片づけは簡単です。しかし、わざわざ難しいことをして苦手意識を持ってしまっている方が多いのが実情です。
息子が小学生だった頃に、計算問題で途中式を書かずに暗算で済まそうとして間違えるということがよくありました。書きなさいと注意してもなぜか書かない。挙句には「先生が暗算でしなさいと言った」などと言い出すのです。
それはともかく、片づけも間違ったやり方では上手くいくはずがありません。今回は実際に私が過去に何度も直面した5大”あるある”を紹介したいと思います。
分別作業中の”あるある”5選
手前のモノだけピックアップ
片づけを始める際は、まず手を付ける場所と時間を決めることが大切です。時間がたっぷりあると油断して、手当たり次第に片づけ始めてしまうと、収拾がつかなくなります。
場所を決めたら、必ず一旦すべてのモノを出しましょう。出しながら、「これは要る、これは要らない…」とやってはいけません。
なぜ全て出さないといけないかと言うと、主に2つの理由があります。まずひとつは、前回も説明した通り、普段あまり使っていない奥のほうにこそ不要品が眠っている可能性が高いからです。また、今ある状態をいったん破壊して、リセットするためでもあります。
なお、すべてのモノを出すとなると、相当なスペースが必要になります。ある有名な片づけ本では「家じゅうの洋服を全て集めてくる」ことを推奨していますが、一人暮らしでもない限り、とんでもないことになります。基本的には1時間程度で、すべて出して、分別して、戻せる範囲に留めるのが良いでしょう。
分けすぎてしまう
片づけの基本は「分ける」作業の連続です。要るモノと要らないモノ、使用頻度別、種類別、家族別、部屋別などに分けていきます。分けていくと、自ずと自分がこれまでどのようにモノと付き合ってきたかということが分かってきます。
これは面倒ですがとても大切な作業です。なので、一足飛びに進めようとしてはいけません。片づけで失敗する人の多くが、要るモノと要らないモノを分ける段階で、種類別などで分けてしまいます。
実際にやってみればすぐに分かることですが、これをやってしまうと、身動きできない状態になります。また、だんだん境界線が分からなくなり、要るモノか要らないモノかですら判断できません。
それよりもマズいのは、頭を使う必要が生じることです。要るモノと要らないモノを分ける作業では直近2年間で使ったかどうかを機械的に判断すれば良いだけなのに、種類別に分けるために頭を使うと疲れてしまいます。
モノが少なければ良いですが、収納スペースからオーバーフローするような状態の場合は、まずは頭を使わずに要るモノと要らないモノを分けることを徹底しましょう。
独自ルールを作ってしまう
私がクライアントに「これは要りますか?要らないですか?」と聞くと、必ず出てくるフレーズ。
- それはまだ新しいです!
- それは高かったので…
- それはかわいいので…
- それはもらったものだから…
要・不要の判断基準は「直近2年間で使ったかどうか」です。また、要らない=捨ててくださいと言っているわけでないことは、先に何度も伝えています。でも、ついつい、新しかったから、高かったから、かわいいから、もらったものだから、「要る!」と言ってしまうんですよね。
せっかく、直近2年間で使ったモノは「要る」、そうでないモノは後で処分方法を考えるとして「要らない」と決めたのに、次々と独自ルールを作ってしまっては、モノを絞り込めないばかりか、頭を使うことで疲れるだけです。
ほかの部屋に移動してしまう
クライアントと一緒に分別作業をしていると、ふらっとどこかへ消えてしまうことがあります。様子を見に行ったら、ほかの部屋を片づけていたりするんですよね。納戸を片づけていたら新品の洋服が出てきて、「これはクローゼットに持って行かなきゃ」と思って移動したものの、掛けるスペースがなくて、そこを片づけ始めちゃったりするわけです。
これは多動性ゆえ仕方のないことかもしれません。であるならば、なおさら片づける時間と場所、今はどんな作業をやっているのかということを、明確に意識しておく必要があります。それでもどうしても脱線してしまうようなら、紙に書いておいたり、家族にサポートを依頼すると良いでしょう。
掃除を始めてしまう
世間では、片づけができない人はだらしない、不潔などという誤解をもたれがちです。しかし、私の印象はまったく逆です。片づけが苦手だとおっしゃる方は几帳面だったり潔癖症の人が多いです。
そういうこともあって、床に汚れを見つけたら片づけのことは忘れて掃除を頑張ってしまう方が多いです。しかし、掃除に注力してしまうと片づけが予定通りに進みません。これについてもやはり、自分が今やっていることは何なのかを強く意識して脱線しないようにしましょう。
ちなみに、思い出の品を見つけて浸ったり、家族と昔話に花を咲かせたりするのもこれに似たパターンです。決めた範囲と時間で片づけを終えてから、あとでゆっくり楽しむようにしてください。
以上、分別作業の途中でやってしまいがちな”あるある”を紹介しました。思い当たることがある方もいらっしゃることでしょう。
片づけは簡単だからこそ、ついついこういったミスを犯しがちです。しかし、ちょっと意識するだけで防ぐことができます。基本に忠実に、慌てず、じっくり取り組むようにしたいものですね。
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