良品計画が2019通期で下方修正!生活雑貨不振でニトリに競い負け?

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無印良品・スタッキングシェルフ

出典:無印良品

先日2019年1月9日に、無印良品を運営する良品計画が2019年2月期の連結業績予想を下方修正しました。それを受けて株価が大きく下げたので市場のインパクトは大きかったのだと思いますが、個人的にはそれほど大きなニュースだとは思っていませんでした。

しかし、昨日ネットに掲載された記事がちょっとセンセーショナルなものだったので、改めて事実確認をしてみることにしました。

どうした、無印良品。不振の一因に「お値段以上」ニトリの訴求力 - まぐまぐニュース!
無印良品が発表した「2019年2月期の業績見通しの下方修正」が話題となっています。店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんは今回、自身の無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』で、同社の最主力商品である生活雑貨の売上高...

※この記事は2019年1月16日時点の情報に基づいています

 

下方修正だが良品計画の業績は堅調

良品計画の2014~2019(予想)売上推移

前述のネットの記事を見ると無印良品の業績が急速に悪化したかのように感じられます。しかし、実際のところはというと、確かに2019年2月期の通期売上予測を前回発表から下方修正しているのは紛れもない事実であるものの、前期比+11.8%の予測が同+7.9%になっただけです。つまり、プラス成長であることに変わりありません。

ニトリも同様に堅調に推移

ニトリの2014~2019(予想)売上推移

無論、+11.8%が+7.9%になったことで、「3.9ポイントも下がった」と言うことはできると思います。しかしながら、記事で比較されているニトリの業績を見ると、直近の成長率は良品計画と似たり寄ったりです。

おまけに、ニトリは下方修正の発表には至っていないものの、月次の売上推移を見れば通期予想を下回る可能性があり、予断を許さない状況です。

 

ただし堅調なのは海外を含む場合

無印良品の商品ライン別売上高推移2014~2019(予想)
※上表の2019/2の売上(海外含む)は第3四半期時点の前年比を前年の売上に乗じたもの

良品計画が2019年2月期の連結業績予想を下方修正したのは、第3四半期の業績が未達だったためです。この原因については、”国内事業において、生活雑貨カテゴリーの不振に加え、冬物商材の売上の伸び悩みにより”と発表しています。

裏を返すと、特に中国を中心として海外は好調だったようです。それに比べると日本国内の生活雑貨や衣料雑貨は不振だったため、土俵を同じくするニトリに競り負けたと言われているわけですね。

 

客数は堅調だが客単価が減少

売上高

無印良品の商品ライン別売上高対前年推移(%)

では、無印良品の国内事業の月次売上高を商品ライン別(カテゴリー別)に見てみましょう。確かに第3四半期の9~10月は生活雑貨が前年に比べて不調だったことが分かります。

客数

無印良品の商品ライン別客数対前年推移(%)

しかし、客数を見てみると少なくとも2018年3月以降、ずっと前年を上回っているのですね。第1~3四半期を通しては+8.1%となっています。

客単価

無印良品の商品ライン別客単価対前年推移(%)

では、何が良くなかったかと言うと、客単価です。上表の通り、生活雑貨は客単価が大きく下がっています。第1~3四半期は生活雑貨が-8.0%、衣料雑貨は-3.9%、食品は+5.0%となっています。

ちなみに、生活雑貨の客単価減少は前年から続いている現象です(2018年2月期実績:-3.8%)。しかし、この1年ほどはさらに客単価が大きく減少しています。

 

おそらく無印良品の家具は苦戦中

冒頭で紹介した記事では、無印良品の生活雑貨の売上が落ちている原因として「売場の訴求力が弱い」ことが挙げられていますが、これはまったくの見当違いだと思います。なぜなら、第3四半期の間に無印良品とニトリの間で売場作りに決定的な差ができたわけではないからです。それ以前1年前に遡っても同様です。

むしろ普通に考えれば、客単価が下がったということは単価が高い家具が売れなくなったということでしょう。実際、オーク材ユニットシェルフは廃番になっていますし、そのほかの家具を見ても迷走感があります。

もしくは何とか家具の販売数量を確保しているものの、キャンペーンなどでの値下げが影響している可能性があります。特にベッドや「体にフィットするソファ」はここのところ値引きが目立ちます(ただし、全体の粗利率が下がっているわけではない)。

一方で、客数は好調に推移しています。それでも生活雑貨の売上が客単価に比べて少ない減少で収まっているのは、家具以外の雑貨が比較的好調に売れているということだと思います。

ホームセンターを見ても、軽家具はあまり売れなくなってきています。逆にこのジャンルはネット通販が強くなってきていると感じます。ニトリの場合はネットでは買いにくい、実物を確認したうえで購入したいと考えるような家具がコンスタントに売れている一方で、無印良品はあくまで軽家具が中心ですから、ニトリではなくネット通販に競り負けていると考えるのが自然ではないでしょうか。

 

世間の評価として「無印良品の家具は高い」という意見はよく聞きますから、やはり割高感が感じられる家具はジリジリと市場競争力を失っているのでしょう。無印良品としても決して手をこまねいているわけではなく、キャンペーンを実施したり、価格の見直しをおこなっているものの、割高感を払拭するには至っていないのだと思います。もしくは、値下げなどで訴求しても販売数量を伸ばすには至っていないということでしょう。

個人的には、突板など天然木を積極的に使っている無印良品の家具はオリジナリティがあって良いと思っているのですが、最近は天然木とほとんど見分けがつかない強化プリント紙を使った家具も増えているため、無印良品のこだわりが家具のコスパの悪さに繋がっているのかもしれません。ビジネスとして考えれば、突板から強化プリント紙に切り替えるなどして価格を下げないといけないのかもしれませんね。

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この記事を書いた人

日本で初めて一般家庭向け収納&インテリア・コーディネートサービスを始めて20年の収納&インテリアのプロ。TVチャンピオン収納ダメ主婦しつけ王優勝。
安全性を第一に、コスパを重視した収納グッズ&家具選びを心掛けています。詳しいプロフィールはこちら

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