今回の熊本地震のような激しい地震の場合、よほど耐震設計をしっかりと施した家でない限りひとたまりもないと思います。いくら家の中で対策をしても無意味とも言える状況だったのではないでしょうか。ただ、だからと言って何もしないというわけにもいきません。ある程度の地震には耐えうるような対策はしておくに越したことはありません。
ちょうど、よしよしさんから収納家具の地震対策についてご質問いただきましたので、この機会に改めて収納家具の地震対策について紹介したいと思います。
※この記事は2016年4月22日時点の情報に基づいています(2023年6月14日一部更新)
突っ張り式では地震対策にならない?
もっともポピュラーな地震対策として、突っ張り式の家具転倒防止具の使用が挙げられます。ただ、日本の住宅は一般的に吊り天井であることが多いため、突っ張り式の家具転倒防止具では天井が持ち上がってしまい、期待通りの効果を発揮してくれるか疑問を感じます。
決して役に立たないということはありませんが、突っ張り式の家具転倒防止具を設置したから安心とは言えないのです。何もしないよりはマシ程度に考えておいたほうが良いと思います。
家具が倒れてきた場合を想定することがまず大切
家具転倒防止具を使って収納家具が倒れてこないようにすることよりも、まず大切なのは家具が倒れてきた場合を想定しておくことだと私は考えます。
例えば上の図のようにベッドの横にワードローブを設置していると、就寝時にワードローブが倒れてきて下敷きになる可能性があります。このようなレイアウトの場合、最悪でも頭のほうへではなく足元に倒れてくるような位置に移動することが望ましいと言えるでしょう。
そのほか、家の中で過ごす時間が長い場所…たとえばリビングダイニング、キッチン、書斎、子供部屋などは特に、家具が倒れてきた場合のシミュレーションをしておいたほうが良いでしょう。
家具が倒れてきたときに出入口をふさがないように
自分や家族が普段過ごすことが多い場所に収納家具が倒れてくることがないように配慮するのと同じくらい大切なのが、収納家具が倒れてきたときに出入口をふさがないようにレイアウトすることです。
上の図のような位置にワードローブを設置すると、地震で倒れたときにドアが開かなくなってしまいます。一般的に室内ドアは部屋の内側にドアが開く内開きが多いですから、室内で収納家具が倒れてドアが開かなくなってしまうと部屋から脱出することができなくなってしまいます。
地震で収納家具が倒れてきた場合に出入口をふさぐことがないか確認し、必要に応じて配置を変えるようにしましょう。またどうしても現状の家具レイアウトを変更できない場合などは、ドア以外のエスケープルート(避難経路)を確保しておきましょう。
重いモノは下のほうに収納して重心を下げる
部屋の中で収納家具をどのように配置するかを考えるだけでなく、収納家具の中にどのようにモノを配置するか考えることもまた重要です。基本的には棚でも引出しでも重いモノを下のほうに収納することで重心を下げ、収納家具が倒れにくくすることが可能です。
逆に、重いモノを上のほうに収納すると、重心が上がってしまい、驚くほど簡単に収納家具は倒れてしまいます。普段の生活でも重いモノが下に落ちたら大変危険です。重いモノは下のほうに収納するようにして、収納家具全体の重心を下げて倒れにくくするとともに、落ちてきても危険性が少なくなるようにしましょう。
ちなみに、収納家具はできるだけ奥行が深いほうが安定感があって倒れにくいと言えます。また、背板や扉がある箱状の収納家具よりもオープンラックのほうが倒れてきたときに脱出しやすいと私は考えています。
地震が心配だから背の高い収納家具は置かないほうが良いという意見もあるかと思います。究極的にはミニマリストのようにできるだけモノを持たず、収納家具もほとんど置かないことが理想です。
しかし、多くの家庭でそれは現実的な選択肢とは言えません。少なくともウチは無理です(苦笑)背の高い収納家具を使わなければモノを収める場所が十分ではなくなってしまいます。
背の低い収納家具ばかりで片づけにくくなってしまうと、足元に置いたモノで足をつまづかせて転倒事故を起こす危険もあります。さすがに命を脅かすようなことには繋がらないとは思いますけど、一生に一度来るか来ないか分からない自然災害に怯えて毎日の快適な暮らしを犠牲にするのは私には耐えられません。
人それぞれ考え方は違うと思いますが、収納家具が倒れてきた場合のことを想定した地震対策は有効だと思います。また、何気なく収納家具の中に配置しているモノを重心を考えて再配置することは簡単にできることです。この際に是非一度、可能な範囲でチェックしていただければと思います。
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