わたくし収納マンの新築計画も大詰めを迎え、あと1回の打ち合わせで建物本体の細部が概ね決まる予定です。しかし、ここに至るまでは本当に大変でした。
6月末の契約以降、実質3ヶ月半で展示場や支社で打ち合わせること7回。うち3回は朝から夕方まで1日がかりですし、住宅設備のショールームにも何ヶ所も何日も掛けて足を運ぶ必要があります。
私はセミプロみたいなものなので大変でも楽しい作業なのですが、妻にとっては驚きの連続だったようです。住宅設備、壁紙や床のフローリングや建具を決めるだけでなく、巾木や階段の蹴込み、手すりの色まで決めないといけないことには随分と衝撃を受けたようで、そのことを何度も言っておりました(笑)
照明の位置や種類、コンセントやスイッチプレートなどに至っては、妻はもう完全にお手上げモード。私としては妻と相談する必要もなくなり、かえって楽に決めることができて助かっています。
家を建てられた経験のある方は納得していただけるところだと思いますが、これからという方にはピンと来ないところかもしれません。このたびリクルート住まいカンパニーが発表した「注文住宅3年以内建築者調査」でもその一端が浮き彫りになっています。
※この記事は2019年10月17日時点の情報に基づいています
注文住宅購入者の約半数が「収納」にこだわり
住宅購入に関する無料相談サービス「スーモカウンター」を運営するリクルート住まいカンパニーが、3年以内に注文住宅を建築した25歳~44歳の全国の男女400名を対象にインターネットで調査したところによると、家づくりでこだわった点は「間取り」、「キッチンやお風呂などの設備機器」、「収納量」が上位3位を占める結果となりました。
間取りにこだわらないのであれば建売りや規格住宅でも良いわけですから、こだわりポイントの1位に間取りが上がるのは当然のことでしょう。また、システムキッチンなどの設備機器は各社のショールームを回って比較検討するので、こだわった実感が強いのだと思います。実際、私の妻もそんな感じでした。
また、収納量にこだわるというのも、スッキリと暮らしたいというニーズを強く反映しているのでしょう。特に近年はウォークインクローゼットやシューズクローゼット、ガレージやロフトなど、様々な収納形態に注目が集まっているので、ニーズを具体的に伝えやすいところなのだと思います。
一方で約2割が「収納不足」と不満
しかし一方で、約半数の人がこだわった収納量も約2割が「収納が足りない」と不満を漏らす結果になっています。これはいったいどうしたことでしょう?
その因果関係について、SUUMOでの調査結果では詳しく触れられていません。しかしながら、そのほかの不満点から推測するに、以下のようなことが考えられます。
家具レイアウトなどが詰め切れていなかった
まず、不満点の1位として「コンセントの位置に不満がある」という点が挙げられていることから、家具や家電のレイアウトまで詰め切れていなかったことが考えられます。
冒頭で触れた通り、家づくりの過程では決めることが山積みです。昼休憩を挟むとは言え、朝から夕方までぶっ通しで「軒天の色はどうしますか?」とか「カウンターの高さは調理台から何cmにしますか?」とか矢継ぎ早に聞かれたら、普通は疲労困憊してしまいます。実際、打ち合わせの場では隣室から悲鳴の声が聞こえてきましたし、私の妻も完全に思考がフリーズしてしまってました(苦笑)
そんな感じなので、収納スペースを多く取ることは考えても、その位置や実際に何をどれくらい置くかということまでは考えきれなかったのでしょう。ハウスメーカーも建築のプロであって収納のプロではありませんから、施主のライフスタイルを細かに把握しているわけではありません。その結果、全体として収納量は足りていても、局所的に収納量が足りないという事態が発生したのだと考えられます。
見た目や建築上の制約に影響を受けた
収納が足りないという不満の次に、「ドアや窓の使い勝手に不満がある」という声が多くなっています。このことから、見た目や建築上の制約によって収納に不満が生じた可能性が考えられます。
ドアの不満というと、開く方向であったり、片開きか片引きの違いなどが挙げられます。開く方向がよく考えられていなかったというのはそもそも設計したハウスメーカーに動線のノウハウがなかったからだと思いますが、片引きか片開きかというのは建築上の制約によるところが大きいと思います。近年は耐震性が重視されるので、片引きにしたくても片開きにしかできないケースもあるのです。そうして片引きにできなかった結果、扉がクローゼットの折れ戸と干渉するというケースは考えられます。
また、設計士は窓開口部は広く、窓の数は多く取ろうとしがちです。そのほうが外から見たときにカッコイイですし、中から見てもオシャレな感じに仕上がるからです。しかしながら、実際に家具を配置してみると窓が邪魔になる可能性があります。外観および内観を重視した結果、使い勝手が疎かになってしまったというわけですね。インテリアと収納は反比例することが多いという典型と言えましょう。
収納量ばかり求めて動線を考えてなかった
不満点の4つ目には「間取り(動線)に不満がある」という声が挙がっています。間取りというのは「あちらを立てればこちらが立たず」のところがあって非常に難しいのですが、収納に関してはそもそも収納量ばかり求めて動線を考えてなかった可能性も考えられます。
ミクロで言えば、たとえばキッチンでは鍋をシンク下から出してコンロに置いて調理するというように、作業動線を考えなければなりません。マクロで言うと、服を脱いで洗濯機に入れ、洗って干しに行き、取り込んで畳んで片づけるという一連の生活動線を考える必要があります。こういう視点を持つことは当たり前のはずなのですが、収納の量だけを追い求めてしまうとついつい置いてけぼりになってしまうのです。
以上の通り、収納にこだわったつもりでも不満が残る結果になったのには少なからず原因があると思われます。たくさんのことを決めなければならない中で詰め切れなかったのは致し方ない部分もあるように思いますが、使い勝手よりも見た目に偏ってしまったことや収納量ばかり追い求めて動線までよく考えていなかったことは収納の基本を理解していれば防げたことかもしれません。
それで言うと、SUUMOの調査結果とともに提示されている収納アイディアはいささか疑問点があります。実例1の「全居室に収納、リビングと寝室に大型ウォークインクロゼットを」というのは、相当な床面積を必要とするうえに、収納の分散による管理の煩わしさを生じる危険性があります。また、実例2の「玄関と洗面脱衣所の間に2WAY動線のファミリークロークを」という方法は、大筋では良いと思うのですが、2階建てや3階建ての場合は洗濯物を干す場所や畳む場所と離れてしまうリスクがあることを念頭に置く必要があるでしょう。
いやはや、注文住宅というのは決めることが多すぎて本当に大変ですね(苦笑)
コメント
はじめまして。
元堺っ子で二世帯を建てたので勝手に親近感!です。
7回の打ち合わせで決定というのが、さすがですね。
うちは打ち合わせがやたら多かったのでコンセントも収納も不満ナシです。
持ち込み家具はサイズを出せ、購入候補の家電や家具も型番だせ、と建築士さんは厳しかったです。
大手のHMでしたが、収納率の規定がありました。
でも腰までのカウンターと天井までの収納でも面積で計算するから同じ。
それは違うよね、と思いました。
ヘーベルハウスみたいに「LDKの壁面収納が7㎡必要」と書いてくれる方が親切ですね。
さかいっこはコケコッコさま
はじめまして^^
さかいっこはコケコッコさんも二世帯住宅を建てられたのですか!
私にとっては尊敬すべき大先輩ですね^^
またお気づきのことがあれば色々と教えてください♪
我が家の場合、あと1回は打ち合わせがあるので合計8回は必要となる予定です。
前半4回は粗見積りを出すための打ち合わせで2~3時間程度、後半4回は7時間前後、合計で40時間くらいになるでしょうか。
設計士とインテリアコーディネーターが段取り良く進めてくれるので助かります。
それにしても、家具のサイズから家電の品番まで報告する必要があるとは、そりゃあ失敗のしようがありませんね!
アキュラホームでも普通は現在の自宅まで来て色々とチェックしてくれるそうなのですが、私の場合は間取り図を持ち込んだからかそこまではしませんでした。
収納率の規定のチェックについては、確かに腰高でも天井一杯でも面積で計算するのは違和感があるかもしれませんが、上半分はあまり使わないことが多いので、そう考えると一定の妥当性があるようにも思います。
ただ、ハウスメーカーによっては棚板が入っていないことがあったりもするので、量よりも何をどのように入れるかはチェックして欲しいところですね。