「押入れをクローゼットのように改造して洋服を掛けたい」というご相談をよく受けます。しかしながら、押入れとクローゼットではサイズや構造が異なります。押入れは奥行が深く、中段が設けられていることが多く、洋服を掛けるには不都合なところがあります。
今回はそういった洋服を掛けるのに不向きなポイントを抑えつつ、最適な方法を2つご提案したいと思います。
押入れに洋服を掛けるのが難しい理由
- 押入れの奥行はクローゼットの1.5倍
- 押入れに洋服を掛けると手が届きにくい
- 押入れには丈の長い洋服が掛けられない
押入れの奥行はクローゼットの1.5倍
大工に言わせると、クローゼットは折れ戸式でパイプハンガーが付いた収納スペース、押入れは基本的に襖で中段が付いたものという認識です。しかし、本来は奥行の違いがもっとも大きなポイントと言えます。クローゼットは洋服を掛けるスペースなので奥行が600mm程度、押入れは布団を収めるので奥行が900mm弱という違いです。つまり、押入れの奥行はクローゼットの1.5倍です。
この1.5倍というのが曲者です。2倍なら洋服を前後に掛けるのに十分ですが、1.5倍では重なり合う部分が生じます。逆に、普通に1列だけ掛けると、手前もしくは奥に無駄な空間が生じます。
そもそも、押入れは布団を収納するのに最適化された収納スペースなので、洋服や本などの寸法の小さなモノの収納にはあまり適しません。もし、部屋の中にもっと大きなモノがあるようなら、それらを押入に優先的に収めるほうがベターです。そうして、洋服はワードローブなどを用意してそこに収めるほうが良いでしょう。
押入れに洋服を掛けると手が届きにくい
通常、押入れの中段は高さが700~800mm程度あります。そのため、その上にハンガーラックを設ける場合、ハンガーパイプの高さは1800mm程度となりますから、どうしても女性では手が届きにくい高さになってしまいます。押入れに洋服を掛けてみたものの、使いにくくて放ったらかし…。そういう状態は避けたいものですね。
もしすでにそういう状態になってしまっているならば、近くに踏み台を用意しておくと良いでしょう。
押入れには丈の長い洋服が掛けられない
押入れの中段にハンガーラックを設けると、丈が1000mm程度の洋服しか掛けることができません。紳士物のスーツでは裾をする程度です。婦人物であればたいていは大丈夫ですが、ワンピースやロングコートは掛けることができません。そうすると結局、洋服を掛ける場所が2ヶ所以上に分散してしまい、管理がしにくく使いにくい状態になってしまいます。
収納の基本は1種類のモノを1ヶ所に集中して収納する「一元管理」です。丈の短い洋服は押入れに、丈の長い洋服はワードローブにという分け方になってしまう場合は、夏物と冬物、普段着と冠婚葬祭用などという具合に、できるだけ分かりやすいように分けるようにしましょう。
押入れに洋服を掛ける合理的な2つの方法
平安伸銅工業・強力押入れポールセット
押入れに洋服を掛けるのが難しい理由を踏まえて、リフォーム以外の方法で解決策を提案するなら2つの方法が考えられます。
まず、突っ張り棒を取り付けてそこに洋服を掛けるという方法。もっともスペースの効率が良く、しかも手軽に設置できる方法です。ただ、一間幅(180cm幅)の押入となるとさすがに突っ張り棒が落ちてしまう可能性が高いので、平安伸銅工業の「強力ささえポール」で補強してやるのがベターです。ちなみに、上写真は突っ張り棒と強力ささえポールがセットになった「強力押入れポールセットKOP-110」です。
奥にはアイリスオーヤマの「モジュールボックス」を置くなどして衣類や小物を収納するという方法も考えられますが、手前を空けておいて畳んだ洋服の一時置きとして活用するなどするのがオススメです。
アイリスオーヤマ・押入れクローゼットハンガー
突っ張り棒が使えない場合は、アイリスオーヤマの「押入れクローゼットハンガー1段タイプOSH-Y17」など押入れの中段の上に乗せるタイプのハンガーラックが有効です。
幅が750~1300mmまで、高さが820~1000mmまで伸縮可能なので、スペースに合わせて設置することができます。奥や手前のスペースに活用については先ほどの突っ張り棒の場合と同じです。
他にもいろんな押入用ハンガーラックがあるのですが、合理的と言えるのは上の2つの方法だけです。他の方法の多くは思った以上に耐荷重が小さかったり、押入自体に強度が足りなくて、期待するほど洋服がたくさんかけられなかったり、使いにくかったりするのです。
ちなみに押入の上段は奥行が850mm程度、高さが1100mm程度であることが多いので、肩幅が広く丈が長い紳士服は避け、婦人服に絞ったほうが使いやすいです。
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