1955年にスチールワイヤーシェルフが米国インターメトロ社によって開発されてから今年で70年。日本で家庭用の「ホームエレクター」が発売されてから30年が経ちます。「ルミナスラック」(ドウシシャ)や「メタルラック」(アイリスオーヤマ)もほぼ同時期です。
ニトリでワイヤーシェルフが販売されるようになったのはそれら主要ブランドよりも後と思われますが、現在は価格訴求で一定のシェアを握るに至っています。ただ、もともとラインナップを絞り込んでいたところに、最近は3色展開からクロム色を外してホワイトとブラックの2色展開になり、ますますラインナップが少なくなっています。
このままでは先細る一方と判断したのか、ニトリから新しいスチールラックが発売されました。
※この記事は2025年7月21日時点の情報に基づいています
ニトリ・STメッシュ
このたびニトリから発売されたのは「連結可能なスチールラック(STメッシュ)」という商品です。
こちらはいわゆるメタルラックに近い構造のスチール棚です。しかし、ニトリには既に「スチールラックSTANDARD」などがあります。一体どのような違いがあるのでしょうか。
棚板がメッシュ
まずもっとも分かりやすい特徴は、棚板がワイヤーシェルフではなくメッシュ棚板になっているという点です。日本ではあまり例がありませんが、IKEA(イケア)の「LERBERG(レールベリ)」を思い浮かべる方もいらっしゃるでしょうね。
ワイヤーシェルフよりも網目が細かくて小物が落ちにくいのがメリットと言えます。ワイヤーシェルフに比べてコストも抑えやすいです。
幅方向に連結(拡張)できる
もうひとつの大きな特徴は幅方向に連結して使えるということです。
スチールラックSTANDARDなどもポールを共用すれば幅方向に連結できます。また、ルミナスラックなどは「ラック連結コネクター」を使うことで、隣の棚板に引っ掛けるかたちでラックを連結することが可能です。
しかし、ニトリのSTメッシュはポールを共用するかたちで連結するのではなく、コネクターを別途用意する必要もありません。ただし、連結する際は「連結用棚板」が必要になります。
棚板側面にフックと受け
STメッシュの連結用棚板の一方には、上写真のように上から差し込む爪が2つ付いています。連結される側の棚板には同じ位置に受けが2つ用意されており、それらをハメ込むことで連結させるという仕組みです。
これはユニークな仕組みだと思うのですが、連結用棚板は連結させて使う以外に使い道がないんですよね。真横に本体の棚板がないと引っ掛けることができないため、左右で棚板の高さを変えるということもできません。
棚板1枚あたり耐荷重は20kg~
棚板1枚あたりの耐荷重はセット品が30kg、連結棚板は20kgとなっています。本体の30kgという数字はスチールラックSTANDARDと同じです。
なお、店頭で実物を確認しましたが、特に揺れは感じませんでした。強度面の心配はないと思います。
ポール直径は19mm
ポールの直径は19mmです。つまりスチールラックSTANDARDと同じ太さと言えます。
脚はアジャスター脚のみで、現在のところキャスターの用意はありません。「STANDARD用キャスター」が流用可能かどうかは現時点で不明です。
スチールシェルフME19との互換性は?
STメッシュのメッシュ棚板や、連結構造、ポール直径19mmという点は、既に販売されている「スチールシェルフME19」(上写真)と基本的に同じです。塗装も同じ粉体樹脂塗装と思われます。
一方で、棚板側面の形状が少し異なります。STメッシュは側面がフラットなのに対し、ME19は帯状に凹みが設けられています。
また、STメッシュの奥行は約30cmですが、ME19は約40cmです。棚板側面の連結部分についてもSTメッシュは片側にフックまたは受けが2つずつなのに対し、ME19は4つあるので、互換性はないと言って差し支えないでしょう。
ラインナップ
幅 | 種類 | 仕様 | サイズ(mm) | 税込価格 |
---|---|---|---|---|
65cm | セット | 4段 | 642×292×1512 | 7,990円 |
3段 | 642×292×1156 | 5,990円 | ||
2段 | 642×292×801 | 4,990円 | ||
棚板 | 追加用 | 642×292×33 | 1,490円 | |
連結用 | 620×292×33 | |||
85cm | セット | 4段 | 842×292×1512 | 9,990円 |
3段 | 842×292×1156 | 7,990円 | ||
2段 | 842×292×799 | 6,990円 | ||
棚板 | 追加用 | 842×292×33 | 1,990円 | |
連結用 | 820×292×33 | |||
共通 | ポール | 4段 | 19×19×1512 | 1,190円 |
3段 | 19×19×1157 | 999円 | ||
2段 | 19×19×801 | 799円 |
STメッシュのラインナップは現在のところ上表の通りです。幅65cmと85cmの2サイズで、それぞれ2~4段のセットがあります。なお、ニトリのスチールラックの多くは棚板の枚数ではなく、棚板とその上段の間の空間を1段とカウントするため、4段は棚板が5枚あることを指しています。
別売の棚板は4隅にポールリングがある「追加用」と、ポールリングが2つと反対側にフックが2つ付いた「連結用」があります。また、ポールは高さに応じて3サイズ用意されています。
いずれもホワイトとブラックの2色展開で、マットな質感(つや消し塗装)で仕上げられています。
セット品はサイズにより5千円から1万円ということで手が届きやすい価格ではあるものの、同じく3~6千円のスチールラックSTANDARDに比べると割高感があるというのも率直なところです。
ニトリ・スチールラックKJ25
STメッシュとほぼ同時に「スチールラックKJ25」というワイヤーシェルフが発売されています。2015年以降、ニトリのワイヤーシェルフはポール直径22mm、19mm、15mmという体制が長らく続いておりましたが、KJ25はルミナスラック(レギュラー)などと同じポール直径25mmです。
カラーバリエーションはホワイトとブラックの2色展開であるものの、同じ粉体樹脂塗装のSTメッシュやスチールラックCUSTOMとは異なり、ザラッとした質感ではなく半ツヤ塗装となっています。
ラインナップ
幅 | 種類 | 仕様 | サイズ(mm) | 税込価格 |
---|---|---|---|---|
90cm | セット | 5段 | 910×459×1815 | 14,990円 |
4段 | 910×459×1384 | 11,990円 | ||
3段 | 910×459×952 | 9,990円 | ||
120cm | セット | 5段 | 1213×459×1815 | 21,990円 |
4段 | 1213×459×1384 | 17,990円 | ||
3段 | 1213×459×952 | 12,990円 |
KJ25は幅90cmと120cmの2サイズ展開。それぞれ3~5段が用意されており、現在のところ別売の棚板やポール、専用キャスターは用意されていません。
スチールラックCUSTOMが幅60cm、85cm、115cmの3サイズ展開、奥行約40cmであることを考えると、サイズ関係はいろいろと違うことが分かります。なお、高さは3~5段となっていますがこちらは棚板の枚数でカウントされており、CUSTOMの2~4段と実質的には同じです。
価格はKJ25の幅90cmが段数により9,990円~14,990円、幅120cmが12,990円~21,990円となっています。対してCUSTOMの幅85cmが5,490円~6,990円、幅115cmが6,490円~7,990円ですから、幅も奥行も大きくなっているとは言え、約82~175%も高価になっているのはちょっと割高に感じられるかもしれません。
棚板1枚あたり耐荷重200kg
ただし、KJ25は棚板1枚あたりの耐荷重が200kgと大きくなっています。耐荷重が40kgしかないCUSTOMと比較すると5倍という数字で、耐荷重250kgの「ルミナス・レギュラー」に迫るスペックを備えています。
もっとも、KJ25はルミナス・レギュラーのように反り止めは入っていません。頑丈さという点ではやや中途半端さを感じます。
という感じで、新商品のSTメッシュとKJ25を紹介しました。
近年、ニトリでスチールラックと言えば「Nポルダ」シリーズが圧倒的によく売れており、スチールラックSTANDARDなどは相対的に人気がなくなってきています。にもかかわらず機能面の類似点が多いSTメッシュとKJ25を単純に追加するとは考えにくく、STANDARDおよびCUSTOMとの入れ替えを模索している可能性が考えられます。
ただ、STメッシュもKJ25も従来品と比較すると高価です。また、ルミナスラックと比較するとラインナップでも価格でも見劣りします。さらに、STメッシュの連結構造は画期的なように見えて、将来的に組み替えることを考えるとデメリットが生じかねないと思います。
ニトリは一体どうするつもりなんでしょうねー。興味深く見守って参りたいと思います。
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