「押入れが片づかない」というのは収納で最大の悩みではないでしょうか。ハッキリ言って押入れは片づけるのがとても難しい場所ですから無理もありません。
「押入れよりも奥行が浅いクローゼットだったらもっと片づけやすいのに…」とおっしゃる方もいることと思います。おっしゃる通りです。敷布団一式がメインでない限り、収納のしやすさという点では押入れは不利です。
でも、現実に「ウチには押入れしかない」というお宅も少なくないんですよね。無いものねだりをしていても始まりません。苦手な押入の収納を克服できれば、家の中の収納のしやすさはガラッと改善します。
今回は、これまで多くの押入の悩みを解決してきた収納マンがそのノウハウをお伝えしましょう!まずは押入れの片づけが難しい原因を解明し、そのうえで片づけやすくするための解決策を伝授したいと思います。
押入れが片づかない原因
- 相性の悪いモノを収めてしまっている
- 使用頻度を意識できていない
- 積み重ねて出し入れしにくい
- 使いにくい引出式衣装ケース
- 襖が邪魔で収納しにくい
押入れの収納が難しい最大の原因は、奥行が深いことにあります。たとえば敷布団や雛人形の大きなダンボール箱なら手前から奥まで一気通貫で活用できますが、本だとA4サイズでも前後方向に4列も並んでしまいます。つまり、小物は押入れと相性が悪いわけです。一方で、敷布団のように奥行のあるモノは家の中に多くはなく、むしろ小物ばかりです。この相性の悪さが「収めたいモノ」と「収める場所」のミスマッチを生み出していると言えます。
あと、片づけが苦手とおっしゃる方は、押入れに限らず使用頻度を意識していないことが多いです。奥行が浅いクローゼットならそれでも何とかなります。しかし、押入れのように奥行が深い場所では、使用頻度を意識して、あまり使わないモノは奥に収納するということを徹底する必要があります。
そのほか、押入れの使い方が分からないために、とにかく詰め込んで、積み重ねて、使いにくい収納グッズをそのまま使い続けているというケースも少なくありません。今回の記事をきっかけに、改善すべき点を明確にしていただければと思います。
押入れを使いやすくするための対策
- 小物は押入れ以外に収納する
- 前後に分けて収納する
- ラック等で上下に区切る
- 引出式衣装ケースを買い替える
- 襖を外す
片づかない原因さえ分かれば、その裏返しのことをやれば良いわけです。押入れを使いやすくするための対策は以上の通りとなります。以下、詳しく見て参りましょう。
小物は押入れ以外に収納する
押入れが上手く活用できていないというお宅では、押入れの収納に不向きな本などの小物を収める一方で、肝心の布団が出しっぱなしという状況が少なくありません。これは適材適所というルールに反しています。
頑張って押入れに小物を収納するよりも、小物は本棚など押入れ以外の場所に収納して、押入れと相性の良い布団を収納したほうが簡単です。布団を出しっぱなしにするよりも押入れに収納したほうが精神衛生上も良いと思います。
前後に分けて収納する
ほとんどすべてのモノはワンアクションで取り出せると理想的です。しかしながら、奥行が深い押入れではそうもいきません。小物を収納する場合はなおさらです。
押入れの深い奥行を活かすためには、まず「ほとんど使わないモノ」と「よく使うモノ」に分ける必要があります。ほとんど使わないからと言っても、不要なわけではありません。下段に収納する場合はダンボール箱や衣装ケースに詰めたり、オープンラックなどを活用して、奥に収めましょう。その手前にキャスター付きのチェストやラックを置けば、ツーアクションで取り出せるようになります。
押入れ上段も同様に前後に空間を分ければ良いわけですが、キャスター付きの収納グッズは使えません。手前は衣装ケースなどを積み重ねるか、敢えて何も置かず空けておくのもひとつの方法です。もしくは、上図のように押入れ用の奥行が深い引出し式衣装ケースを積み重ねて、引出しの内側で奥と手前に分けて収納するようにしましょう。
ラック等で上下に区切る
押入れは中段と枕棚くらいしかないことが一般的です。そのため、高さ方向を区切ってやらないと使いにくいと言えます。
下段は押入れ用の引出式衣装ケースを積み重ねたり、引出式衣装ケースの上に布団を乗せるなどすれば良いでしょう。一方で、上段は使用頻度を意識する必要があります。ふだん使う布団一式を引出式衣装ケースの上に乗せると、よほど身長が高い人でない限り出し入れするのが大変です。布団を跨ぐことができるような大型のラックを使うのがオススメです。
引出式衣装ケースを買い替える
押入れの奥行を活かすためには引出式衣装ケースの上にモノを乗せる場面が多くなります。そのため、引出式衣装ケースの天板がたわみ、引出しが開閉しにくくなってしまうことがあります。ただでさえ奥行が深い引出しが変形してスムーズに開閉できなくなると、片づけにくく散らかりやすい状態になってしまいます。
なので、引出式衣装ケースは天板にアルミ補強板が入っている天馬の「フィッツユニットケース」を使うことをオススメします。変形しにくいだけでなく、引出しの開閉がとてもスムーズです。価格は安くありませんが、長く使うことで必ず元は取れるはずです。
襖を外す
一間幅の押入であれば、引違いの襖が付いていることが多いと思います。その場合、開口部は半分以下(襖1枚分)となり、押入れの中央付近に置いたモノは出し入れしにくくなってしまいます。また、開口部に合わせて引出式衣装ケースなどのサイズを選ぶ必要があります。布団もV字に曲げなければ出し入れできず、布団の上部には常に空きスペースが必要です。
来客から見えるような場所であれば襖は必要かもしれませんが、そうでなければ襖は外してしまったほうが合理的です。前述のような問題は生じませんし、畳んだ布団をすぐに収納しても湿気がこもることもありません。
それでも押入れの中が丸見えになるのがイヤな場合はロールスクリーンを取り付けましょう。そうすれば、見た目の問題はないですし、いつでも全開にすることもできます。
以上の通り、押入れが片づかない原因を特定し、しっかりと対策を練れば、押入れはぐっと使いやすくなります。
特に大切なのは、押入れを内部で前後に区切り、使用頻度順が低いモノを奥に収めること。モノ全体で見れば使用頻度が高いモノなんて2~3割もありませんから、奥に収めるモノを見極めることは難しいことではないと思います。
また、空間を大きく分けることも大切です。洋服などの小物でも、押入用引出式衣装ケースを使えば大きな一塊になります。また、押入れ全体を上下に区切るような大きなラックは高価ですが、ここを使いやすくしたいなら必要な投資と言えるでしょう。
このように、押入れの収納のコツを掴めば、実はそれほど難しい場所ではありません。適材適所のルールを意識して、押入れにふさわしいモノを収納するようにしてください。
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