片づけのご相談を受けてクライアントのお宅に伺うと、ドコにナニを収納したら良いか分からないというご相談をいただくことは多いです。しかしそれらも「収納はヒト→モノ→場所の順で考える」という基本に忠実であれば問題なく解決するはずです。
収納はモノありきではなくヒトありき
収納、片づけは、唯一これが正しいという方法はありません。基本的には人の数だけ正しいやり方というものがあります。ですからまずヒトに合わせてモノを収納するように考えなければならないのです。
たとえば殺虫剤。「これはスプレー缶だからガラスクリーナーと一緒に収納しよう」と考えるのはもちろん間違いではありません。ですが虫がキライな人なら、咄嗟のときにすぐに手の届く場所に置いておきたいはずです。もし、お母さんがキッチンで料理をしているときにゴキブリをやっつけることが多いなら、キッチンの手が届きやすい場所に置くのが良いと言えるでしょう。
モノは使ってナンボです。逆に言うと、使うヒトあってこそのモノです。だからその人が使いやすい状態を最初にイメージすることがまず大切なのです。
次にモノに合わせて考えてみる
収納はまずヒトに合わせて考えてみて、次にモノに合わせて考えてみます。先ほど例として挙げた殺虫剤。これに合うような収納方法を考えてみましょう。
殺虫剤と言えばスプレー缶。キッチンで同じようなものがないかと考えると、オリーブオイルのスプレー缶があった。でもこれらを一緒に収納したら危険ですよね。誤って鍋の中に殺虫剤を噴射してしまいかねませんし、そもそも食品と非食品を一緒に収納するのはちょっとイヤです。
また、殺虫剤の大きさについて考えると、調味料ボトルに近い大きさです。しかしやはりそれらを一緒に収納するのはちょっと抵抗を感じます。というか、そもそもキッチンは料理を作る場所ですから、基本的には殺虫剤とは一緒に収納したくないモノばかりです。
では逆に、キッチンには衛生的なモノばかりかと言うとそうでもないですよね。ゴミ箱や洗剤もあります。まあ食器用の中性洗剤は飲んでも大丈夫なんですけど、そういうモノと一緒なら収納しても差し支えなさそうです。
こうしてモノ同志の関連性をイメージしながら収納場所を考えると、大きさなどの相性が良いモノ同志で片づけやすいですし、咄嗟に思い出しやすくて良いですね。
最後に場所に合わせて考えてみる
最後に場所に合わせて収納することを考えます。逆に言うと、場所にヒトが合わせてはいけません。押入れがあるからここに布団を収納して寝ようとか。決して間違いではありませんが、それは合理的なようで、時にヒトが無駄な動きを強いられます。
キッチンに殺虫剤を収納する場合、まず場所に合わせることを考えると、空いてるスペースにとりあえず置いてみたり、その大きさから食器棚やシステムキッチンのの扉の中に収納することを考えがちです。しかし前述の通り、ヒト→モノという順番で考えれば、最後の場所決めはすんなりいくはずです。「やっぱりゴミ箱の横かなー」という感じで。
もちろん、ヒト→モノの順番で考えても、場所の要素で引っ掛かってしまうこともあります。ゴミ箱の横にまったくすき間がないとか。床に直接置くのはイヤだとか。そういう場合は逆に、どの場所に置くのが一番最適かという風に考えてみるのも良いでしょう。そうして、ベストではなくベターな答えを探すのです。
いつも言っているように、収納に正解はありません。基本的には60点で良いのです。今がもし60点なら次は70点を目指せば良いのです。60点をいきなり100点にすることは絶対にできません。
もちろん、見た目だけを100点にすることはできますよ。けれどもそれを維持管理していくのはその人自身です。その人自身の習慣が急激に変わらない限り、いきなり形だけを100点にしてもすぐに70点くらいに戻ります。
慣れないうちは、推理をするように収納場所を考えるのは難しいかもしれません。でも「収納の基本はヒト→モノ→場所」ということだけでも頭に叩き込んでもらえば、きっともっと簡単に片づけられるようになるはずです。
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