2018年11月25日(日)23時半にTBS系列で放送された「ゲンバビト」、ご覧になりましたか?当日のテーマは「家具・インテリア~ニトリ商品開発の裏側~」ということで、ニトリの商品開発担当者の日常が紹介されました。
10年以上前は、私はニトリなんて巨大な粗大ゴミ置き場だと公言していました。まさに安かろう悪かろうの品質で、とてもじゃないけど「おねだん以上」なんて言えないと思ってたんですよね。
ところが、5年くらい前(2013年頃)から品質が劇的に改善されてきたように思います。実際のところ、番組でも紹介されていた自動車メーカーのホンダ出身の”品質の神様”こと杉山清氏がニトリに入社したのは2004年のことだそうなので、その後10年くらいかけてジワジワと全体の品質を向上させてきたのでしょう。
時期も良かったんだと思います。以前はいくら品質を向上しろと工場にハッパをかけたところで、中国や東南アジアの工場のレベルはまだまだ低かったです。しかし、やはりこの5年くらいですね、日本の下手なメーカーよりも品質が上回るものも散見されるようになってきました。国産家具メーカーはいよいよヤバいです(苦笑)
※この記事は2018年11月27日時点の情報に基づいています(2023年8月24日一部更新)
ニトリのユニット式食器棚「リガーレ」
さて、番組ではユニット式で組み合わせ自由なニトリのキッチンボード「リガーレ」(上写真)が時間を割いて紹介されていました。なんだか番組を見ていると、まるでニトリがユニット式の食器棚を開発したかのように聞こえますけど、そんなことはないですよね(苦笑)私が家具業界に首を突っ込んだ約20年前には、既にパモウナやヤマハがユニット式を採用していたはずです。
そして、上写真の組み合わせのリガーレの価格は税込139,000円141,574円(2019/11/11確認時点)。他社と比較して随分と安いかというとそうでもなく、たとえばパモウナの「VIL-1600R/VIR-1600R」は同140,000円150,700円(同上)で買えたりするわけです。かたや組み合わせ自由、かたや既製品ではありますが、やっぱりニトリは「おねだん相当」と言えるところがあると思います。
スライドレールはヘティヒ製
それでも、ユニット式の食器棚は最低でも20万円台からであることが一般的であることを考えると、この価格帯に収めたニトリはやっぱりスゴイと思います(幅120cm以上の場合)。また、それでいて品質は悪いかというと決してそんなことはなく、例えばスライドレールはドイツのヘティヒのものが使われています。
ヘティヒのスライドレールは日本の食器棚でも定番となっており、その品質は折り紙付きです。しかし、一般ユーザーはそんなことは知りませんから、そんな高級品を使わなくても誤魔化せると考えるメーカーは少なくないはずです。実際、少しでも価格を抑えるために中国製のスライドレールを使うメーカーは多いです。
しかし、ニトリはそこを敢えてヘティヒのスライドレールを採用したわけです。幅1mを超える食器棚でも、ユニット式で組み合わせ自由、しかもスライドレールはヘティヒ。おまけにカラーは3色選べるし、上台扉は耐震ラッチが付きますと言われたら、ぐうの音も出ないでしょう。そのあたり、やはりニトリは家具業界のユニクロだなと思います。
以上の通り、ニトリのリガーレはそんなに安いというわけではありません。家具メーカーも馬鹿ではありませんから、基本的には売れ筋の組み合わせやサイズやカラーを既製品として販売しており、既製品を買ったほうが割安です。同じ予算なら、ニトリのリガーレを買うよりパモウナのVIシリーズを買ったほうが間違いないのではないかと個人的には思います。
しかし一方で、どうしても組み合わせなどにこだわりたい場合は、リガーレはユニット式の割りに価格が手頃で良いと思います。耐久性の面ではもちろん問題がなく、高品質のスライドレールを使うなど、消費者が喜ぶツボをシッカリ押さえています。
ともあれ、価格やデザインだけでなく、様々な視点で、いくつかの家具屋を回りながら食器を比較検討していただくと、それがもっとも間違いがないと思います。
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