私は基本的に地震対策に万全はないと考えています。1995年の阪神淡路大震災では死亡原因の約8割が建物の倒壊などによる圧死で、特に1981年の新耐震基準以前の建物にその被害が集中しました。しかし、新耐震基準建物(1981年以降の建物)であっても、84%の建物が現行の耐震基準を満たさないと指摘されているのです。
言うまでもなく、現在住んでいる家が耐震基準を満たさないからと言って、簡単には家を建て替えたり引越しをすることはできません。かと言って、このデータを見たかったことにするわけにもいきませんし、家の中の家具をすべて撤去するわけにもいきません。可能な範囲で最善の努力をすることが大切だと思います。
モノを減らし、背の高い家具を置かないようにすることも大事でしょう。しかしながら、日常生活を犠牲にしてまで、いつ来るか分からない地震に備えるというのは、ちょっと違うような気もします。つっぱり式の家具転倒防止具を使うことも、日本の住宅の多くが吊り天井であることを考慮すれば気休めにしかなりません。しかし対策をしないよりはしたほうが間違いなく安全です。
地震対策で万全を期すことは難しいですが、今回の記事の中で紹介した方法を少しでも参考にしていただければ幸いです。
※この記事は2015年8月7日時点の情報に基づいています
引出し下段に重いモノを入れるだけでも効果あり
先日、家族で旅行に行って家を留守にしていたのですが、自宅に帰ると、アイリスオーヤマのHGチェストが倒れていて驚きました。
現在の仕様ではキャスターが付いていませんが、我が家のHGチェストは旧い仕様でキャスターが付いているのです。どういうわけか留守中にキャスターが外れてチェストが傾いてしまい、引出しが開いて重心が傾いて倒れてしまったようです。
キャスターが外れた理由は不明ですが、ひっくり返ったチェストの引出の中身を見て驚きました。私が最下段に入れた重いモノ(妻の本など)が最上段に入っていて、反対に軽いモノ(子供のゲームソフトのパッケージ)が最下段に入っていたのです。これではチェストの重心が高くなってしまい、キャスターが外れなくても簡単に倒れてしまいます。
おそらく、妻は子供のモノを手が届く位置にしようという配慮があったのだと思いますが、これでは子供にとっても危険です。キャスターが外れようと、何かの弾みでチェストを押してしまおうと、倒れることのないように、重いモノは引出しの下のほうにしなければなりません。
食器棚や整理タンスの引出しであっても要注意!
ポリプロピレン製の軽いチェストだから倒れてしまったのだと思われる方もいるかもしれません。でもそうではないのです。引出式の食器棚や整理タンスのような重い収納家具であっても、重心が高くなったり、すべての引出を同時に開けたりすると、倒れてしまうので注意が必要です。
ウソだと思ったら、引出式の食器棚でも整理タンスでも、上から順番に引出を開けた状態にしてみてください。必ずというわけではないですが、かなり高い確率で倒れることが分かるはずです。地震のときだけでなく、小さなお子さんがいらっしゃるご家庭でも注意してください。
地震で引出しが勝手に開いたり、知らない間に幼児が引出しを開けてしまうことを防ぐには、市販の引出しロックを使うのも良いでしょう。多段式の引出式衣装ケースを購入する場合は、引出ロック機構の付いた天馬の「フィッツプラス」を選ぶのも良いと思います。
収納家具の重心が高くならないように、重いモノは下、軽いモノは上に置くというのは、とても簡単なことです。しかし家具転倒防止具を使うよりも効果的です。
棚でも引出でも同様のことが言えますので、重いモノや割れモノはできるだけ下のほうに置くようにしましょう。
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