無印良品やIDEE(イデー)などを運営する良品計画が2019年2月期決算を発表しました。それを受けて、マスコミ各社からは以下のような見出しで報道されています。
良品計画の19年2月期、純利益12%増 最高益を更新(日経新聞)
良品計画、中国で初の既存店前年割れ(日経ビジネス電子版)
無印良品/2月期は国内事業減益も東アジア事業が増収増益(流通ニュース)
「無印良品」19年2月期、成長に伴う人材投資で8期ぶり営業減益 国内既存店売上高4%増(WWD JAPAN)
良品計画/年間の物流費16%増の178億円(LNEWS)
過去最高益を大きく報じるところもあれば、海外事業の不安定さを案じるところもあり、また人件費や物流費に注目しているところもあります。それぞれの視点の違いに興味を感じるところですが、つまるところ、今回の決算発表においては良くも悪くも大きなサプライズはなかったということです。
報道各社が注目するポイントが多様だったため私もその確認に手間取ってしまったのですが、一方で今までの認識を改めることに繋がりました。
※この記事は2019年4月11日時点の情報に基づいています
生活雑貨53%、衣服雑貨37%、食品8%
私は無印良品で洋服を買ったことがありません。また、主に収納用品は常にチェックしていますが、別に無印良品の信者ではありません。コンセプトが好きで10代の頃から慣れ親しんでいるだけです。
なので、無印良品と言えば収納用品を含む生活雑貨や文房具、基礎化粧品などがメインという印象でした。もちろん、エスリボン時代からお菓子などの食品を扱っていますし、アパレルが増えていることも承知しています。しかし、それらはオマケ程度にしか考えていませんでした。
ところが実際は、生活雑貨が53.1%を占めるものの、衣服雑貨が37.2%も占めているのですね(海外輸出分を含む)。食品の7.8%というのも決して小さな数字ではありません。ほかにこういう品群別売上構成比を持っている小売業は思い当たりませんが、生活雑貨の店という認識は改めなければならないと思いました。
なお、これら商品ライン別売上構成比は直近3年でほとんど変わりありません。また、生活雑貨は前年比105.6%、衣服雑貨は同111.9%、食品は同113.1%といずれも好調です。
家具&雑貨店としての無印良品の位置付け
ブランド | 国内店舗数 | 売上(億円) |
---|---|---|
ニトリ | 505 | 5,299 ※1 |
無印良品 | 420 | 1,527 ※2 |
IKEAジャパン | 10 | 840 |
東京インテリア家具 | 42 | 487 |
ナフコ | 369 | 484 ※3 |
IDC大塚家具 | 19 | 373 |
無印良品の生活雑貨の国内売上(推定)だけを抜き出し、主に家具および生活雑貨を扱う主要ブランドと比較してみたところ、上表のようになりました(いずれも直近の決算資料等から引用)。
ニトリが圧倒的すぎますが、無印良品もなかなかです。IKEAジャパンは無印良品の半分程度の売上ながら、店舗数が少ないので効率が良いですね。
東京インテリア家具はIKEAジャパンの半分程度の売上。ナフコはキッチン収納用品なども含めればもっと売上が多いと思われます。IDC大塚家具はとうとうピーク時(2003年12月期)の半分になってしまいましたね。
アパレル店としての無印良品の位置付け
ブランド | 国内店舗数 | 売上(億円) |
---|---|---|
ユニクロ(ファーストリテイリング) | 827 | 8,647 |
しまむら | 1,430 | 4,245 ※1 |
GU(ファーストリテイリング) | 372 | 2,118 |
無印良品 | 420 | 1,070 ※2 |
グローバルワーク(アダストリア) | 214 | 408 |
ニコアンド(アダストリア) | 145 | 309 ※3 |
ナノユニバース(TSIホールディングス) | 65 | 283 |
23区(オンワード) | 440 | 269 |
アパレル店としての無印良品の位置付けも比較してみました。意外とアパレル系企業はブランド別の売上高を公表していないところが多いので把握できたところだけの比較となりますが、無印良品がなかなか良い位置に付けていることに驚きました。無印良品における衣服雑貨の売場が限られていることを考えると、GUよりも効率が良さそうです。
グローバルワーク、ニコアンド、ナノユニバース、23区なんて言ったら、アパレルショップとしては超有名ですけど、意外と無印良品の衣服雑貨の売上の半分もないのですね。その点もかなり意外でした。
というわけで、収納とは直接関係ない話になってしまいましたが(苦笑)、個人的には無印良品の生活雑貨が好調であれば結構だと思っています。
ただ、「やわらかポリエチレンケース」などがヒットした一方、大型家具は前期を下回ったのだとか。やっぱり、収納小物程度なら割高感があっても単価が安いので手が届く一方、大型家具は品質が微妙な割りに単価が大きいのでニトリに持って行かれることが多いんでしょうね。
今後、無印良品の収納家具は聖域なき改革が進められるのかもしれません。
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