先日はダイニングセットの選び方を紹介しました。ダイニングセットは直接、ダイニングの収納には影響は及びませんが、生活動線をスムーズにして片づけやすくするためにはとても大事な要素の一つと言えます。
一方、リビングセット(ソファー+センターテーブル)選びも同じく生活動線を整えるうえでとても大事な存在です。何と言ってもソファーは3人掛け1本で畳1枚分ほどの大きさがありますからね。10畳のリビングダイニングの場合、1割も占めるのです。
たった1割と思うことなかれ。リビングとダイニングをちょうど半分に割れば5畳ずつ。そしてその1~2割をテレビボードなどの収納家具が占め、さらにセンターテーブルとその周りの回遊スペースを考慮すれば、ソファー、センターテーブル、収納でざっと3畳程度となり、それらで実質5畳のリビングの6割のスペースを使ってしまうのです。ちょうど冒頭の写真に近い状態ですね。思いのほか狭苦しくなってしまいます。ここにテレビを置いて、背もたれの高いソファーを置こうものなら、もう圧迫感が強すぎて仕方ありません。
というわけで早速、今回はリビングセット(ソファー+センターテーブル)の選び方を紹介したいと思います。
※この記事は2015年9月22日時点の情報に基づいています(2023年9月3日一部更新)
ソファを選ぶ前にテレビボードの位置をチェック
生活動線を妨げないように注意してソファーを選ぶ際には、まずテレビボートの位置をチェックしなければなりません。なぜなら一般的にソファーはテレビに向けて置くからです。
最近はテレビが薄型化・大型化していることもあって、コーナーボードは流行りません。テレビはリビングで一番大きな壁面に直接固定するか、幅の広いローボードまたは壁面収納家具に置くのが一般的です。インテリア的に考えても収納効率で考えても、小さな収納家具をリビングにあちこち置くよりも大きい壁面にまとめてしまったほうが良く、ソファーの位置は自ずとその正面になります。
上図は11畳のLDK、マンションだと一般的には12畳程度に相当するでしょうか…そこに幅200cm強の3人掛けソファーを置いた場合のレイアウトの一例です。この広さに200cmオーバーのソファーは大きすぎて著しく生活動線を妨げてしまうことがお分かりいただけると思います。
大きすぎるソファーは見た目のバランスを損なうだけでなく、生活動線を悪くし、ひいては片づけにくくしてしまいます。まずはテレビをどこに置き、その周りに必要な収納を配置した上で、最適なサイズや組み合わせのソファーを選ばなければなりません。
ソファにはいろんな形、大きさ、レイアウトがある
一言でソファーと言っても実に様々ですが、基本的には寛ぐためのものです。ただ、寛ぐことを求めると、一般的にどうしても大きくなり、シート数も増えることになります。また、お客様が来たときのことを想定することも大事ですが、そうするとキリがなくなってしまいます。リビングに置くのにふさわしい範囲で最適なパターンを知っておくことが必要です。
そこで、どんなパターンがあるかをここにまとめてみようと思ったんですが、ソファーには本当にいろんなものがあってなかなかパターン化することが難しいです。なので今回は、私が代表的だと思ったものをいくつか紹介されていただきたいと思います。
肘が低くて動線を妨げないソファー
カリモク家具のソファーは無難なデザイン、無難な座り心地で定評があります。中でも人気商品のひとつがZU46モデル。デザインをパクられて訴訟にまで発展したことでも有名です。
カリモク家具のZU46モデルに限らず、最近は肘が低いものが人気であるように思います。カンディハウスなどでも同様の傾向が見られます。肘があったほうが立ち上がりのときや座ったときの安心感に繋がるのですが、どうしてもソファー全体の幅が広くなってしまいます。ソファーの上で寝ようと思ったらなおさらです。低くても肘があることで十分な安心感があり、また肘が低いことでソファーの上で寝やすく、さらには立ち上がるときの動線もスムーズになるのです。
ちなみに、ZU46モデルではさりげなく脚に木部が使われていますが、これも最近の流行かと思います。また、ZU46モデルは背もたれが高いですが、座面を低くすることで高さが900mmを超えることなく、ハイバックなのに圧迫感はそれほど強くないことが人気の秘密と言えるでしょう。
以前は3人掛けと1人掛けまたは2人掛けという組み合わせが割りと多かったですが、近年はテレビが大型化したことも影響してか3人掛けまたは2人掛け1本だけというスタイルが増えました。余裕があればスツールを追加しても良いでしょう。
スペースに余裕があればシェーズロングもGOOD
最近は特にシェーズロングタイプが人気です。シェーズロングは脚を伸ばして座れる椅子です。もともとはパーソナルチェア限定の呼び方でしたが、最近はこういうタイプのソファーをシェーズロングやカウチソファーと呼ぶことが増えています。
コーナーソファーにも似ていますが、どちらかというと3人掛けソファーにオットマン(スツール)をプラスした形状に近いです。2015年4月に供用開始された成田空港第3ターミナルに納品された無印良品のソファベンチもこの類と言えるでしょう。
一般的なソファーだと一人が寝転がってしまうと他の人は座れなくなってしまいますが、シェーズロングタイプだと1人が寝そべっても1~2人が座ることができます。また足置き部分には背もたれがないので一般的なコーナーソファーよりは圧迫感が少ないです。
ただし難点はかなりスペースを占領してしまうこと。しかもデザイン的な理由からかなり大きめであることがほとんどです。リビングテーブルの置き方も難しいですし、張地の面が広いので革も伸びて見た目が悪くなりやすいです。いろんな意味で贅沢品と言えるでしょう。
リクライニングソファは重いうえにレイアウトも難しい
シェーズロングだとスペースを取るというということで、代わりにニトリの電動リクライニングソファーを思い出す人もいるかもしれません。以前にテレビCMが放送されていましたものね。別にニトリが悪いというわけじゃないですが、これはオススメしません。なぜなら死ぬほど重いからです。
昔、銭湯に行くと電動あんま器ってありましたけど、これはソファーというよりそれに近いです。重いのでレイアウトの変更が難しくなってしまいます。掃除も大変です。また足置きが前に飛び出しますのでセンターテーブルを離して置かなくてはなりませんし、背もたれが倒れるので壁から離さないといけません。
一見、すごく便利で快適な機能であるように思いますが、重いうえにスペースを取るということで、生活動線をスムーズにするためには絶対に避けてもらいたいソファーのひとつです。
軽い&圧迫感がない!ウレタンソファー
重くて移動が難しいリクライニングソファーの対局と言えるのがウレタンソファーです。上写真のリーン・ロゼ「TOGO」やマルイチセーリングの「SKIP」が有名です。
一般的なソファーは簡単に言うと、木枠の上にウレタンを乗せて布や革を巻いているのですが、ウレタンソファーには木枠がありません。そのため非常に軽くて移動が楽なのです。またそういう構造上、背も低いので圧迫感がありません。おまけに座り心地も良いです。
ただ難点は、経年劣化でウレタンがへたってくると非常に無残な姿になってしまうことです。
ウレタンソファーというものはあまりメジャーとは言えませんが、背もたれの低いローソファーまたはフロアソファーは限られたスペースに圧迫感なくソファーを置く方法として有効と言えます。見た目は庶民的ですが、特に小さいお子さんがいるご家庭では楽に過ごせて現実的な選択肢のひとつだと思います。
無理せず座椅子でも良いんじゃない?
個人的にはフロアソファーはキライじゃないですが、やっぱりどうしても理想的なリビングのイメージとはかけ離れてしまいます。フロアチェアを分割して座椅子というのも同様です。やっぱりインテリアにも流行ってものがありますからねー。
我が家にも座椅子があるんですけど、傷んできたので買い替えを検討中です。そこで候補に挙がっているひとつが無印良品の「体にフィットするソファ」(上写真)。ソファと言うよりも座椅子、もしくは巨大なクッションで、おおよそソファーとはかけ離れたものですが、座り心地はともかく、インテリア用品として考えればアリなのかなと考えています。
スペースに無理をして巨大なソファーを置くのも決して悪くないとは思いますが、いろんな意味で楽に過ごすためには座椅子というのも一つの選択肢ではないかと思います。
パーソナルチェアという選択肢もアリかも
シニア世帯では敢えてソファーを置かずにパーソナルチェアを並べるというお宅も増えているそうです。だいたいイメージしやすいですよね。旦那は背もたれの高いソファーが良いと言うけど、奥様は圧迫感が出るからイヤだと言ったり、旦那と一緒に肩を並べて座るのがイヤだったり。アツアツの新婚さんには向きませんが、適度な距離感を取りたい熟年夫婦には良い選択肢だと思います。
パーソナルチェアの場合はオットマンが付いていることが一般的ですので、リクライニングすれば畳1畳近くのスペースを取ります。でも3人掛けソファーと違って、2脚並べても生活動線を確保しつつレイアウトに自由度があります。また、一般的にセンターテーブルを置かすに横にミニテーブルを置く程度なので、よりレイアウトがしやすいと言えます。
本当はもっと紹介したいんですが、ちょっとキリがなくなってきたので今回はここまで。今回紹介したものはおおよそ「ソファー」というものからどんどん逸脱していってる感じですけど、冒頭でも述べました通り「基本的には寛ぐためのもの」と考えれば、一般的にイメージされるようなソファーである必要はないということをお伝えしたかったのです。
よくあるんです。ソファー買ったけど結局床に座ってソファーの座面にもたれ掛っているだけだとか、ソファーが洗濯物置き場になっていて結局誰も座ってないとか。そんな風になっちゃうとソファーは部屋を狭く見せるだけのシロモノになっちゃうんですよね。
だから、ソファーを選ぶ前にはいったん「ソファー」という概念を取っ払って欲しいのです。生活動線をスムーズにするためにはどれくらいの大きさが許容範囲で、誰が、そこで何をしたいのか?どんな風に過ごすのが楽なのか?場合によってはコタツのほうが良いのかもしれません。
リビングセットを選ぶ際にはまずそこから考えることが大事だと私は思います。
コメント
あえてソファをおかない選択検討してます!前にコメントしたダイニングテーブルの都合で・・・。
無印の巨大クッション。私もこれがソファとは思えませんが以前家にあって体をあずけて漫画を読むと最高に気持ちよかったのでこれでもいいかなとか思ってます。掃除機するときも気軽にどけれるのでかけやすいですし。でもこの巨大クッションカバーがへたってくるとすわり心地がどんどん悪くなって全然体にフィットせずにだらーんとなってくるのでちょっと躊躇しています。
ナッチさま
無印良品の「体にフィットするソファ」、お使いだったんですかー!
やっぱりカバーがだらーんとなってくるんですね。私は独身のときに無印良品の座椅子を使ってまして、やっぱり座椅子のカバーがだらーんとなってきました。ウレタンがへたってきたせいもありましたが、それ以上にカバーが伸びましたね。いま使っているメーカー不詳の座椅子はカバーは伸びてないんですけど、ウレタンがへたってきています。
つまるところこういうのはやっぱり消耗品ですね。無印良品の「体にフィットするソファ」がもうちょっとお手頃な価格だったら良いのですが…^^;