人間は誰しも自分は普通であると考えがちです。自分の身の回りの状況や経験を以って”普通”とし、それ以外は”普通ではない”と考えてしまう傾向があります。しかし一方で、いったん「自分は普通ではないのかもしれない」と思い始めると、基準とするものがなくなり、心が穏やかでなくなってしまうこともあります。
特に洋服の片づけ、モノの持ち方においては、「どのくらいの量が普通なのか」分からなくなってしまう方がいらっしゃいます。かと思えば、自分は複数の部屋を占領するほど洋服を持っているのに、それに比べれば僅かな量の洋服しか持っていない配偶者に対して「あなたの洋服が多すぎる!」と言うケースも少なくありません。
洋服の量はいったいどれくらいが適切と言えるのでしょうか。多くのお宅でアドバイスをしてきた私の経験に基づいて解説したいと思います。
配偶者の洋服は無駄に多く見える
一般的に、女性でパイプハンガーの幅にして180cm、男性で90~120cm。私は洋服の量の目安について、このように考えています。
もちろん仕事柄、もっと多くの洋服が必要になる人もいます。また、カジュアルな洋服が多い人はハンガーに掛けるスペースよりも畳んで引出しに収めるスペースが必要になることもあります。ただ、一般的な家族世帯を想定すると、これ以上に洋服を収めるスペースを確保するのはなかなか困難なのです。
洋服の量の目安について私はそのように考えているのですが、私の行く先々で冒頭で挙げたような相談を受けます。「旦那(妻)の洋服が多い」。「着ないのに捨てない」。奥さんが一部屋を埋め尽くすほど洋服を持っていて、旦那さんがたった60cm幅のクローゼットに洋服を掛けてあるだけなのに、そんな風におっしゃることもしばしばあります。
「隣の芝はいつも青い」なんてことわざがありますが、他人の言うこと為すこと無駄で多いように見えるものなのですね。
自分の洋服が多いか少ないかをチェックする方法
ついつい責めてしまう相手は配偶者だけではありません。特に日本人は自分自身を責めてしまう傾向が強いように思います。第三者的に見て決して洋服が多くないのに「捨てないといけない」とか「私は無駄なものばかり溜め込んでいる」と思っている人はとても多いです。
先ほど私は洋服の量の目安について「女性でパイプハンガーの幅にして180cm、男性で90~120cm」と言いました。しかし、これだけで判断するのは困難です。その人がどのような仕事をしていて、どのような立場で、どのようなライフスタイルを送っているか確認する必要があります。
たとえば芸能人の場合は大量の衣装が必要になります。社長夫人の場合はドレスがたくさん必要です。長期の出張が多い場合はスーツがたくさん必要ですし、逆に家で過ごすことが多い場合はスーツがまったく必要でないこともあります。
また、その人が必要で洋服をたくさん持っているのか、趣味で持っているのか、もしくはストレスであったり自分自身をよく理解していないことで不必要にたくさん持ってしまっているのかを確認することはもっと重要です。
そんなときに私が確認するのは、靴、バッグ、小物などです。洋服がウンと多いのに靴はそんなに多くない場合、必要ではないのに洋服をたくさん持ってしまっていることが多いです。バッグが多く、しかも古いバッグが押し潰されてしまっている場合、「もったいない」という理由でバッグも洋服も捨てられないという可能性が高いです。ストールやベルトなどの小物が少なく、同じような色形の洋服が多い場合、ストレスで買ってしまっていたり、自分流の着回しが確立されていないことが多いです。
つまるところ、洋服が本当に多いか少ないかは、残念ながら洋服だけを見ても判断できません。職業、立場、ライフスタイル、他のファッションアイテムなどもチェックしなければ分かりません。「片づかない原因」を分析しないと片づけられないのと同じように、しっかりと分析しなければ洋服が多いのか少ないのかは分からないのです。
片づけはやはり、しっかりとモノと向き合わないといけません。それはとても困難なことです。
だからこそ、慣れるまでは一人で背負いこんで一気にやるべきではありません。
冷静に。可能であれば協力者を得てから。
あまり難しく考える必要はありませんが、落ち着いて考える必要はあります。
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