私がクライアント宅にお邪魔した際に、収納家具をオーダーしたいというご相談を受けることが時々ありました。しかし、これが言うは易し、おこなうは難しで、簡単ではありません。
まずオーダー家具ができるというところはいくつかあるものの、専門でやっているというところは少ないです。専門のところは基本的に提携する工房に作らせることが多いため、割高なことが多く、やり取りに時間が掛かります。
一方で、工房に直接、図面を持ち込むと、打ち合わせに時間が掛かるうえに、納期がなかなか決まりません。そして結局、クライアントから予算が合わないなどと言われて工房にお断りの連絡を入れるという、残念な結果に終わることがほとんどだったりします。
そんなわけで、もっと手軽にオーダー家具の価格や納期が分かればと思うことが何度もありました。それは私のようなコーディネーターだけでなく、ユーザーや工房も同様のことでしょう。
しかし、これからはセミオーダー家具がもっと身近になると思います。オーダー収納家具を1ミリ単位で注文できるというECサイト「HAKOTAN(ハコタン)」がリリースされたからです。
※この記事は2023年9月12日時点の情報に基づいています
ヤスモク・HAKOTAN
このたびオープンした「HAKOTAN(ハコタン)」は収納家具を1mm単位でサイズオーダーできるだけでなく、見積りから図面作成、発注まで、web上で簡単にできてしまうというものです。
製造は岐阜県郡上市に本社を置くヤスモク。タカラスタンダードのシステムキッチンなどを作っているメーカーですから品質は折り紙付きです。スタートアップ企業が思い付きで始めたサービスとはワケが違います。
全12種類の収納家具がオーダー可能
オーダーできる収納家具は実に豊富で、全部で12種類も用意されています。吊戸棚、食器棚、玄関収納、カウンター下収納、デスク、本棚、隙間家具、クローゼット、TVボード、シェルフ、サイドボード、棚板まで。しかも、カラーは最大15色、商品によっては扉の開閉の向きやデザインも選ぶことができます。また、フィラー(すき間を埋める部材)のサイズオーダーやエンドパネル(化粧側板)の追加なども可能です。
商品説明書で仕様も分かる
各商品にはあらかじめ商品説明書、設置説明書、取扱説明書が用意されています。商品説明書を見ると、たとえば扉のスライド丁番はブルム社のものが使われているとか、キャビネットの外箱の板厚は15mmとか、そんな細かいところまでちゃんと確認できます。
単にサイズやカラーをオーダーできるだけでなく、品質面でも申し分ないスペックの収納家具であることが分かるというものです。
フジイ「スリムすきまくん」との比較
セミオーダー家具の定番、フジイの「すきまくん」と比較したらどうだろうかと思って調べてみました。
調べ始めてから気付いたのですが、すきまくんは全8種類から選べるものの、1cm刻みでサイズオーダーできるのはカウンター下は高さのみ、スリムは幅のみです。また、すきまくんは引出しが付いているものが多い一方、HAKOTANのカウンター下収納や隙間家具は引出しナシが基本など、色々と仕様が異なるのですね。
以上を踏まえたうえで、たとえば「スリムすきまくん」板扉タイプを幅29cm(奥行42×高さ180.2cm)でオーダーすると税込41,800円(make-space楽天市場店の場合)、HAKOTANを同サイズかつ可動棚板2枚追加で同52,690円となりました。
単純に価格だけ見るとHAKOTANのほうが高価ですが(しかもスリムすきまくんなら引出し1杯付き)、HAKOTANなら幅も奥行も高さも1mm単位でオーダーできるし、フィラーもオーダーできることも考えれば、決して割高とまでは言えないでしょう。
ちなみに、普通に工房に設計図を持ち込んだら、見積りが上がるのに1週間ほど、金額は軽く10万円を超えると思います。それでも決まれば良いですが、お断りの連絡を入れるのはすごく心が痛みます(苦笑)
以上の通り、HAKOTANのセミオーダー家具は品質は申し分なく、金額もすぐに分かるので、とても安心です。それでいて、決して割高とは言えません。これはメーカーにほぼダイレクトにオーダーできるからこそでしょう。
一方で、すきまくんや「エースラック(カラーラックオーダー)」の場合は家具店というそれなりに安定した受注先がありますが、HAKOTANは現状、自社サイトでの受注のみに見えます。これではさすがに厳しいのではないかと思ったのですが、どうやらファニチャーメーカーという会社を通じて法人(マンションデベロッパー等)からのオーダーも見込めるようです。
つまり、法人も納得のクオリティーで一般ユーザーもオーダーできる仕組みというわけですから、これはかなり期待できるんじゃないかと思います。
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