前回は突っ張り棒の話をしましたが、突っ張り棒のメリットはやはり手軽なことです。壁にネジで穴を開けたりする必要がなく、粘着式や吸盤式よりも重いモノを掛けたり置いたりすることができます。
そんなメリットを活かした突っ張り式の収納グッズがキッチンにもいろいろあります。近年は吊り戸棚のないキッチンが増えたので以前ほどは需要がなくなってきた感があるのですが、それでもキッチンの収納の悩みが尽きない限り必要なものと言えるでしょう。
ベルメゾンDAYS・燕三条で作るキッチンつっぱりラック
今回紹介するのはベルメゾンDAYSの「燕三条で作るキッチンつっぱりラック」です。新潟県の県央は確かに燕三条地域と呼ばれますが、燕市と三条市は別の市です。「一体どっちで作ってるの!?」と思わずツッコミたくなるところですが、おそらくは両市に存在する複数の工場で部品を作っているのでしょう。
ちょっと余談なんですけど、100円ショップでもお馴染みのワイヤーネットってあるじゃないですか。
スチールのワイヤーを格子状にしただけの非常にシンプルなものです。金型が必要ないので小ロットからの生産にも適していることから、キッチン用の雑貨にもよく使われます。
100円ショップにでもあるようなローテク商品だから、こんなものは簡単に作れるものだと私は思ってたんですね。しかし、あるところで聞いた話によると、そんな単純なものではないそうです。
1つのワイヤーネットができ上がるまでの過程は概ね以下の通りです。まずワイヤーを作る工場があります。そしてそれはワイヤーを切る工場に運ばれて必要な長さにカットされます。さらにそれはワイヤーを溶接する工場に運ばれ、さらに塗装する工場へ。そこからパッケージをする工場に運ばれ、ようやく商品が完成するという具合です。
単純なワイヤーネットですらそんな調子ですから、燕市でも三条市でもなく燕三条で作られたというのはそういうことなのかもしれません。
話を元に戻しましょう。ベルメゾンDAYSの「燕三条で作るキッチンつっぱりラック」は燕三条で作られた日本製の逸品です。品質が高いことは間違いなく、基本的にステンレスでできています。なので、シッカリしていて錆びません。それだけでなく、質感も手伝ってオシャレに見えます。
ホームセンターでメジャーな田窪工業所のつっぱり棚も日本製ですが、ちょっと生活感のあるデザインですよね。また、KEYUCAのB-PROPシリーズのつっぱり棚はオシャレですが、値段が同じくらいで台湾製です。決して台湾だからダメというわけではありませんけど、燕三条のブランドを出されたらちょっと敵いません。
山善・シンク上つっぱりラックTKRO-454
ベルメゾンDAYSの「燕三条で作るキッチンつっぱりラック」は品質やデザインが良くてオプションパーツもいくつか用意されていて素敵なのですが、1つ弱点があります。それは高さが約71~100cmにしか対応していないということです。
私が多くのご家庭のキッチンの収納のコンサルタントをした経験から言うと、システムキッチンの調理台から吊り戸棚の底面までの距離が100cmを超えることが割りとよくあったのです。いくら気に入った商品でも高さが対応していなければ残念ながら取り付けることができません。
100cm以上の高さに対応しているキッチン用の突っ張りラックは、山善の「シンク上つっぱりラックTKRO-454」が代表的と言えます。こちらは高さ72~115cmに対応しています。いわゆるメタルラック的な構造ですので好き嫌いはあるかと思いますが、高さ100cmを超えても設置可能なのはほとんどがメタルラックのポールを採用したものというのが現状です。
でも、山善の「シンク上つっぱりラックTKRO-454」は以前は銀色のクロムメッキでしたけど、現在はホワイトとブラックになっているのですね。ちょっとサビの心配はありますけど、インテリアとしては好みに合う人が増えたのではないでしょうか。
ちなみに、今回紹介したベルメゾンDAYSの商品も山善の商品も耐荷重は記載されていません。田窪工業所のは基本的に耐荷重が表示されていることを考えると不親切だと感じますが、キッチン用の突っ張り棚で耐荷重の保証をするのはなかなか難しいとも感じます。
ステンレス製のシステムキッチンの天板は押すと凹むことがあったり、壁際が少し傾斜していることもあります。吊り戸棚の底面は突っ張り系の収納グッズの設置を前提としていないため、やはり下から押し上げると持ち上がってしまうこともあります。基本的にキッチン用の突っ張り棚を安定させるのは状況によっては難しいのですね。
なので私はあまりキッチン用の突っ張り棚はオススメしない方針です。寸法のこともありますが、確実に安定させられる保証がないからです。それよりは超強力両面テープで壁に棚を貼り付けるなどしたほうが無難であると思います。
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