以前にカインズの「CDM(CAINZ DIY MARKET)」というサービスを紹介しました。2023年10月に提供が開始されたサービスで、現在は76点に及ぶ商品をオンラインで発注すると、店舗で合板を切り出し、家具のパーツとして販売してくれるというものです。
このビジネスモデルなら、九州で作った家具を首都圏の物流センターに納品し、ネットショップで購入した大阪の消費者に届けるなんて無駄なことをしなくて済みます。おまけに、店舗に無用な在庫を積む必要がなく、売れ残った商品をディスカウントすることもありません。流通過程での破損の心配もなし。消費者としてもプラモデルのようにパーツを組み立てるだけでDIYを楽しめるなど、メリットがとても多い仕組みです。
ただ、サービスインの時点では希望のサイズで注文できるようにすることも検討されていましたが、現時点でそのような機能は実装されていません。「もう一回り小さいサイズが欲しい」と思ったら、自分で設計し直して、従来通りの木材カットサービスを利用するなり、自分で加工するより他ないのが現状です。
ところが、ここに来て九州を地盤とするホームセンター「グッデイ」が画期的なサービスを開始しました。
※この記事は2024年11月11日時点の情報に基づいています(2024年12月2日一部更新)
グッデイ・DIY Designer
このたびホームセンターのグッデイが開始したのは「DIY Designer(ディーアイワイデザイナー)」というサービスです。オンラインでDIYしたい収納家具などをmm単位で設計すると、店舗でカット済みの木材を受け取ることができるというものです。
もともとグッデイの土井店と東福岡店限定のサービスでしたが、11月11日からグッデイ64店舗すべてで利用できる体制が整いました。
動画で詳しく
だらだらと文章で説明するよりも動画をご覧いただいたほうが分かりやすいと思います。
収納家具などをDIYする際、漠然とイメージすることはできてもそれを設計図面に落とし込むのは初心者には難しいものです。DIY Designerではあらかじめ9つのパターンが用意されているので、あとはサイズを調整したり、パーツを足したり減らしたりするだけでOK。木材の種類も選ぶことができます。
また、従来の木材カットサービスを利用する際はどのサイズの木材を選んでカットすれば歩留まりが良いかが悩ましいのですが、DIY Designerはその作業を自動でやってくれるので便利。しかも、複雑なカットを店員に依頼して、後ろに並んでいる人から舌打ちをされる心配もなし。支払いもオンラインで完結するので、店舗に行ったら受け取るだけです。
角材1本、合板1枚からの単純カットもオンラインオーダー可能です。お店の混み具合などを気にせずに購入できるのはありがたいですね。
DIY Designerを使ってみた
9パターンから設計が可能
DIY Designerは会員登録など不要で使い始めることができます。まずは用意されている9つのパターンから設計を開始します。カラーボックスのような棚はもちろん、オープンラック、ディアウォールやラブリコなどを使った天井つっぱり式のラックの設計も可能です。扉付きのキャビネットまで作れるんですから驚きますね。
これら9つのパターンに当てはまらない家具を作りたい場合などは、10番目のオーダーカットのところで角材や板材のカットを依頼することになります。
カラーボードは選べない
角材 | 無垢材 | SPF パイン(松) スギ |
---|---|---|
集成材 | パイン(松) アカシア |
|
板材 | 集成材 | アカシア スギ |
合板 | OSB 針葉樹 シナ ラワン 型枠用コンパネ |
選ぶことができる木材は店舗の在庫により異なるようで、上表のすべてを扱っている店舗は一部に限られます。いわゆる荒材が中心で、内装材と呼べるものは少なく、プリント合板やメラミン合板などのカラーボードは現時点では対象外のようです。
なので、基本的には研磨や塗装が必要と考えたほうが良さそうですね。
歩留まりが悪いことも
幅300×奥行300×高さ900mmのナローサイズの3段カラーボックスをOSB合板で作ると、税込1,738円からとお手頃な価格です。別途サービス料が加算されている様子はありません。
しかし、幅を広げて400mmにすると、価格が一気に2倍の税込3,476円になって驚きました。背板も含めるとサブロク(910×1820mm)1枚では足りず、2枚必要になるからです。
400×900mmの背板のためにサブロクを使うのは歩留まりが悪いです。普通なら2~3mm厚でもっと小さいサイズの合板を買い求めるでしょう。しかしながら、DIY Designerで用意されている木材の中には、小さいサイズの合板は少なく、9mm厚のOSB合板よりも薄いものや安いものもありません。
DIYに慣れている人なら歩留まり重視で、背板を1段目と3段目だけにすることでサブロク1枚に収まるように設計すると思います。DIY Designerを使ってみれば非常に良くできていることは明らかですが、完全におまかせにするのではなく、自分の頭で考える必要もあると言えるでしょう。
というわけで、DIY Designerはまだまだ発展途上の感は否めないものの、とても素晴らしいサービスだと思います。利用料が発生することなく立体的な図面が手軽に作ることができますし、どんな木材を使ったらいくらでできるのかも一目瞭然。おまけに、店頭で列に並んだり、自分の後ろに列ができるのを心配する必要もなく合理的です。
「こんな素敵なサービスがウチの近所でも使えたら…」と思うわけですが、実はDIY Designerはグッデイが開発したものではなく、大阪府寝屋川市に本社を置く駆動系部品メーカー「エクセディ」が開発したもの。ひょっとしたらグッデイ以外のホームセンターでも利用可能になる日が来るかもしれませんね。
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