増え続ける一方で収納のあり方が定まらず、リビングダイニングも子供部屋も片づかなくなりがちです。
そのような事態に直面すると、「片づけなければいけない」という気持ちは生じるのですが、それよりも「学校生活に慣れさせなければならない」、「勉強で遅れを取ってはいけない」、「受験に備えなければならない」、「友達とトラブルを起こさないようにしないといけない」などという風に、「モノ」よりも「ヒト(子供)」に目を向ける必要に迫られる時期なのです。
理想を言えば、そのような時期だからこそモノを減らして、モノの管理に割くエネルギーや時間を減らし、子供に目を向ける余裕を持ちたいものです。日々時間に追われる普段の生活ではなかなか難しいことですが、特にこれから家を買おうとする人は「収納スペースが多い」ことよりも「モノを減らすこと」や「動線を考慮した最適なモノの配置」を大事にしていただければと思います。
ちなみに、私がお邪魔させていただくお宅では、小学校入学を控えたお子さんや現在小学生のお子さんのいらっしゃるご家庭ももちろんありますが、実はそれほど多くはありません。一番多いのは、これから子供が生まれるという時期、子供さんが保育園や幼稚園の時期です。
不思議なもので、一番収納について考えなければならない時期ほど、気持ちの余裕がありません。「モノ」よりも「ヒト(子供)」、「内」よりも「外」に意識が向かっているためです。それはそれで悪いことではないのですが、親にとって大変な時期、子供にとって大切な時期だからこそ、モノとの付き合い方を見直して明るく快適な暮らしを手に入れてもらいたいと思います。
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