最近は猫も杓子も「サブスク」(サブスクリプション・サービス)です。そりゃあ、コロナ禍でも毎月一定の料金がずっと懐に入ってくるのですから企業にとっては美味しい話です。再放送ばかり流して、衛星放送の番宣しまくって、なぜか民間の携帯電話会社よりも値下げ圧力が弱くて、そのくせ国営企業ではないなどとウソぶく某国の公共放送局なんか見てたら、経営者が魅力的と感じるのも無理はないでしょう。
そんなわけで、どの業界でもサブスクが導入されつつあります。もちろん家具業界も例外ではありません。しかしながら、動画視聴料金や携帯電話料金などと違って、家具の場合は配送設置料や回収費用が非常に高くつきます。そのため、家具のサブスクと言ってもほとんどがただの分割払いで、使い続けると利用者が損をするケースも珍しくないという状況です。
そんな中、利用者が魅力を感じられる家具のサブスクが登場しました。
※この記事は2021年1月8日時点の情報に基づいています
アスクルが月額制の家具レンタルサービス開始
今回ご紹介する家具レンタルサービスを提供するのは、法人向けに事務用品などを通信販売する「アスクル」です。今日注文したら明日来るどころかその日の夕方に届く、税込1,000円以上の注文で配送料無料となるなど、法人にとってはとても利便性が高いサービスを提供している会社ですね。
そのアスクルが2020年12月23日から始めた家具レンタルサービスは、まず1都3県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)のみ、オフィスチェア35商品が対象と、手堅くスタート。しかしこれは、今後拡大の余地が多いのではないかと期待できるものになっています。
アスクルの家具レンタルサービスの特長
初期投資が少ない
ぶっちゃけ、アスクルの家具レンタルサービスは、ありていに言ってしまうとただの12ヶ月分割払いです。でも利用者は基本的に法人ですから、分割払いなら初期投資が少ないうえに、減価償却する必要がありませんし、経理上は支払いが済めば備品として管理しなくても良いはずです。テレワークのために会社から社員宅に支給しても、あとでそれがどうなったとか聞く必要はないと思います。
1年使用でもらえる
一般的な家具のサブスクはただの分割払いのように見えて、商品代金相当額を支払い終えても毎月料金が発生することがあります。しかし、アスクルの場合は1年間=12ヶ月支払えば、商品はそのまま手元に残り、さらに料金を支払う必要はありません。なお、手元に残さず返却することもできます。
いつでも返却できる
アスクルは家具レンタルサービスと言っている通り、基本的にはレンタルです。そのため、1年間の契約期間を待たなくても返却することができます。ただし、途中の返却に際しては1脚あたり税別5,000円(税込5,500円)の返品手数料が掛かります。
新品が届く
レンタルだから中古品が届くと思われるかもしれませんが、アスクルの場合は新品が届きます。つまり、新品のオフィスチェアを通常価格を上回らない価格で12ヶ月分割払いで買えて、気に入らなければ途中で返品することもできるわけです。利用者としてはまったく損がないシステムと言えましょう。
本当に損しないのか調べてみた
ともあれ、アスクルの言い分をそのまま信用するほど私も馬鹿ではありません。本当に利用者が損をすることがないか、エルゴヒューマンの「ベーシックオフィスチェア(EH-HAM KM-11)」を例に調べてみました。
こちらのチェアはアスクル通常価格が税込87,780円、家具レンタルサービスを利用すると月額税込7,310円×12回=87,720円なので、普通に買うよりも60円安い計算です。
では、amazonで買うとどうかと言うと、2021年1月8日現在の価格は税込79,947円ですから、amazonのほうが8千円近く安いということになります。ただし、アスクルは同商品について組立設置費込みですが、amazonは玄関届けです。
また、楽天市場のワーカホリックで購入すると、価格は税込87,780円でアスクルと同額ながら、ポイントは10倍なので実質10%引きで買える計算です。ポイントアップキャンペーンを利用すれば実質20%引きくらいにすることも可能でしょう。
ですが、アスクルなら初期費用が抑えられるうえに、減価償却する必要がありません。おまけに、予定が変わったときに返却することも可能です。こういったところは経営者や総務部の人たちには何よりも魅力に感じられるのではないでしょうか。
以上の通り、アスクルの家具レンタルサービスは非常に良くできていると思います。一言で言うと、利用者の「リスクヘッジしたい」という気持ちに寄り添ったサービスと言えるでしょう。それでいて、アスクル自身もめちゃぐちゃ無理をしているというわけでもなく、1年間で商品代金を回収できます。
対して従来の家具のサブスクは「利用者からいかにして毎月ずっと搾り取るか」ということしか考えていないものが大半だと思います。初期投資や毎月の支払額の低さばかり強調して、最終的には利用者にとって負担が大きいものが多い印象です。まあ、そこまで言うとさすがに言い過ぎかもしれませんけど、利用者のリスクヘッジよりも事業者のリスクヘッジのほうに重きを置いているのは間違いありません。
ともあれ、アスクルの家具レンタルサービスはまだ1都3県のみ、オフィスチェア35品のみが対象で、基本的には法人向けと考えられます。もっとも、私もアスクルの会員でしたから、自営業なら個人でも大丈夫でしょう。
今後、サービス利用地域が広がるとともに、対象商品も拡大していくことを期待したいと思います。
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