収納の悩みは人それぞれです。しかしながら、私のこれまでの経験からも、圧倒的に多いのは衣類収納の悩みだと思います。
収納スペースが少ないのに洋服はそれを上回る量だったり。毎日洗濯するから、取り入れた衣類を畳んで収納するのが追い付かなかったり。脱いだ洋服をリビングに放置してしまったり。衣替えが大変だったり。具体的な悩みは人それぞれですが、とにかく衣類を満足できるかたちで収納するというのは簡単ではありません。
では、どのようにすればこの悩みは解消できるのでしょうか。これについて、トランクルーム「収納ピット」を運営している株式会社アンビシャスによる「衣類収納の悩み」に関する調査が興味深いものだったので紹介したいと思います。
※この記事は2024年12月16日時点の情報に基づいています
収納の数に関わらず衣類収納の悩みは高止まり
今回の調査は全国のトランクルームユーザー400人を対象におこなわれています。一人暮らしの人もいれば、マンション、アパート、一戸建てなど、住まいの形態も様々のようです。ワンルームで2人以上世帯、一戸建てに一人暮らしということもあると思われます。
そのように収納の環境が一様ではないものの、今回の調査では、収納スペースの数が1箇所でも6箇所以上でも衣類収納に悩みがある方は概ね9割を超えるという結果が出ています。一般的に収納スペースの数が少ないとされる関東圏のユーザーよりも、それ以外の地域に住んでいるユーザーのほうが衣類収納で悩んでいる傾向が見られるところも興味深いところです。
衣類の収納に困ると、「収納スペースがもっとたくさんあれば…」と思いがちです。しかし、今回の結果を見る限り、収納スペースの数を増やすことは根本的な解決に繋がらない可能性があると言えるでしょう。
衣類が多いことが最大の悩みですが…
ともあれ、衣類収納の悩みは「衣類が多い」ことだけではありません。上表の通り、2位に「整理整頓がしづらい」、3位に「出し入れがしづらい」ということが挙げられています。これらは「使い勝手が悪い」という一言にまとめることもできるかと思います。
衣類収納は大変で気力が出ない
今回の調査では、「衣類収納の悩み解消のために工夫していることがある」と答えた人が全国で32.6%いた一方、「(まだできていないけれど)したいと思っている」と答えた人は59.2%、「工夫していない」人は8.2%いました。都合、7割近くの人が対策できていない状況と言えます。
なぜ工夫できていない(していない)のでしょうか。1位は「大変そうで気力が出ない」となっています。また、工夫したいと思っているけどできていない人では「整理整頓が苦手」と思っているケースが多く、工夫していない人では「時間がない」ことが次点として挙げられています。
実際のところ、衣類収納を根本的に解決するのは大変です。なので、それに対して気力が出ないと感じたり、苦手意識を持ったり、十分な時間を捻出できないと考えることは、ごく自然なことだと思います。
ウォークインクローゼットがあれば解決
では、これらの調査結果を踏まえて衣類収納の悩みを解決するにはどうしたら良いでしょうか。状況に応じて様々な解決方法が考えられるものの、私はウォークインクローゼットを設けることがもっとも効率的だと考えています。
実際、我が家は4人家族で3畳のウォークインクローゼットが1つですが、それだけで十分足りています。整理整頓や出し入れがしにくいと感じることはありませんし、片づけるにあたって気力や時間も必要ないです。
そのように申し上げると、「ウォークインクローゼットを作るにはリフォームする必要がある」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。各部屋にクローゼットがあって衣類を分散して収納している現状を見直し、1部屋の全部もしくは半分程度を衣裳部屋にすることで解決を図ることが可能な場合もあります。
逆に、マンションにありがちな、ウォークインクローゼットとは名ばかりの「ステップインクローゼット」ではダメです。ウォークインできるくらいのスペースがなければ、整理整頓や出し入れがしにくいと感じることになります。
収納スペースは数ではなく、その広さや位置がとても重要なのです。
衣類収納の悩みを解決するヒント
ハンガーラックを置くだけでもOK
とは言え、ワンルームマンションで衣裳部屋を設けることは不可能です。複数の部屋があるマンションや一戸建てでも難しいことは少なくないと思います。そこで、ワンルームもしくは部屋数が足りなくても衣類収納の悩みを解決する方法をいくつか紹介したいと思います。
まず大前提として、「衣類が収まりきらないのはクローゼットや押入れが足りないから」という考えは捨てましょう。ミニマリストでもない限り、洋服はある程度の量が必要になります。手放す努力をしてもなお収まりきらないのなら、ハンガーラックやワードローブ、チェストなどの収納家具を置いて、収納スペースを確保すればOKです。
造り付けの収納スペースは簡単に移動させたり増やすことはできません。しかし、収納家具なら可能です。「ホコリが気になる」とおっしゃる方もいますが、それならあまり着ない洋服をクローゼットに収め、普段着をハンガーラックに掛ければ済む話です。一般的にクローゼットよりもハンガーラックのほうが洋服の整理整頓や出し入れもしやすいと思います。
衣類以外を減らして収納スペースを確保
洋服を減らせないなら、ほかのモノを減らしたほうが手っ取り早いことも多々あります。
たとえばワンルームマンションはスペースが限られていますが、昔のようにテレビやビデオデッキ、デスクトップパソコンは必ずしも必要ありません。衣類の収納スペースを優先的に確保したうえで、余ったスペースにそれ以外のモノを収めるという感じで対処することも可能だと思います。
なお、これは一人暮らしに限らず、家族世帯でも同様のことです。あれもこれもと考えず、自分や家族にとって本当に必要なモノとコトを見極めましょう。
ベッド上ラックで収納スペースを確保
それでも今あるモノは手放せないということもあるでしょう。そんなときは何かを犠牲にする必要があるかもしれません。
たとえばニトリの「ハンガーシェルフ(バジーナ2JY)」(上写真)をベッドを跨ぐようにして設置すれば、洋服の収納スペースを確保することができます。圧迫感があるかもしれませんが、寝てしまえば気にならないとも言えます。
つまるところ、衣類収納の悩みを解決するには収納スペースをあちこちに設けるのではなく、できるだけ1箇所にまとめるのが得策です。今回の調査を実施したトランクルームの運営元としては不都合なことかもしれませんが、家から離れた場所に収納スペースを増やすなんて論外です。トランクルームを利用するなら、衣類そのものではなくクローゼットなどに死蔵されている他のモノを収めたほうが良いでしょう。
いずれにしても、衣類収納のあり方を変えるのは大変です。しかし、一度きり大変さを味わうか、毎日ずっと不便を感じるのではどちらが良いでしょうか。これは衣類に限らず、すべてのモノの収納に言えることだと思います。
その気力が出ない、考える時間もないということなら、プロの手を借りるのもひとつの方法です。お近くの収納アドバイザーを探して相談してみましょう。
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