収納マンが密かにリスペクトしている住宅メーカーのアキュラホーム。その企業内研究所であるアキュラホーム住生活研究所が「2017年住宅傾向調査」を発表しました。
それによると、玄関収納(シューズクローク)の設置率が8年で2倍超に増加、和室(客間)から畳コーナーへ変化していることが分かったそうです。
※この記事は2017年2月1日時点の情報に基づいています(2023年8月10日一部更新)
シューズクローク設置率が8年で2倍超に
アキュラホームが2016年に全国で手がけた住宅のうち100棟の住宅の間取りについて調べたところ、玄関収納(シューズクローク)の設置率が2009年から2016年の8年で35%から74%に2倍以上の伸びとなったそうです。
この結果は、アキュラホームという、いちハウスメーカーに限った話ですし、アキュラホームが積極的にシューズクロークをプッシュしただけと見ることはもちろんできます。しかしながら収納のプロとしては、この結果は歓迎すべきものだと考えています。
玄関収納の増加は土間の復権です。竪穴式住居に住むようになって以来、減る一方であった土間がようやく見直される時期が来たのです。家の顔とも言える玄関がどんどん隅に追いやられて、一方で置きたいモノは増えるばかりという状況がようやく改善してきたのです。
玄関は靴や傘だけでなく、ベビーカーや子供の外遊びのオモチャ、車椅子、スポーツ用品、レジャー用品、灯油缶など、置きたいモノを挙げればキリがないほどです。また、傘や雨合羽を干したいというニーズもあるでしょう。現状の普及率は74%ということですが、限りなく100%に近づけていって欲しいものです。
和室(客間)から畳コーナーへ変化
和室または畳コーナーのある間取りの割合は、2009年の62%から2016年の71%へと増加傾向となっています。その一方で、2009年には6帖以上の和室が47%あったにも関わらず、2016年にはわずか8%にまで減少。近年は3~4.5帖が主流となってきているということです。
これについても、収納のプロとしては肯定的に捉えています。私の経験で恐縮ですが、私の実家は仏間とその隣に和室があり、法事の際には合わせて16畳の大広間として使っていました。しかし、普段は基本的に何も置かず使わずで、私や兄弟は離れの物置の隅で勉強をするという有様でした。他にも応接間もあり、母屋は完全に来客メイン。家族は普段の生活を送るうえで犠牲を強いられていたわけです。
もちろん、昔と今では家に求められるものが違いますから、それを一概に悪いこととは言いません。ただ、今の価値観から言うと、家は家族が普段の生活を快適に送ることを第一に考えたいものです。リビングダイニングをゆったりとさせ、洗面脱衣所や玄関収納まで広げるとなると、自ずと来客用としての和室は削る必要があります。
一方で、親の老後のこと、仏壇を置く場所などを考えると、やはり畳の部屋が欲しいものです。日本人らしく畳の上でごろんと横になって寛いだり、赤ちゃんと寝るスペースや子供の遊び場としても、畳コーナーは良いでしょう。さらに、取り入れた洗濯物を一時的に置いたり、そこで洋服を畳む作業をするにも、畳コーナーはもってこいと言えます。
シューズクロークや畳コーナーが増えていることは総じて良いことだと思います。ただ、単純にそういうものを作れば良いという話ではありません。私なりに今までに間取りを研究した結果、「ナンジャコリャ?」なものが多いのも事実です。
アキュラホームに限ってはそういうことはないのではないかと希望的観測を持っておりますが、流行っているからと言って無理矢理に中途半端なシューズクロークや畳コーナー、ウォークインクローゼットなどを間取りに詰め込まないように気を付けたいものですね。
コメント