約20年前、私が収納のプロとして活動を始めた頃は、収納グッズの選択肢が少なく、自分で工夫しなければならないといけない場面がたくさんありました。収納スペースを確保するにはダサくても仕方ないという感じで、普通の突っ張り棒を天地方向に突っ張ってワイヤーネットを結束バンドで固定する”収納アイディア”なんてものも持て囃されるという時代だったのです。
しかし、素敵な収納グッズがたくさんある現代なら、そんな馬鹿げたことをする必要はありません。たとえば「ラブリコ 2×4アジャスター」を使って2×4材を垂直に立てればフックや棚を設けることができ、見た目もスマートです。
でも、設置場所を採寸して2×4材をカットするのは面倒臭かったり、不安だったりします。いくらDIYが流行っているからとは言え、やっぱり既製品をポン付けできるほうが楽なんですよ。
そういう事情も踏まえてか、平安伸銅工業から新しい縦つっぱり収納グッズが発売されました。
※この記事は2024年7月25日時点の情報に基づいています
平安伸銅工業・タテッコ
このたび平安伸銅工業から発売された新商品は「tatecco(タテッコ)」というシリーズです。その名の通り(?)縦方向の突っ張り棒とそれに組み合わせるトレーやボックス、フックなどを含むラインナップとなっています。
ラインナップ
品番 | 商品名 | サイズ(mm) | 耐荷重 | 税込価格 |
---|---|---|---|---|
TCR-1WH | 縦つっぱり棒48 | 22×33×480~700 | 3000g | 1,782円 |
TCR-2WH | 縦つっぱり棒70 | 22×33×700~1100 | 1,980円 | |
TCR-3WH | 縦つっぱり棒110 | 22×33×1100~1900 | 2,288円 | |
TCA-1WH | トレー | 150×90×10 | 700g | 803円 |
TCA-2WH | メッシュトレー | 150×85×10 | 250g | 803円 |
TCA-3WH | 水切ネットホルダー | 150×85×13 | 748円 | |
TCA-4WH | ボックス | 150×90×50 | 700g | 957円 |
TCA-5WH | フック(2個入) | 25×45×35 | 500g | 858円 |
TCA-6WH | ミニフック(4個入) | 7×24×22 | – | 352円 |
※TCA-1~6は取り付け部を除くサイズ ※価格は平安伸銅工業オンラインショップ楽天市場店の場合
タテッコのラインナップは現在のところ、縦つっぱり棒3サイズとトレーなどのオプションパーツ6アイテムの、計9アイテムです。
縦つっぱり棒は最大1900mmまで伸びるものがあるので、吊戸棚のないキッチンでも天井まで一気に突っ張ることができます。洗面化粧台の天板から、もしくは浴槽の縁から、天井まで突っ張るという使い方も可能です。
ラインナップも豊富なので、調味料、洗剤、布巾など、様々なモノを置くことができて便利だと思います。耐荷重も縦つっぱり棒1本あたり3kgまでOKなら十分でしょう。
キッチンつっぱりラックSPL-5WHとの比較
一方で、平安伸銅工業からは先に「キッチンつっぱりラックSPL-5WH」などが発売されています。こちらも耐荷重は3kgまで。ポリプロピレン主体のタテッコよりもお手入れがしやすいスチール製で、マグネット収納も可能です。しかも、タテッコの縦つっぱり棒にパーツを2~3つ組み合わせるのと価格はほとんど変わりません。
しかし、キッチンつっぱりラックSPL-5WHは高さ1050mmまでなので、吊戸棚のないシステムキッチンはもちろん、システムキッチンから吊戸棚までの距離が1100mmくらいになる場合も設置できません。
また、タテッコなら収納部を下のほうに持ってくることもできますが、SPL-5WHなどは収納部がやや上のほうになります。一般的に下のほうが手が届きやすくて良いのではないでしょうか。
スプルースとの比較
平安伸銅工業の「スプルース」と比較するとどうでしょうか。スプルースSPL-1(上写真)もタテッコの縦つっぱり棒にパーツを2~3つ組み合わせるのと価格はほとんど変わりません。おまけにこちらもスチール製、耐荷重は5kgあり、オプションパーツで拡張することも可能です。
しかし、こちらも高さは1050mmまで。収納部が高い位置になるという点も同様です。
というわけで、タテッコは従来の平安伸銅工業の縦つっぱり収納グッズとはまた違ったニーズに応えることができると考えられます。あれこもこれも収納できると考えるのではなく、必要なモノだけを収納するためのミニマムな構成にできるという点も魅力と言えるかもしれません。
一方で、トレー1つ、フック1つだけのために、こんなデカい縦つっぱりを設置するかというと、ちょっと違うような気もします。そのような場合はスタンド式やレンジフード引っ掛け式のキッチンパネルのほうが適しているのではないでしょうか。もしくは、少しでも壁があればマグネット式やシールフック式の収納グッズを使ったほうが良いと思います。
ともあれ、選択肢が増えるのはありがたいことです。DIYよりタイムパフォーマンスの高い既製品ならなおさらです。タテッコにはまだ第2弾があるそうなので、そちらも期待しましょう。
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