アキュラホームのカンナ社長こと、宮沢俊哉氏の著書『安くていい家のつくりかた』に続き、『無理なく無駄なくいい家を建てる』を拝読しました。今から10年前、2010年に出版された本です。
私としてはどこをどうケチったら無駄のない家が建つかということを知りたかったのですが、またしてもその期待に応えてくれる内容ではありませんでした。しかし、良い意味で期待が裏切られました。この本の内容は本当に素晴らしかったです。全国民に配布するべきだと思ったほどです。
※この記事は2021年1月29日時点の情報に基づいています
カンナ社長の熱意の物語
私はこの本には「無理なく無駄なくいい家を建てる方法」が書かれていると思っていました。ですが実際は、「無理なく無駄なくいい家を建てる!」という目標に向かって、カンナ社長が色んなものと戦ってきた半生が綴られていたのです。
そんな風に言うと、カンナ社長のサクセスストーリーと思われるかもしれません。でも、そうじゃないんです。自叙伝としてではなく、あくまでハウツー本として書かれているのです。カンナ社長が若いときから現在、未来に向かって、住宅業界の問題点を分析し、消費者、工務店、建材メーカーそれぞれにとって、より良い世界が構築できるように解決策を模索してきた軌跡が書かれているのです。
カンナ社長の世の中の常識を疑う姿勢、そして他者への思いやり、そしてあきらめない気持ちは、本当に素晴らしいですね!この本を読んでアキュラホームで家を建てたいと微塵も思わない人がいたら逆にスゴイとすら思いました。
とは言え、この本はアキュラホームのPRのための本ではありません。読めば分かります。住宅業界に携わる人だけでなく、これから家を建てたい全ての人、いや、すべての学生に読んでもらいたい本だと思います。
木造の長期優良住宅は2割弱という現状
昨年2月末に引き渡しを受けたばかりの我が家は長期優良住宅の認定を受けています。しかし、この本を読むまでは、そのことをまったくと言って良いほど意識していませんでした。環境にやさしかったり、住宅ローンや税金の面でメリットがあるなど、なんとなくお得というイメージしかありませんでした。
私がアキュラホームを選んだのは、快適に生活できる間取りの家を安く建てたかったからです。その目的を達成するうえで、アキュラホームなら話が合うと考えたのです。
逆に言うと、耐震性や耐久性についてはあまり興味がありませんでした。母が「地震が心配」と言ったときは、「悪いけど、お金がないから、いざとなったら家屋の下敷きになって死んでくれ」と言ったほどです(苦笑)
でも、この本を読んで長期優良住宅のスゴさを思い知らされました。
長期優良住宅の認定基準の一例
- 構造躯体が少なくとも100年程度もつ
- 建築基準法レベルの1.25倍の地震力に対して倒壊しない
- 配管の更新や間取りの変更が容易(≒リフォームが容易)
- 省エネルギー基準に適合
- 定期的な点検・補修等の計画が策定されている(≒高値での売却が期待できる)
私は「子供たちが巣立ったらクシャッと潰せたほうが良い」とも言っていたのですが、長期優良住宅ってば100年もつんですね(笑)おまけに、地震にも強い。私と妻が死んで子供たちも他所に引越して手放すとしても、メンテナンス履歴を残しておけば高値での売却も期待できるというのです。
その事実を知ってもまだピンと来なかったのですが、長期優良住宅に認定されている木造住宅は2018年度実績で19.1%しかないそうです。つまり、5軒に1軒もないということです。私は何にも知らずに、とんでもない当たりくじを引いてしまったことに驚いている次第です(苦笑)
「でもそんなに優良なら、さぞ家そのものもお高いんでしょう?」と思われるでしょうが、これがめちゃぐちゃ安いんです。これも計算してみて驚いたのですが、坪単価で言うと建売分譲住宅より安かったんです。
家だけが人生のすべてではない
この本の帯や終章に、「家だけが人生のすべてではない」と書かれています。この言葉は「一生に一度の大きな買い物ですから」と言ってあれこれ盛りだくさんにしようとする営業マンと対局にあると思います。
話がちょっと逸れますが、先日、知人が自宅の外壁塗装をしました。某大手ハウスメーカーで15年ほど前に建てた鉄骨造の家です。外壁材の進化もあるのかもしれませんが、我が家は屋根も外壁も30年後まで再塗装の必要がないそうです。
30年後って言ったら、私は多分もうこの世にいません(苦笑)でも、躯体がシッカリしていて、外回りは再塗装やコーキングの打ち直しだけで済むなら、子供が自分で住むなり中古として売るなりしてくれるんじゃないかと期待できます。まさしく我が家の家宝になると思います。
話を戻しまして、私も家は家族の人生の舞台装置でしかないと思うんです。主人公はあくまで家族それぞれです。なのに、資力もないのに長期に渡って住宅ローンを抱えて、おまけにメンテナンスコストに追いかけられてしまっては、生活を圧迫しかねません。そんなことになるくらいなら、私はボロ家で一生を終えるほうがマシだと思っていたくらいです。
なので、「家だけが人生のすべてではない」と言い切ってしまえるカンナ社長は本当に素晴らしい方だと思いました。この人になら、家族の人生の舞台装置を作るのをお任せしても良いかなと本気で思いました。
ってゆーか、建ててから知った驚愕の事実なんですけどね(笑)
私は本当にラッキーだと思いました。家事動線ということだけに全集中してハウスメーカーを選んだのに、実は耐久性の面でも最強と言えるレベルだったわけですから。
正直に言うと、建物そのものは安かろう悪かろうじゃないかって思ってたところがあるんですよ。屋根材も外壁材もフローリングも良いものであるということは理解していたつもりですが、上手にセールストークに乗せられたというか、騙されたつもりになっていたようなところがありました。上を見たらキリがないですからね。
でも、この本を読んだおかげで、アキュラホームで建てて本当に良かったと確信しました。そして、カンナ社長は何かしら勲章を受けるのにふさわしい人だとすら思いました。それほど、カンナ社長が日本の住宅業界に及ぼした影響は大きいです。
そんなわけで、是非みなさんに『無理なく無駄なくいい家を建てる』を読んでいただきたいと思いますし、カンナ社長には出版から10年を経てアップデートしたうえでこの本の再販をお願いしたいところです。
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