我が家には3畳のウォークインクローゼットがあり、家族全員の洋服をここに収納しています。
最近はウォークインクローゼットのあるお宅なんて珍しくもありません。しかしながら、様々な理由から断念せざるを得なかったという話も少なくないようです。
ウォークインクローゼットがあるのは良さそう。でも、それなりの広さが必要じゃない?お金が掛かるんじゃない?難しいんじゃない?…いえいえ、そんなことはありません。むしろちゃんとしたウォークインクローゼットを作れば良いことがたくさんあります。
というわけで、今回はウォークインクローゼット(以下、WCL)を間取りに組み込むメリットに加え、デメリットも紹介したいと思います。
※この記事は2024年1月5日にリライトしたものです
WCLを間取りに組み入れるのは意外と簡単!
よくある間取りの例
上図は一戸建てでもマンションでもよくある間取りの例です。6畳間と4畳半の間に互い違いになった物入れが配置された間取りですね。これらの物入れの代わりにWCLを配置してみると、たとえば下図のようになります。
WCLを採用した場合
左側の部屋は6畳から4畳半になってしまいますが、これで良い形のWCLを配置することができました。技術的には何ら難しいことはありません。それどころかメリットがいっぱいです。以下、まずは良いWCLを間取りに組み込むことで生まれる5つのメリットを紹介したいと思います。
WCLを採用する5つのメリット
一元管理で家事省力化!
各部屋にクローゼットを設けるなんていう常識はいったい誰が作ったのでしょう?リビングで畳んだ衣類を子供や配偶者が各自の部屋に持っていってくれれば良いですが、現実にはそうでないお宅が多いと思います。もちろん、そうしてくれることが理想的であり、子供の教育という観点から見ても良いことだとは思います。けれども理想とは裏腹に、誰かの犠牲の上に家事が成り立っているということが多いのが現実ではないでしょうか。
WCLを設ければ、基本的には衣類は一ヵ所にまとめて収納することが可能です。お母さんが各自の部屋に衣類を配達する必要はありません。衣類は各自の部屋に配達せずにWCLにまとめて運ぶだけでOK。あとは各々が着替えを取りに来れば良いのです。
収納しやすくて洋服選びも楽々!
各部屋にクローゼットを設けずにWCL一ヵ所に収納すると、衣類の種類や量の把握が容易になります。家の中で「あの服はクローゼット?ワードローブ?」と探し回る必要がなく、パッと見渡せるので身支度が非常に楽になります。
収納しやすいということは、散らかりにくいということ。散らからなければ片づける必要がありません。これは非常に好循環。「収納スペースが多い家」であることよりも「収納しやすい家」であることのほうが大事なのです。
ちなみに、WCL一ヶ所に家族の衣類をまとめておけば、誰の衣類が多いかも一目瞭然です。分散していると、これが揉める原因になることが多いんですよねー。
クローゼットとしての収納力は2倍に!
上図の通り、スペース自体が2倍になっていますから当たり前と言えば当たり前ですが、WCLにすることでパイプハンガーの長さを2倍にすることができます。その結果、衣類を2倍収納することが可能です。
家具を置くスペースが増えてレイアウトも楽々!
単純に物入れ(クローゼット)を2倍にするのであれば、WCLではなく上図のようなレイアウトも考えられると思います。
両側それぞれの部屋から直接、物入れに手が届くというメリットもありますが、家具を配置可能な場所(赤色部分)はものすごく限られてしまいます。左右ともに4畳半で、それぞれ半間(90cm)幅の壁面が5枚分という状態。つまり、半間幅の棚などの家具を置くとしても最大で5台までということですね。
では、一番最初の間取りではどうか、見てみましょう(下図)。
左の6畳間で半間幅の壁面が9枚、右の4畳半で半間幅の壁面が8枚。つまり半間幅の家具が配置可能な数はそれぞれ最大で9台と8台ということになります。
引き続き、WCLを設けた場合はどうでしょうか。下図をご覧ください。
左右ともに4畳半ですが、家具が配置可能な半間幅の壁面はそれぞれ10枚となります。最大で半間幅の家具が10台置けるわけです。単純にクローゼットを2倍にした場合よりも家具の配置可能な壁面の数は2倍、6畳間+一間幅の物入れの場合よりも家具が配置可能な壁面の数は多くなるのです。つまり、WCLにすれば家具のレイアウトが非常にしやすいと言うことができるでしょう。
建築コストは大幅減!
一般的に、半間(90cm)幅のクローゼットの折れ戸のコストは材工一式(材料費+工事費)で5万円程度です。普通に半間幅+一間幅のクローゼットを設けた場合のコストは15万円程度となります。しかし、WCLにすれば折れ戸を設ける必要はありません。つまり、建築コストを大幅に下げることができるのです。
もちろん、WCLの入口にドアを付けたり、窓を設けたり、照明器具を取り付ければ相応のコストは必要ですが、照明器具以外は必ずしも必要ではなく、トータルの費用は少なくて済みます。
WCLを採用する4つのデメリット
洋服を取りに行くのが面倒
我が家のWCLは子供部屋に挟まれる位置にあるのですが、娘は高校生のときに毎日、制服を行ったり来たりさせるのが面倒臭かったようで、自分の部屋に掛けていました。WCLが自分の部屋の隣にあってもそんな調子ですから、離れていればなおさら面倒臭く感じられることはあるでしょう。
一度袖を通した服の置き場所に困ることも
一度だけ袖を通した洋服を他の洋服と一緒にすぐにクローゼットに戻したくないと思われる方は一定数いらっしゃいます。かく言う私も少し気になるほうです。
そういう場合は、WCLの中もしくは外にチョイ掛けスペースを確保したほうが良いでしょう。我が家の場合はドライルームが近くにあるので、一旦そこに掛けるようにしています。
家族でバッティングすることがある
我が家のWCLは出入口が一ヶ所しかないので、家族で鉢合わせすることがしばしばあります。もっとも、基本的にそれぞれの部屋に籠っていることが多いので、良いコミュニケーションの機会になっているとも言えます。
レイアウトや広さで悩む可能性
冒頭でも申し上げた通り、WCLを間取りに組み込もうと思ってもそんなに難しいことはありません。ただ、新築ではなくリフォームの場合は動かせない壁もあるので、簡単ではないこともあるでしょう。また、WCLの中でゆったり着替えることができるようにしようと思ったら、その面積を確保するのに悩むこともあるかもしれません。
以上、WCLを作ることで得られるメリットとデメリットについて紹介しました。
ぶっちゃけ、デメリットというのはメリットに比べれば些細なことだと私は思います。それほど圧倒的にメリットの方が大きいです。
ただし、WCLさえ作れば良いという話ではありません。WCLを設えたお宅は現在では珍しくなくなりましたが、未だに半分以上は「なんちゃってWCL」です。もしくは、使い勝手の悪いものであったりします。
それについては以下の記事で説明していますので、参考にしてみてください。
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