造り付けの収納スペースが十分あれば、それは良い家と言えるのか?

大容量のクローゼット・イメージ

株式会社リクルート住まいカンパニーが、住宅の購入・建築を検討している人を対象に調査した『住宅購入・建築検討者』調査(2015年度)によると、仕様や設備に対する重視項目としては、「収納スペースが十分にある」がトップとなりました。

おそらく、今までの住まいではモノを置く場所が足りない、できるだけ家具を置かずにスッキリと暮らしたいということなんだと思います。けれども私は収納スペースが多い家には反対の立場です。

もちろん、収納スペースがあればあるほどモノが増えるだけだなんて正論を言うつもりはありません。そうではなくて、収納スペースが多ければ多いほど余計に片づかなくなると申し上げたいのです。



収納スペースは数よりも位置とサイズが重要

収納スペースが多いとか少ないと言う場合、「ここにもあそこにもこんなところにも収納スペースがある」、もしくは逆に「この家にはこの部屋にしか収納スペースがない」などと言われることが多いです。

この場合、意識されているのは収納スペースの「数」であって、どの位置にあるとか奥行がどれくらいとかどんな構造かなどということはほとんど意識されません。だから住み始めてみてから使いにくいということに気づくのです。

また、収納スペースの位置やサイズなどを意識せずに数を追い求めると、モノの出し入れの度に家中を動き回らなければならなくなります。洗濯した洋服を子供部屋、寝室、和室、リビングに配達することになったり、必要なモノを探し回ることになるのです。

収納スペースの少ない間取りを提唱

将来の我が家の間取り図

そのように申し上げてもたぶんピンと来ない方が多いと思いますので、私が考えた間取り図で説明しましょう。たぶんこれは初めて公開しますが、これは近い将来私が建てたいと思っている自宅の間取りです。

造り付けの収納スペースは赤色の部分のみ。和室に押入れ、玄関に物入れ、あとはウォークインクローゼットだけです。この間取りの収納スペースの面積は床面積全体の7.6%となっており、これは優良工業化住宅が定める収納面積比率9%を下回っています。賃貸住宅並みと言え、常識的に言えば収納スペースが少ない家なのです。

一般的にこの間取りであれば、子供部屋それぞれにクローゼットがあるのが当たり前です。最近であればリビングにも収納スペースがあることも増えています。しかしこの間取りでは収納を、和室、玄関、ウォークインクローゼットの3ヶ所に集約しています。

収納スペースが足りない分は、もちろんモノを極限まで減らすことで対応するつもりはありません。収納スペースを造り付けしない代わりに、収納家具を置く予定です。これによって建築コストは大幅に下がり、品質の良い収納家具を購入しても十分お釣りがくる計算です。

造り付けの収納スペースが少ないので、モノを出し入れする手間が少なく、あちこちを探し回る必要もありません。取り入れた洗濯物はリビングで畳んでウォークインクローゼットに収納するだけ。洗面脱衣所からも近いです。布団や季節用品は和室の押入れに、日用消耗品や工具などは玄関収納に収めます。造り付けの収納スペースの数を減らすと、生活動線が非常にシンプルになるのです。

収納家具ならレイアウトが自由自在

最近はクローゼットなどを造り付けにして、できるだけ収納家具を置かずにスッキリさせたり、地震に備えようとする傾向が強いです。しかし、造り付けの収納スペースを減らすことで建築コストを下げられるだけでなく、家具レイアウトの自由度を格段に上げることができます

上の間取り図の子供部屋を見ていただければ分かる通り、クローゼットがなければベッドや机をどこにでも置くことができます。クローゼットがあるとその位置はもちろん、その前にも家具は置けません。こういう点で見ても、造り付けの収納スペースが多いことは良くないと言えるのですね。

建売りでも注文住宅でもマンションでも、現状では間違った収納スペースを設えた家が非常に多いです。部屋を配置して残ったスペースをとにかく収納スペースに設えたり、位置関係など無視してとにかく量を追い求めたり、名ばかりウォークインクローゼットを設えたりといった具合です。

一方で工務店やハウスメーカーに十分な住まい方の提案力があるかと言うと、残念ながらありません。これはもう、買うほうがしっかり理解しておかないと仕方ないのです。

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