ネットでウォークインクローゼットについて調べると、やたらと海外の事例が紹介されています。そして、「ウォークインクローゼットは良いものである」と言わんばかりに、見た目の良さだけが強調されているように感じます。こういうところで何かしら勘違いをしてしまって、日本では「ウォークインクローゼット神話」のようなものができ上がってしまったのかもしれません。
しかし、私が今までに日本のマンションや一戸建てで見たウォークインクローゼットは十中八九「なんちゃってウォークインクローゼット=ステップインクローゼット」で、まったくもって使いにくいものばかりです。ちゃんとしたウォークインクローゼットは使いやすいと思いますが、ウォークインクローゼットっぽければOKという浅はかな考えで作られたものにはメリットなどありません。
ともあれ、今までにさんざん正しいウォークインクローゼットについては書いてきましたので、今回は賃貸でもOKな「部屋を仕切ってウォークインクローゼットを作る方法」を紹介したいと思います。
6畳間にウォークインクローゼットを作ってみよう
6畳間にウォークインクローゼットを設ける場合は、たとえば上図のようになります。まず、つっぱり式のパーテーションで部屋を半分に仕切ります。そして、ルミナスラックなどを上図のように設置してハンガースペースを設けます。基本的にはこれでOKです。
ほかにも、パーテーションとハンガーラックを別々に用意せずに背面がパネル状になったハンガーラックを置いたり、間仕切りワードローブを置くという方法もあります。
実際にレイアウトするにはいくつかの問題も
ただ、実際に6畳間を仕切ってウォークインクローゼットにするにはいくつかの問題が生じることが多いです。まず、部屋には窓があります。窓付近に洋服を掛けると、結露してカビが発生したり、紫外線で焼けてしまったりします。結露対策や紫外線対策が必須ですが、残念ながら完璧にそれらの影響を避けることはできません。
もう一つの問題は、照明器具です。一般的には部屋の中央に照明器具が付いているため、つっぱり式のパーテーションなどを使う場合は照明器具を避けて設置するか、照明器具自体をズラす工夫をする必要があります。突っ張り式でなくても、ウォークインクローゼットの部分も居室部分も光が遮られて暗くなってしまう恐れがあります。
さらに、居室部分にベッドを置こうと思ってもドアが干渉して置けない可能性があります。クローゼットなどの造り付けの収納スペースも使いにくくなります。
ウォークインクローゼットをII型レイアウトではなくI型レイアウトにすれば問題ないと言うことはできるでしょう。ただその場合、通路としてしか使えない無駄なスペースを生じます。それなら普通に壁際にワードローブを並べたほうが良いですよね。
また、8畳以上であれば同様に仕切っても問題ない可能性があります。それでも窓の問題は避けて通ることは難しいでしょう。
海外におけるウォークインクローゼットと日本のそれとの根本的な違いは、やはり住居全体の広さの違いにあると思われます。海外の事例で紹介されている住居は全体的に床面積が広そうです。普通に6畳間くらいの部屋全部をウォークインクローゼットのように使っているケースも多くみられます。
対して日本の場合は、ウォークインクローゼットっぽいものさえ作れば何でもアリの様相で、狭すぎて使い物にならないことがほとんどです。
日本で使いやすいウォークインクローゼットを手に入れようと思えば、家全体に十分な広さがあるか、各部屋を小さめに作って十分な大きさのウォークインクローゼットを確保する必要があると言えるかと思います。
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