※シャルドネHPスクリーンショット
いや、これは驚きました。家具とホームファニシングの専門紙「ホームリビング」によると、自然素材住宅&家具が売りの「シャルドネ」が8月31日に事業を停止したということです。
ホームリビングに掲載された記事を要約すると、シャルドネおよび関連会社(シャルドネスタイル、シャルドネホーム)は事業停止の直前にそれぞれ、デコール、デコールスタイル、デコールホームと社名を変更していますが、負債総額は”3社合計で10億円内外”におよび、”今後は金融機関と調整を図り任意整理も視野に入れている”ということです。
クライアントでシャルドネの家を建てようかと相談される方がいらっしゃったり、「シャルドネの家具ってどうですか?」と聞かれることもあったので、私も何度か店舗に足を運んだことがあります。
また、先日ひさしぶりにシャルドネに足を運ぼうとしたら、シャルドネ大阪枚方店が閉店していて何事かと思っておりました。もっとも大阪枚方店の閉店は高速道路建設に伴うものということでしたが、かと言って移転先の案内もなく、ちょっと不思議に感じておりましたところです。
シャルドネの設立から事業停止に至る経緯
シャルドネは家具店を営んでいた先代から現社長の髙井孝之氏が受け継ぐとともに発展させたもので、設立は昭和48年(1973年)、本社は岐阜県岐阜市となっています。
シャルドネのホームページには、あるとき婚礼家具を見ていたお客様がホルムアルデヒドの影響で涙を流し、そこから自然素材の家具の開発をスタートさせたというストーリーが書かれています。
シャルドネはオリジナル家具およびキッチンの販売、関連会社のシャルドネホームでは同ブランドの請負建築を主業務とし、同じくシャルドネスタイルがそれらのフランチャイズ展開とマンション販売を営んでいました。
しかし、大型マンションの分譲で売れ残りが発生し、資金繰りがひっ迫。そのため、昨年にマンション販売から撤退し、財務の健全化を図るも及ばず、半ばマンション販売での失策が重荷となって今回のグループ全体の事業停止となった模様です。
時代の変化に対応できなかったのが敗因か?
ホームリビングでは今回のシャルドネが事業停止に至った原因が、現社長の髙井孝之氏の贅沢ぶりや儲け主義ににあったのではないかと書かれています。確かにその通りだったのかもしれませんが、原因はもっと別のところにあったのではないかと個人的には思います。
シャルドネではオリジナル家具を扱っているということになっていますが、売場を見るとメーカーのプロパー品(カタログ掲載品)を多数見ることができます。これは生活協同組合(コープ)と同じ図式にハマってしまったんじゃないかと思うのです。
義憤に駆られて健康対策重視のオリジナル家具の開発をしたものの、既存の家具メーカーも同じ方針で開発を推し進めたことで、オリジナル家具の独自性がなくなり、次第にどこでも入手可能なプロパー品を仕入れる方向に進んでしまったのではないでしょうか。
また、住宅分野でも同様のことが言えるかと思いますが、それよりも大きかったのは結果的に時代の変化に対応できていなかったということです。確かに、いまから15年くらい前はホルムアルデヒドに対して消費者が過剰なまでに反応していました。しかし、今はどうでしょう。消費者の嗜好は多様化していますし、健康問題よりも耐震性が重視されていると感じます。
もちろん、不健康な家が欲しいなどとは誰も思っていません。しかし、健康面への配慮は他社も力を入れているところで、明確な差別化要因とはなっていません。住宅を建てるうえでは、健康問題は二の次、三の次になってしまっており、シャルドネの訴求するところと消費者のニーズにギャップがあったのではないでしょうか。
シャルドネのホームページ(http://www.chardonnay.co.jp/)を見ると、社名をデコールに変えたはずなのに、今もそのままになっています。一方で、更新は4月頃からストップしてしまっているようです。
事業停止寸前に社名を変更したのは、おそらくブランドにキズが付くことを恐れたのではないかと思います。逆に言うと、社名変更後のデコールを倒産させて、新生シャルドネとして再起を図っているのではないでしょうか。
ちなみに、シャルドネのフランチャイズ傘下企業の面々は今回の事業停止についてはまったく触れておらず、粛々と営業を続けている様子です。ですので、既に商談に入っている場合には問題が生じることはないでしょう。
個人的にはシャルドネの扱う商材にはあまり興味が持てなかったのですが、シャルドネが家具および住宅業界でホープと見られていた中での今回の措置は残念でなりません。
ちなみに、この春にはソファなどの販売で注目を集めていたスタイルプロポーザが突然全店閉店しましたよね。これについても情報を探しているんですけど、目ぼしい情報がないまま現在に至ります。
死して屍拾う者なし。本当にこの業界は難しいですねー。
コメント