LIXIL住宅研究所が興味深い調査を実施しました。20歳以上の既婚女性555名を対象にした「扉の無い収納スペースに関する意識調査」というものです。
かねてよりクライアント宅で押入れの襖などを外してしまうことを推奨してきた私としては、よくやく時代が追い付いてきたかという思いです。ともあれ、どんな調査結果となったのか見て参りたいと思います。
※この記事は2023年5月18日時点の情報に基づいています
自宅の収納スペースで困っていること
今回の調査ではまず自宅の収納スペースで困っていることについて尋ねています(複数回答)。「収納スペースで困っていることはない」という方は12.1%しかいませんから、8割以上の方が何かしら自宅の収納スペースで困っていると言える状況です。
3人に1人以上が困っていることの第1位は「収納スペースが整理しにくい」で、以下「収納スペースが足りない」、「高いところが使いにくい」と続きます。
扉の無い収納スペースに8割近くが肯定的
次に、扉の無い収納スペースがあれば便利そうだと思うかを問うています。これについては、既に扉がない収納スペースを設けている人も含めると、約77%の人が肯定的に捉えているそうです。
扉の無い収納スペースのメリット
先の2つの質問を踏まえ、扉の無い収納スペースを肯定的に捉えている人にそのメリットとして考えられることを質問すると、上表のような回答が得られました。「簡単に取り出せる」、「簡単に見ることができる」、「在庫確認が簡単」の上位3つが過半数を超えています。
こういったメリットが本当に得られたなら、冒頭の困っていることの第1位「収納スペースが整理しにくい」という悩みは解決可能と言えるでしょう。
扉の無い収納スペースのデメリット
- 雑多なモノが見えてしまう
- カーテンでは「隠した感」が出やすい
- 油煙やホコリ、臭いが入り込む
今回の調査結果では扉の無い収納スペースのメリットしか示されていません。では、デメリットはないのかと言うと、私はあると思います。
まずインテリア性という観点では、やはり扉があったほうが良いです。いくらオシャレなカーテンを掛けても「ここに生活用品を隠しています」という感じが出てしまいます。
また、キッチンやその近くでは油煙やホコリ、臭いが入り込むのが気になるという方もいることでしょう。基本的に私はキッチン周りで扉無しというのは否定的です。
収納マン邸も「扉なし」が基本
とは言え、私も扉なしの収納スペースに対して肯定的であることに変わりありません。実際、我が家も扉なしが基本となっています。
我が家には各部屋にクローゼットや押入れはありません。扉付きの収納スペース(上図の赤色で示した箇所)は来客から見えるシューズクローゼット、階段下収納、パントリー、洗面化粧台横収納、トイレ収納のみです。土間収納には引き戸、ウォークインクローゼットにはロールスクリーンを付けていますが、開けっぱなしでも問題ありません。
そもそも収納ってそんなに必要?
我が家は各部屋に収納スペースを造り付けせず、基本的にオープンラックなどの収納家具を置くようにしています。扉なしで問題ないなら、別に造り付けにする必要はないと思うのです。
背の高い家具は基本的に「スーパータックフィット」で壁に固定していますから、地震対策も心配ありません。扉がないどころか造り付けていないのでコストも抑えられています。移動や撤去も容易です。
基本的にマメに片づけるほうではないため、見た目のことを言われると苦笑いするより他ないのですが、使い勝手はかなり良いです。つまるところ、扉なしの収納スペースを是とするなら、究極は収納スペースを造り付けしないということに行き着くのではないかと思います。
今回のLIXIL住宅研究所による調査結果からも分かる通り、もはや収納スペースは扉付きが当たり前という時代ではなくなってきていると言えるでしょう。扉なしのほうがモノの管理がしやすく、出し入れも容易で、メリットが多いからです。
しかしながら、すべて扉なしで良いというわけでもないと思います。扉を付けたほうが見た目が良いことはもちろん、ある程度はホコリなどが入り込むのを防ぐことができるからです。なので、扉の有無は場所によって使い分けるべきと言えるでしょう。
また、扉なしを是とするならば、収納スペースを造り付けせず、収納家具を置くことを考えたほうが良い場面もあると思います。コストを抑えられるだけでなく、模様替えも容易だからです。敢えて造り付けにしないことで、「ここにクローゼットがあるからベッドが置けない」なんてことも防ぐことができます。
つまるところ、扉はおろか、下手な収納ならないほうがマシって話ですね。
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