2013年にIKEAのアプリ版カタログに家具の設置シミュレーションができるAR機能が実装されました。IKEAのカタログを床に置き、そこにアプリ内のカメラを向けるとその場に家具が現れるというものでしたが、導入された2013年当時はほとんど使い物にならないシロモノでした。家具が実際より小さく表示されることが多いなど動作が不安定で、家具の大きさを実感できなかったのです。
実は現在もこの機能はアプリ版カタログに実装されており、操作性も少し向上されていますが、リリース当時ほどではないもののやはり実際よりも家具が小さく表示されることが多くてあまり使い物になりません。ただ、これはIKEAが悪いというよりもまだまだ発展途上の技術なんだと思っていました。
当のIKEAもそう思ってか、最近はAR機能に触れることはほとんどありません。対応アイテムこそリリース当時の81アイテムから現在は約300アイテムに増えているものの、ほとんど黒歴史と捉えているんじゃないかとさえ思える状況でした。
ところが、IKEAが先日、懲りずにまたAR機能を打ち出してきました。今度はカタログアプリとは別の「IKEA Place」というアプリを新規にリリースしたのです。
※この記事は2017年10月18日時点の情報に基づいています
家具配置AR(拡張現実)アプリ「IKEA Place」
「IKEA Place」は10月16日にリリースされたばかり。現在のところAndroid版は提供されておらず、iOS版のみとなっています。
しかも、iOS11以上限定。つまり、今回OSのアップデート対象から漏れたiPhone5や5Cでは使えず、iPhone5S以降のモデルのみ利用可能となります。
いきなりトラブル発生
私は使用している一部のアプリがまだiOS11に対応していなかったのでiOS11へのアップデートを渋っていたのですが、今回「IKEA Place」を試すにあたり、仕方なく手持ちのiPhoneSEをiOS11にアップデートしました。
しかし、iOS11にアップデートしてから「IKEA Place」をインストールするも、”We can’t connect to the Internet. Check your settings(インターネットに繋げません。設定を確認してください)”と表示され、そこから前に進むことができません。アプリを再起動してもダメ、Wi-Fiをオフにして4Gで繋ごうとしても、事務所ではなく自宅で試してもダメでした。
わざわざこのためにiOS11にアップデートしたのに「IKEA Place」が使えないなんて!まるでIKEAの店頭在庫をしっかり確認してから買い物に行ったのに在庫がなかったときのような気分になりました。
ところが、翌日になってから改めて試してみたところ、何事もなかったようにすんなりと使うことができました。たぶんIKEAのサーバー側の問題だったのだと思います。
” Check your settings(お前の設定を確認してみろ)”だと?ふざけんな、コノヤロー!お前のところをまず確認しろよ!(怒)
メッセージアプリのような会話調
私の大好きなIKEAのアプリの使い始めからトラブってしまい、少々残念な気持ちになりましたが、まあいつものことです。気にせず何も期待せずどんどん進めましょう。
「IKEA Place」の使用を開始すると、メッセージアプリのような会話調でスタートします。こういう遊び心はさすがですね。都合の悪い質問には答えない@IKEA_jp_Annaとのやり取りを思い出します(笑)
「IKEA Place」の使い方
我が家のリビングでARシミュレーション
今回は我が家のリビングで「IKEA Place」を使って家具の設置をシミュレーションしてみたいと思います。
まず床を認識する
「IKEA Place」をスタートしたら、まずスマホのカメラを床にかざします。なかなか認識しなくてイラッとすることもありますけど、いつものことなので気にせず我慢しましょう。
家具の設置
「IKEA Place」で床を認識したら、次は中央下の(+)をタッチし、家具の選択画面に移ります。カタログアプリのように床にカタログを置かなくても良いのは便利ですね。
対応商品は2千点以上
IKEAのカタログアプリでは約300アイテムしか対応していませんでしたが、「IKEA Place」は2,000点以上ものアイテムを試すことができます。サイズ等でスクリーニングできないのが残念ですけど、一応、キーワードで検索することはできます(右上の虫眼鏡アイコン)。
ソファだけでもかなりの数
今回はソファを設置してみたいと思います。縦スクロールして選ぶのですが、結構な数があります。それだけにサイズ等でスクリーニングできないのは面倒です。
ソファが床から浮いて見えてしまう!
ソファを選んで設置してみると…なんということでしょう!ソファが床から浮いて見えてしまいます!ほかのソファを試しても、床を再認識してみても、同様の結果でした。
アームチェアを試すも…
アームチェアならちゃんと床に接しているように見えます。それでも奥行感がちょっとおかしいように思います。
サイドボードは大丈夫でした
サイドボードならちゃんと設置できました。
TVローボードも問題なく?
TVローボードも同様に問題なく設置できました。ただ、先のサイドボードもそうですが、実際より小さいような気がします。
まるで不思議な絵のように
TVローボードを回転してみたところ、不思議な絵のようになってしまいました。右奥は部屋の角に接しているはずなのに、左奥はそれよりも手前でしかも高さが合っていないように見えます。
実際に置いてある家具と重ねて表示させているので当然の結果だとも言えますが、どうもARで出現させた家具は実際よりも小さく表示されていて、特に奥に置いた場合のサイズが実際と異なっているように感じられます。
やはり小さい…
ソファも右の壁に沿わせれば問題なさそうに見えるのですが、やはり実際よりも小さく見えます。
結局おなじことの繰り返し
そしてソファの向きを変えると、やっぱり不思議な絵になります。
問題はARの技術なのか…
どうもこの現象は、実際の距離とアプリが推定している距離が異なっていることが問題であるように思います。やっぱりARはまだまだ発展途上の技術なのですかねー。
運動場にソファを設置してみた
ちなみに、今日は息子の小学校の運動会だったので運動場にソファを設置してみました。このようにサイズ感の問題なく設置できることもある一方…
でかいよ…
こんな風に実際よりも大きすぎることもありました。床の認識はリセットしていないので、ひょっとすると奥行方向の距離の認識には加速度センサーが影響しているのかもしれません。
床の認識のリセット方法
ちなみに、家具を設置する前の床認識の画面に戻るためには、家具設置画面で右下の人のアイコン(設定コマンド)をタッチし、「プレイスを再スキャン」を選択すれば、床の認識をリセットできます。
家具の消し方
また当初は、設置した家具の消し方がよく分からなかったのですが、家具を選択し、浮いた状態になれば、左下のゴミ箱ボタンから消すことができます。
撮影方法
「IKEA Place」ではARシミュレーションした状態を撮影できますが、左下のシャッターボタンを押しただけでは保存されません。撮影後に中央下に出てくるアップロードアイコンをタッチすると、SNSなどに投稿したり、アルバムに保存することができます。
以上、「IKEA Place」を試してみたところ、従来からあるカタログアプリよりは格段に良くなっていると感じます。対応アイテム数がかなり増えていますし、いちいち床にカタログを置く必要がなく、ARシミュレーションも以前のように小さすぎる家具が出現することもほとんどありません。
一方で、奥行方向の距離の認識は甘いように思います。シミュレーションする場合は家具を正面から見た状態よりも横から見た状態のほうが実際に近いということを頭に入れたうえで試したほうが良いかもしれません。また、遠からず近からずの距離で試したほうがサイズ感が正確だと思います。
まだまだこれからの感じがあるARですが、徐々に良くなってきていることは間違いありません。そう遠くない近未来が楽しみですね!
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